「推薦生×一般生」―4年間の東大生活を振り返る(3)

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推薦生と一般生の座談会

推薦入試(※)で東大に合格した推薦生と一般入試で合格した一般生が、それぞれの4年間の東大生活を振り返る座談会。今回は、友人関係について推薦生と一般生が熱く語ってくれました。さらに、推薦入試のメリット・デメリットについて考えていきます。
(※現在、推薦入試は学校推薦型選抜に名称変更)

PROFILE

長原颯大さん(工学部マテリアル工学科4年 福岡県出身)
この座談会の発案者で、司会進行役。2017年度推薦入試に合格。全国の高校生・受験生に東大の魅力を発信する活動に参加している。
原文聖さん(法学部4年 東京都出身)
2017年度推薦入試に合格。「うどん部」に所属し、新型コロナウイルス禍以前は各地の名物うどんを求めて「遠征」にいそしんでいた。
荒川光さん(教育学部総合教育科学科比較教育社会学コース 広島県出身)
2017年度一般入試で文科三類に合格。格闘技観戦が趣味で、ビッグマッチが多い年末はとても充実していた。

 

一番差が出る 推薦生同士の横のつながり

  • 推薦生と一般生の座談会
    長原 推薦生の最大のメリットは、推薦生同士のインフォーマルなつながりができたことだと思います。入学式前に「推薦生のつどい」っていう学生主催のイベントを上の学年の推薦生が開いてくれて、そこで推薦生同士が仲良くなれるんです。
  • 推薦生と一般生の座談会
     学部の垣根を越えて推薦生同士でつながれるっていうのがいいよね。特に文系の僕にとっては、理系の推薦生と仲良くなれたのがよかったな。普段の授業は、理系の学生と一緒に受けるってことはまずないから、こういう機会がないと話せないんじゃないかな。

長原 「推薦生のつどい」は、1つ上の学年の推薦生が学生生活のアドバイスをくれたり、少人数でのフリートークの時間があったりして本当に楽しいよね。前回、荒川さんも言っていたけど、推薦生っていう名札を付けて歩いているわけじゃないから、最初の段階でお互いに「推薦生だ!」って顔なじみになれる機会があって心強かったです。

 長原さんと僕は「推薦生のつどい」を企画する側になったこともあるけど、それも楽しかったよね。今年は新型コロナウイルス禍で中止になっちゃったけど、例年だと6月に全学年の推薦生で集まる会もあって、何かと推薦生同士で集まる機会は多いよね。推薦生っていろんなことに一生懸命取り組んでいる人が多いから、会えば何かしら刺激をもらえるんだよね。

長原 そういったちゃんとした集まりじゃなくても、推薦生同士で「最近どうよ」って話すだけでも刺激になるよね。僕の同期の工学部の推薦生は、とくにおしゃべりな人が多いから、数人集まるだけでもお互いの研究の話ですごく盛り上がります!

推薦生と一般生の座談会
長原さんが企画を担当した「推薦生のつどい」の会場。座敷でリラックスして交流できそう!(写真提供:長原颯大)

 

  • 推薦生と一般生の座談会
    荒川 一般生にとっても、東大って友達同士でまじめな学問の話を遠慮なくできる場所だと思うけど、推薦生同士の会話は、またそれとは違ったおもしろさがあるのかな。

 個人的には、推薦生同士での会話を通して、自分の専門外の学問の世界を知れるのがすごく楽しい。それに推薦生同士だと、さらに真面目な学問の話をするのに遠慮なんて必要ないような気がします。

荒川 推薦生のつながりの中に、もっと一般生も入っていけるようになれば、お互いにとってすごく刺激になりそうだよね。

 僕らが1、2年生の時は、まだ「推薦生です!」って堂々と言える雰囲気じゃなかったから、推薦生と一般生っていうカテゴリーの違いを意識しながら関わるってことは難しかったよね。

長原 今は雰囲気も変わってきたから、もっとお互いのいいところを活かして交流していく機会は増やしていけるかもね。

荒川 それで東大全体が活性化していくと、一般生にとってもうれしいなと思う。推薦生と一般生がお互いのいいところを認め合えるように、僕たち一般生も変わっていくべきところがあるのかもしれないな。

推薦生と一般生の座談会
推薦生同期とはいつも研究の話で盛り上がる良い関係(写真提供:長原颯大)

 

推薦入試はチャレンジする価値あり!

長原 「推薦生と一般生とのカテゴリーの差」っていう話が出たけど、荒川さんは卒業論文で推薦生にインタビュー調査をしていて「推薦生らしさ」を感じることってある?

荒川 一番感じるのは、推薦生の人って、何事にも積極的で、人と関わることが苦にならない人が多いってことかな。正直、最初は曲者が多いんじゃないかって思っていたんだけど、どの推薦生も、すごく協力的にインタビューを受けてくれて、うれしい誤算でした(笑)。

長原 推薦生って、好奇心旺盛な人が多いよね。学内で開催されているどのイベントに行っても、必ず、推薦生と何人かは遭遇するよ。

荒川 やっぱり高校生のときの過ごし方が全然違うのかな。僕にとって受験勉強は単なる「苦労」だったけど、推薦生は、好きで取り組んできた課外活動での実績が、そのまま東大の進学につながっていて、前向きな「努力」をして東大に受かってるんだなって感じがします

長原 推薦入試って、高校生活で自分が何をしてきたのかを客観的に振り返ることができる機会でもあるんだよね。僕は受験するだけで勉強になったと思うな

 僕も、推薦入試を受けたこと自体が良い経験だった。少し大変だったことと言えば、一般入試と並行して準備することくらいかな。

長原 僕は最初、一般生には「東大の二次試験を突破した」っていう自信がものすごくあるように見えていて、東大のレベルについていけるか不安だったな。実際は、そこまで不安に感じることもなかったんだけど、同じような思いを抱えていた推薦生って結構いるんだよね。

荒川 でも、勉強にあまり自信がなくても、「これは東大じゃなきゃできない」っていうことが明確に定まっている人は、ぜひ推薦入試にチャレンジしてほしい!その好奇心や探究心が、東大というコミュニティのおもしろさをさらに高めてくれる要素になるんじゃないかなって思うんだよね。

 僕はとにかく、勉強に自信があろうがなかろうが、推薦入試は学校の推薦を受けられる人なら誰でもチャレンジする価値があると思う。推薦入試は貴重な経験にもなると思うし、ダメなら一般入試で再チャレンジすればいいわけだから。

長原 僕も、推薦入試には積極的にチャレンジしてほしいな。推薦生同士のつながりとか、早期履修制度とか、学問を修めていくうえで、それがすごくモチベーションにもなっているから!高校生や受験生には、最初から「自分には無理だ」ってあきらめずに、受験を検討してもらいたいです

荒川 僕は、前期課程で幅広く学んで、進学選択を通して、やりたいことを見つけることができたタイプだから、一般入試で合格できてよかったと思っています。僕たちの経験談を参考にして、どちらの受験方法が自分に合っているのかを考えてもらえるとうれしいですね。

長原 そうですね。4年間の東大生活を語るには、全然時間が足りなかったけど、少しでも興味をもってもらえたら、この座談会を開いてよかったなと思います。原さん、荒川さん、ありがとうございました!
 

取材/2020年11月
取材・構成/「キミの東大」企画・編集チーム
※ページ内容は作成時のものです。