推薦生×一般生 4年間の東大生活を振り返る(2)

2021.03.10

推薦入試

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推薦入試と一般入試、入学後の過ごし方はどう違う?

推薦入試※で東大に合格した推薦生と、一般入試で合格した一般生が、東大で過ごした4年間を振り返る座談会。第2回のテーマは、前期教養課程(1・2年生)の過ごし方です。履修する授業や進学選択について、それぞれの経験を語ってもらいました。
受験から入学までの生活をテーマにした第1回はこちら
※現在、東大の推薦入試は「学校推薦型選抜」という名称に変更されていますが、この座談会では、参加者の受験当時の名称を採用して「推薦入試」という表記で統一します。

PROFILE

長原颯大さん 座談会の発案者で、司会進行役。福岡県出身。2017年度推薦入試で工学部に合格。卒業後は大学院工学研究科に進学予定。
原文聖さん 東京都出身。2017年度推薦入試で法学部に合格。卒業後は大学院法学政治学研究科に進学予定。
荒川光さん 広島県出身。2017年度一般入試で文科三類に合格し、教育学部総合教育科学科比較教育社会学コースに進学。卒業後は一般企業への就職が決まっている。

推薦生と一般生の座談会

推薦入試について話をしてくれた、長原さん(上)・原さん(左下)・荒川さん(右下)。

「早期履修制度」と「アドバイザー教員」って何?

  • 推薦生と一般生の座談会
    長原 ということで、やっと入学後の話に入ります(笑)。次のテーマは「前期教養課程での過ごし方」。主に学業に関することを話していければと思います。「キミの東大」のスタッフさんからは「推薦生と一般生、授業の取り方に違いはあるの?」っていう質問をもらってるんだけど、原さんは特別な授業を取るような機会はあった?
  • 推薦生と一般生の座談会
     推薦生用の授業が開講されているわけではないから、授業の取り方はほとんど一般生とは変わらなかったな。クラスも一般生と同じだし。授業のことで一般生と違ったことと言えば、早期履修制度を使って1年生の時に2年生向けの国際政治の授業を取ったことかな。

長原 僕も2年生に早期履修制度を使って、工学部の授業を1科目だけ受講できた。3年生以降の勉強の大まかな雰囲気をつかめたから有意義だったと思う。でも、理系の前期教養課程は必修が多いから、たくさん履修する余裕はなかったなぁ。

 それから、1年生のAターム(秋学期)には、アドバイザー教員だった先生の勧めで、後期課程の学生が履修するゼミに参加させてもらった。まだ1年生だったから、そこで本格的に政治学をやるっていう感じにはならなかったけど、少なくとも政治学の世界に触れるきっかけにはなったかな。

長原 工学部では2か月に1回くらいアドバイザー教員との面談の機会があった。僕はアドバイザーの先生と世間話をしたり、今興味のある研究について話を聞いてもらったりしたな。楽しかったけど、僕の場合はそれが自分の進路に直接影響した、って感じではなかったかな。

  • 推薦生と一般生の座談会
    荒川 東大の教員がアドバイザーになってくれるっていうのは推薦生だけだよね。魅力的に聞こえるけど、僕だったら、進路について大学の先生に直接相談するのは気が引けるな・・・。

 なかなか相談には行きづらいよね。僕は1回先生と面談してゼミにも参加できたけど、法学部推薦生の同期では、アドバイザー教員にほとんど相談しなかったっていう人の方が多いんじゃないかな。

長原 ただ、僕の推薦生の同期には、何度もアドバイザー教員に相談にのってもらったお陰でうまく進路を決められたっていう人もいたし、活用の仕方次第ではプラスになると思う。だからこそ、もう少し気軽に相談できるような工夫があってもいいよね。

推薦生と一般生の座談会

推薦生・一般生の別なく、東大には1年生から研究室での実験に参加できる授業を受講できる機会が用意されている。
写真は長原さんが1年生の時に作成した、授業用の実験器具の一部(写真提供:長原颯大)

一般生に気づかれない「隠れ推薦生」がいる?

長原 ここまで推薦生目線で前期教養課程の過ごし方について話してきたけど、一般生から見て、推薦生との過ごし方の差を感じることはあった?

