世界の言語の“ココ”にハマった!学生座談会〈後編〉

2020.01.21

外国語を学ぶ

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語学を楽しむ東大生座談会

東大生語学を楽しむ

「キミの東大」では、語学を通じて学生生活をエンジョイする東大生に第2外国語の魅力を語ってもらうグループインタビューを行いました!後編では、言語を学ぶことで得た気づき、学生生活にもたらした影響など、語学に対する東大生の本音を、余すところなく紹介します。
前編はこちら

PROFILE

和泉砂絵さん【ドイツ語・中国語】 文科一類1年。法学部推薦入学。
好永るり佳さん【韓国朝鮮語】 理科二類2年。工学部電気電子工学科進学内定。
穂原充さん【ロシア語】 教養学部教養学科地域文化研究分科ロシア・東欧研究コース3年。

 

知れば知るほどマニアックに。言語の奥深さを味わう

――それぞれの言語には違った魅力があると思います。学んでいて気づいた言語の面白さを教えてください。

和泉 ドイツ語は想像以上に英語と似ていたけれど、想像以上に難しいのが面白いですね。英語と同じように格があるけど、変化が多くて複雑だし、同じスペルでも英語と発音が違うし、気をつけないと混同しちゃいます。でも、ローマ字読みのように、日本語の発音と似ているところもあるんです。

好永 韓国朝鮮語(以下、韓国語)は語順も含めて、日本語と1語単位で対応していて、「が」や「は」などといった助詞の単位で一致しているのが驚きです。だから、単語の音と意味さえ覚えれば文章の意味がなんとなく分かってくるのが面白いです。あと、ハングルは表音文字だから、音と文字との対応が分かれば、カタカナで覚えたものを文字に起こすのも結構できるようになります。

――日本語との親和性が高いんですね。

好永 ハングルには、漢字の読みがルーツになっている漢字語があるんですけど、固有語(朝鮮半島由来の単語)は音やつづりからは意味を推測できないんです。でも、漢字語は音やつづりと漢字が対応しているから、日本人だと読みや字から意味が何となく理解できるんです。

穂原 ロシア語は言葉が美しいんです。特に感情を表す言葉が豊かで、無理に日本語に訳さずにロシア語のままで味わうのがいちばんだと感じます。例えば、チェーホフの短編のタイトルでもある『тоска(タスカー)』という単語、日本語だと「憂鬱」と訳されることが多いんですが、実際はひと言では表せないんですね。この作品は御者が子どもを亡くす話です。御者は深い悲しみに暮れていて、でも誰にも理解されずに思いを一人で抱え込んでいる。この状態がタスカーなんです。

――単なる「憂鬱」ではないのですね。

穂原 そうですね。すごく繊細。ほかにも「私は○○が好き(мне нравится)」という文も、「○○は私に愛されている」という表現の構造になっています。なんだかドラマチックですよね。ロシア人は感情表現が苦手で不愛想というステレオタイプがあるけれど、言葉を知るとそれは誤解だとわかります。

語学を楽しむ東大生座談会

和泉 言語を学んでいると、言葉の特徴だけでなく文化や国民性に触れられるのも興味深いです。ドイツというと真面目で几帳面でカチっとしているイメージがありますよね。でも、ある日、1限の授業に遅刻したときに、先生が「ドイツ人は時間を気にしないの」って見逃してくれた(笑)。人々の生活は一概にイメージでは語れないんだなって思いました。

言語が分かると世界が格段に広がる

――言語を知ることで、生活に変化はありましたか?

