進学選択

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進学選択という制度をご存知だろうか。東大では、入学時に文科一類、文科二類、文科三類、理科一類、理科二類、理科三類のいずれかに入学し、1~2年生の間は駒場キャンパスで語学など多様な種類の授業を履修する。これが前期課程と呼ばれるものである。そのうえで3~4年の後期課程では、いわゆる法学部や医学部といったような学部に所属し、より専門性の高い学習・研究を行う。その前期課程と後期課程をつなぐイベントが進学選択である。

進学選択は2年生Sセメスター(春学期)の終わりから8~9月の夏休みにかけて行われる。仕組みはいたってシンプルである。学生は自分が志望する学部・学科(コース)を1つだけウェブシステム上に登録する。そして学部・学科(コース)側は登録した学生を2年生Sセメスターまでの成績が良い順に受け入れる。前期課程の成績は基本的には100段階で評価されるので、その平均点が進学選択に使われることが多い。こうして前期課程の学生は、後期課程の学部・学科(コース)に「内定」する。

全ての学部・学科(コース)には定員がある。したがって、1回の手続きだけですべての学生の進学先が決まるわけではない。定員以上の希望者がいる学部・学科(コース)から、内定がもらえない学生が出てくるからだ。ここで行われるのが、進学選択「第二段階」「第三段階」である。ちなみに、先に説明した手続きは進学選択のうち「第一段階」と呼ばれる。

第二段階が第一段階と異なる点は大きく2つある。1つは志望する学科・コースを好きなだけ登録できるところだ。また、面接など点数以外の評価方法を取り入れている学部・学科(コース)があるのも第二段階の特徴である。

進学選択で進学先が決まらなければ、自動的に降年の扱いになり、次のAセメスター(秋学期)から1年生に学年が降りる。そのため、進級を諦めてでも行きたい学部・学科(コース)がない限りは、第二段階でほとんどの学生が進学先を決める。それでも決まらない学生は第三段階を利用するが、そこに残っている選択肢は非常に少ない。

さて、学部・学科(コース)では「〇科〇類から〇〇人受け入れる」と定めた「指定科類枠」を設けているところがほとんどである。そのため、そのシェアの大きさから、文科一類であれば法学部、理科一類であれば工学部、といったようなイメージは持たれがちである。しかし一方でほとんどの学科やコースでは「全科類枠」という、科類に関係なく学生を受け入れる枠も少数ながら設けている。また、文系学部でも理科枠、理系学部でも文科枠を持っていることもある。そのため東大は、他のどの大学に比べても、理転・文転がしやすい環境だといえるだろう。進学にあたって基礎知識に不安があるとしても、学科が指定もしくは推奨する科目を前期課程のうちに履修すれば追いつくことができる。

このシステムについて知ると、厳しい入試をくぐり抜けた東大生同士でまた点数を競わなければならないのか、と思う人も多いだろう。確かにその側面もある。特に人気の学部・学科(コース)を目指そうと思うのであれば、成績をとるための勉強は人一倍必要になってくる。学部・学科(コース)によって平均点の計算の仕方や指定科類枠、そして履修が義務付けられている科目も異なるので、早いうちに情報収集するのも欠かせない。しかし、何より大切なのは、学生からの人気の高さやボーダーの点数ではなく、自分が本当に勉強したい、と思えるところを目指することだ。未来の東大生には、ぜひ進学選択の制度をうまく活用して、高校や前期課程での文理にとらわれずに、自分が本当にやりたいことをできるチャンスをつかんでほしい。

文/学生ライター・堀内美佑