荒川 ほとんどないな。そもそも、クラスの中に推薦生がいたのかどうかもわからなかった。「推薦生」って名札をつけてるわけでもないし(笑)。早期履修制度とかアドバイザー教員は一般生にはない制度だけど、一般生から見たら気づかないし。

長原 そうだね、さっき話した2つの制度以外は、良くも悪くも「一般生とほとんど差がない」って感じ。

 早期履修制度は「使いたい人は使えばいい」っていう制度だから、大学から勧められるわけではないし、アドバイザー教員も、さっき言ったみたいに頻繁に面談があるわけでもないしね。

荒川 実はいたのかな?「隠れ推薦生」が。

 そういえば、僕らの時はまだ東大の推薦入試が浸透してなくて、ちょっと周りに言いづらい雰囲気があったかもしれないな。あえて「推薦生です」って自分からは言ってなかったかも。

長原 最近はだいぶ推薦入試の認知度が上がってきて、僕らよりもオープンな雰囲気になってるみたいだけどね。でも、授業はほとんど一般生のクラスメイトと一緒だから、推薦生って言わないと本当にわからないと思う。

荒川 卒業論文の研究で推薦生にインタビューして初めて、推薦生にはユニークで行動力のある人が多いってことがわかったんだよね。「推薦生の存在をもっと早く知っていれば、一般生の僕らも色々刺激を受けられたのになぁ」と思うと、もったいない気がする。

進学選択、それぞれの悩み

長原 学業のことで一番推薦生と一般生の差が顕著になるのは、進学選択だろうね。

 たしかに、学部の配属後は推薦生と一般生で扱いが変わることってほぼなくなるから、推薦生と一般生との違いを感じる最後の機会は進学選択だよね。

長原 推薦生は合格時点で進学する学部が決まってるから、進学選択がないんだよね。だから「成績を気にせずに好きなように授業が取れていいね」って言われることもあるんだけど、原さんは自由に授業が取れたと思う?

 うーん、進学選択がないとはいえ、やっぱり成績は気になるんだよね。今振り返ると、もっと自由にいろんな授業を取って教養を深めることもできたんじゃないかっていう後悔が結構ある。

長原 僕も成績は気にしてた。「この科目でこの程度の成績が取れてないと、専門に進んだ後苦労するんじゃないか」みたいな危機感があったりして。それで授業選択の幅が狭くなったっていう反省は僕にもあるな。「キミの東大」のスタッフの方からもらっている質問に「進学選択がなくて良かった?」っていうのがあるんだけど、僕たちは「成績を気にしなくていい」っていう意味でのメリットはあまり感じられなかったってことだよね。

 まぁ、僕は高校の時から法学部で政治学をやりたいって決めてたし、今も法学部に入って良かったと思ってる。もし進学選択があっても、法学部を選んでただろうし。

長原 僕にとって進学選択がなかったことのメリットは、工学部の中の学科選択に焦点を絞って進路を考えられたことかな。一般生の場合は学部から決めなきゃいけないから大変じゃない?

推薦生と一般生の座談会

長原さんが進学選択後配属された研究室で研究している、高分子物理のシミュレーション画像(写真提供:長原颯大)

荒川 僕は学校の先生になろうかと思ってた時期もあったから、教員免許を取る科目に関連する学部に進むか、学問として興味があった教育制度の研究ができる学部に進むかで悩んだ。その後のキャリアのことを考えると前者を選ぶ方が良かったのかもしれないけど、結局、大学の残り2年はやりたいことを究めようって思って、後者の進路を選びました。
やっぱり成績のことを気にする機会も推薦生と比べて多かったと思うし、進学選択は大変だったな。でも僕は大学入学時点ではやりたいことが決まってなかったから、2年生でじっくり悩んで進学選択できて良かったと思う。逆に、推薦生の人が進路に悩まないのかが気になる。

長原 原さんはそのへんの迷いはなさそうだよね。

 そうだね。でも、教養学部にも政治学を専門とするコースがあるから、進学先があらかじめ決まってなかったら、そこと悩んだかも。

長原 工学部は学科が多いから、実は推薦生でも学科選択で悩む人は多いんだよね。しかも、推薦生は希望の学科にほぼ確実に進学できる代わりに、進学先の学科を一般生よりも数か月早く決めなきゃいけなかった。その時点では学科の進学ガイダンスも始まってないから、1年生の頃から自分で考えておかないと間に合わなくて。僕は、1年生の時にサークルの先輩からマテリアル工学科の研究室を紹介してもらって自然と進路を決められたんだけど、人によってはプレッシャーだったみたい。

荒川 進学選択するのもしないのも一長一短ってことか。その両方の選択肢があるっていうのが東大のいいところだと思うけどね。

推薦生と一般生の入学後の過ごし方には、違いも共通点も両方あるんですね。次回は学生同士の交流についてお届けした後、3名に推薦入試を総括してもらいます!

参考リンク
東京大学公式Webサイト:学校推薦型選抜(旧推薦入試)

2021.3.10
インタビュー・構成/「キミの東大」企画・編集チーム