好永 会話ができると、生活に広がりが生まれると思いましたね。学外で韓国語を初めて使ったのは、なぜか台湾に旅行したときでした(笑)。台北101(台湾の観光名所として有名な超高層ビル)で韓国人に話しかけられたのをきっかけに、会話にチャレンジしました。「韓国のおすすめスポットはどこですか?」など、自分の言ったことが相手に伝わったという手応えが得られたときは感動しましたね。

和泉 日常の変化を感じるのは、第3外国語で選択した中国語に関してかな。中国人の友達のInstagramを見ても何が書いてあるかさっぱりだったのが、授業を受けて何となく理解できたのがうれしかったです。ドイツ語はまだ使ったことがないなあ。でもクラスメイトの1人が、サッカーサークルでドイツ人の留学生と話すときに役立っていると言っていましたね。

――好永さんは、検定にもチャレンジされたそうですね。

好永 友達を誘って、韓国語能力試験を受けました。1回めの受験で、上級にあたる6級を取得できました(※)。英語と違って韓国語を学ぶ人はそう多くないのに、東大で一緒に勉強する仲間ができたのがうれしかったですね。就職でもアピールできると思うので、資格を継続させたいです。
※韓国語能力検定は上級になるほど数字が増え、6級が最上級にあたる。成績証明書は2年間有効。

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――そして穂原さんの場合、ロシア語が大学での学びを変えましたね。

穂原 もうロシア語が生活の中心です。さまざまな機会を活用してできるだけロシアに足を運んでいますね。できる限りリアルなロシアを知りたいと思っていて、授業も含め、ロシアの人とのコミュニケーションを大事にしています。最近では、学内外で通訳を任される機会が増えています。

好永 通訳なんてすごい!

穂原 学会などで来日するロシア人の応対をします。少し前にはラグビーワールドカップのロシア代表の通訳として1日働かせていただきました。ロシア語ができることで、人脈やチャンスも広がっていることを実感しています。

さまざまな関心に応える環境が東大には揃っている

――好永さんや和泉さんは、語学を使って挑戦したいことはありますか?

和泉 やっぱりオーストリアに行ってみたいですね。ドイツ語を選んだ原点ですから。現地で食事するときに、メニューを見て意味がわかるだけでも、なんだかワクワクしそう!

穂原 食べたかったものをオーダーできるとうれしいよね。昨年モスクワに行ったときは、リンゴのピロシキを頼んだつもりが、お米やニシンの塩漬けが入ったものが出てきて困惑したけど(笑)、今年のロシア訪問では食べ物で困ることはなかったな。それに今年はタクシーの運転手さんともおしゃべりできて、「ロシア語を話す日本人に初めて会った」って言ってもらえた。海外で現地の言語を使ってやりたいことができるとすごく自信にもなるよね。

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ロシア語を日常的に使う穂原さんのノートPC。よく見るとキリル文字の入力用のシールが

好永 私も韓国に行って自分の韓国語を試してみたいです。中学生の頃に訪れたことがあるけど、今なら話せば通じるだろうから。日本からも近いし、観光というより日常の延長で過ごしてみたいですね。「今週末はソウルでレポート書こう」みたいな。

――三者三様の語学の楽しみ方、探究の仕方があることがよくわかりました。最後にキミの東大の読者に向け、メッセージをお願いします。

好永 語学を学ぶというと、語学を専門にするイメージがあると思いますが、東大は、理系学生でも話せるレベルまで習得できる環境が揃っています。少しでも興味があれば、ぜひ積極的に語学にチャレンジしてほしいです。

和泉 私は語学を幅広く楽しめることに東大の魅力を感じています。将来、法学部に進むことが決まっている中で、また違った分野の学問に触れられるのは新鮮だし面白いです。学内には留学プログラムもあるし、目的や関心に応じてできることはたくさんあります。好永さんの話を聞いて、来年は韓国語の授業を取ろうかなって思いました。

穂原 都市研究を進めるにあたり、ロシア語の文献やロシア人との交流など本物の資料に触れることができています。それができるのも、ロシア語あってのこと。もし東大で学ぶなら表層的に判断せず、ぜひ本質を追究してください。そのとき、語学は頼れる相棒になってくれるはずです。

――和泉さん、好永さん、穂原さん、今日は楽しいお話を聞かせていただきありがとうございました!

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最後に3人に学んでいる言語で一言書いてもらいました!ぜひ意味を調べてみてください

インタビュー・企画・構成/「キミの東大」企画・編集チーム