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現役学部生に聞く、東大生の食事情「料理をしてみようと思う気持ちが大切!」後編―特集:学生生活を支える「食」(4)

2019.02.07

食生活特集2018

#自炊 #自炊 #東京生活 #東京生活 #教養学部の人 #教養学部の人 #教育学部の人 #教育学部の人

現役東大生への食事情インタビュー。前編では吉武さん、黒住さんの料理ができるようになるまでのプロセスや、朝昼の食事情をうかがいました。今回は、忙しい勉強やサークル活動、アルバイトとの兼ね合いの中での食事のバランスや学生時代を乗り切るための食への向かい方についてうかがいました。


左から吉武さん、黒住さん

PROFILE

教育学部3年 吉武沙織さん
文科三類から教育学部へ進む。現在3年生。大阪府出身。1~2年生は三鷹寮に住み、現在は本郷キャンパスの近くで一人暮らし。高校時代にすでに「ブリ大根」が作れたという料理上級者。

教養学部3年 黒住奈生さん
文科三類から教養学部へ。現在3年生。岡山県出身。入学時まではほぼ料理経験なしで一人暮らしに突入。現在も駒場キャンパスに通学中。

 

勉強と食事のバランス
忙しいと食にかける時間の優先順位は下がる

―夕飯は何時ぐらいに取ってますか。

黒住 それも日によりますね。夜に家にいれば、私は7時ぐらいに食べます。でも、たいていはそれよりも帰宅が遅いので、9時くらいになりますね。

―やはり毎日忙しいですか。

黒住 けっこう忙しいです。私は勉強というより、インターンバイトとかサークルのミーティングとか、そちらのほうですけど。

吉武 サークルをしていると、夜9時とかになるからね。

黒住 そうだよね。9時の解散で10時くらいに帰宅みたいな。

吉武 5限が終わった6時半から学生会館が閉まる9時までという活動時間を設定しているサークルは少なくない感じがします。私が所属していた演劇のサークルが基本その時間での活動でした。

黒住 運動部系は5限の時間も部活にあててるところもけっこうある。

吉武 確かに。

―以前は授業の出席も多少のゆるさはあったけど、今は厳しい?

吉武 効率よくサボることはできますけど、最終的には出ないといけないのが多いですね。

―そうなると授業のほかにサークルの時間もスケジューリングしておく必要がありますね。

吉武 夕飯の時間も遅くなりがちなので、家に帰って作るのはしんどいからもうそのままみんなで「ちょっと軽く食べて帰ろう」とか、逆にサークル前に食堂でパパッと食べて、みたいになりがちです。サークル活動がなければ、たぶん料理ももう少しやっていたかもしれないけど、忙しいと料理の優先順位が下がっちゃうってところはあるかな。


遅い時間もたくさんの学生が集まる生協食堂(駒場キャンパス)

 

学業と食との関係
「学食パスは親子の不安をなくすツール」

―サークルに入ると食事が遅くなることはわかりましたが、東大では勉強の方も忙しいですよね。

吉武 私、教員免許を取るのでその単位がめちゃめちゃ多くて、それで忙しいですね。教育学部の学生の中では授業数多いほうだと思います。そこにバイトが加わると、ごはん作ってる場合じゃない、みたいになりがちなことはあります。

―3年生になっても、忙しさは1~2年生の時と変わらない?

吉武 駒場時代は三鷹寮に住んでいたので学校から遠くて、食にかける時間がその分減るって感じでした。今は本郷のすぐ近くに住んでいますから、今のほうが料理をしようと思えばできるはずなのに、週1回するかしないかになっています。

―黒住さんも同じですかね。

黒住 正直、授業はめっちゃ忙しいです。今、ゼミ形式の授業ばっかり10個とってまして、そのうち毎週何か予習とか復習があるのが5、6個って感じかな。割と忙しい学部だと思います。

―なるほど。そうすると図書館に入り浸っている感じでしょうか。

黒住 発表前とかは結構こもりますけど、私はあまり行かないですかね。私、家でやりたいタイプなんです。シーンと静かなのが嫌なんですよ。何かしら音が欲しいのと、しゃべったりして考えたいので、図書館に行っても本を借りて帰るほうが多いです。家にいる時間が多いので料理も続いてるのかなと思います。

―忙しい中でも料理はしている?

黒住 毎日は絶対作れないので、作り置き系でやっています。週末にちょっと多めに、3~4日くらいもつぐらいのおかずを作っておいて、次の週末にまた作るみたいな。

吉武 へー。理想だね。

黒住 といっても何品も作るのはめんどうなので、肉と野菜と1品にまとめます。煮るにしても、炒めるにしてもまとめて1品。あとはその日の気分で、もやしとかをチンすれば2品になるので、それで平日生きていくみたいな生活をしてます。今のところそれで結構うまくいってます。

―リンゴの皮むきができなかったところから、成長しましたね。

吉武 えらい。私はすっかりその生活はやめてしまったな。

―ブリ大根からだんだん停滞している?

吉武 そうですね、停滞してますね。私はあまり家で勉強しないタイプなんです。周りにガリガリ勉強している人がいるほうが私は頑張れるので、いられるだけ学内にいます。周囲が静かでもOK。家は休憩する所って感じです。

―では図書館もかなり利用している?

吉武 そうですね。教育学部図書館が多いですが、総合図書館のほうが閉まる時間が遅いので、そちらもよく利用しています。


総合図書館(本郷キャンパス)。3月・8月以外では平日は22時30分まで開館している。

―そうすると必然的に夕飯も学内になっちゃう。

吉武 学校中心って感じなので、それであまり料理をしなくなっていったのかもしれません。学食で食べることが多くなりがちで、なので私「学食パス」を使ってます。

黒住 私も、使ってる。

―ああ、学食パスね。

吉武 ありがたいことに、母親がお金の振り込みをやってくれています。すでに持っているSuicaとかPASMOを利用するんですけど、学食利用のために電子マネーをチャージするというサービスで、それで学食は支払いができるんですよ。

黒住 交通費とは別に、学食専用の財布機能を持たせるもので。

吉武 それがめっちゃ便利で、で、学食パスのホームページとかを見れば、この子が何食べたっていうのが親にもわかるようになってて。経済的にはやはり親に出してもらうとすごい助かりますし、駒場生はお昼ご飯を学食で食べる人がほとんどだと思うので、親御さんもそれを見て「あ、ちゃんと食べてるな」っていうのが分かって安心だと思うんです。

―生きてるな、頑張ってるな、みたいな。

吉武 学食パスは、親子両方におすすめですね。

黒住 やったほうがいいと思う。
 

知られざる料理の効果
料理を創作活動として楽しむ

―お話を聞いていると2人とも料理は嫌いじゃないですね。

吉武 そうですね。食べることも好きだし、作ることも嫌いじゃない。

黒住 頭使わなくていいので、けっこういい休憩になる。たぶん息抜きに絵を描いたり歌ったりするのと一緒だと思うんですよ。

吉武 あ、ちょっとわかるかもしれない。疲れてるときにむしろスーパーに寄って、肉じゃがの材料とか買って、夜にトントントントン、ぐつぐつぐつぐつ、みたいな感じで作るのが好きっていう。

黒住 そうそう!

―それ、すごくわかります。

吉武 無になれるのがいい。私、夜中に突然ホットケーキ焼いたりしてます。いろんなことに忙殺されて生産的なことができないとストレスになっちゃって、なんか生産したくなるんですよ。それで置いてあるホットケーキミックスと、卵と牛乳買ってきて、夜中に焼いて全部冷凍する。それを朝ご飯にする、みたいなのはたまに突発的にやります。

―創作作業としての料理。

吉武 ストレス発散としての、みたいな。

黒住 私も、いきなりお菓子作りとかしたことある。

吉武 するよね。とりあえずなんか生み出したなっていう満足感を得たいがために、料理っていう逃げ方もあるかもしれない。
 

高校生にアドバイス
頑張りすぎて倒れる前に手抜きを覚えること!

―では最後に、みなさんの経験を通じて高校生の人たちに食に関するアドバイスをいただけますか。

吉武 簡単なことができればいいんじゃないかなっていうのが正直なところです。

黒住 シリコンスチーマーみたいな調理器具を、使ってもいいしね。

吉武 そうそう。私もそれはすごい使う。

黒住 やろうと思えばなんとでもなるものですよ。そこで手抜きしたっていいと思う。

吉武 料理ということであまりハードルを高くしないことですね。シリコンスチーマーに白菜と豚肉を入れて、チンしてポン酢。それだけでもう全然おいしいですから。いつもラーメンを食べてるよりは栄養的にも、お金的にも全然いい。

黒住 そう思う。そんなハードル高く考えなくても最低限のこと……火が使えて、包丁が使えればなんとでもなります。同じメニューの繰り返し、という人もいっぱいいるけど、やらないよりはいいじゃないですか。お金の節約にもなるし。いい感じに手を抜いて続けていく方法はいくらでもあると思うので。

吉武 そうそう、手の抜き方を学ぶべきだと思う!レンジでお米を炊くことだってできるもんね。

黒住 そういうところを事前に教えてもらっておくと、いいかもしれないね。

吉武 栄養に気を使ってらっしゃるご家庭のお母さんだったら、気になるかもしれないけれど、手を抜いても自分で作る方が外で毎回食べるよりは全然いい。だしの取り方を覚えるのもいずれは大事かもしれないけど、大学生にはそこに割ける時間はないです、よっぽどじゃない限り。

黒住 頑張り過ぎて倒れちゃうよりは、いかに手抜きをして生活するかっていうのを、教えてあげてほしいなと思いますね。

―忙しい大学時代は、料理も手抜きをマスターせよってことですかね(笑) 今日はありがとうございました。

2019.2.6
インタビュー/東京大学高大接続研究開発開発センター教授・濱中淳子
構成/ライター・大島七々三