世界の言語の“ココ”にハマった!学生座談会〈前編〉

2020.01.14

外国語を学ぶ

#学生インタビュー #学生インタビュー #法学部の人 #法学部の人 #外国語学習 #外国語学習 #教養学部の人 #教養学部の人 #工学部の人 #工学部の人

語学を楽しむ東大生座談会

東大生語学を楽しむ

教養学部前期課程では、多くの学生がフランス語やドイツ語など7つの言葉から1つ選択し、第2外国語として学びます。とはいえ言語に対する興味や関心の度合いは、学生によってさまざま。そこで『キミの東大』では、語学を通じて学生生活をエンジョイする東大生にグループインタビューを敢行! 選択時のエピソードや授業の様子まで、リアルボイス満載です。

PROFILE

和泉砂絵さん【ドイツ語・中国語】 文科一類1年生。法学部推薦入学。
好永るり佳さん【韓国朝鮮語】 理科二類2年生。工学部電気電子工学科進学内定。
穂原充さん【ロシア語】 教養学部教養学科地域文化研究分科ロシア・東欧研究コース3年生。

語学との出会いは素朴な興味関心から

――今日はよろしくお願いします。さっそくですが、今どんな言語を学んでいるのかを教えてください。

和泉 第2外国語としてドイツ語を選択しています。あとAセメスターから第3外国語で中国語の勉強も始めました。

好永 第2外国語として韓国朝鮮語(以下、韓国語)を学んでいます。小学生の頃からK-Popが好きで、聴きながら歌詞の書き取りを独学でやっていたから馴染みがありました。 

穂原 私はロシア語を学んでいて、教養学部ではロシアの都市、特に地下鉄の成り立ちや駅の構造などを、文化や地域特性の観点から研究しています。入学時は法学部に進む気満々だったけど、1年生のときに第2外国語でロシア語を選択したのが契機になりました。

――入学前からロシア語に興味はあったのですか。

穂原 まったく! 入学の段階で配られた「外国語選択の手引き」を見て初めて興味をもちました。キリル文字はダントツで分からないのが面白いなって(笑)。その流れで大学2年の夏にモスクワに旅行し、徐々にロシアの街に興味が湧いてきて。卒業論文はロシア語で書く予定ですが、せっかくロシア語で書くなら日本で誰もやっていないテーマをやろうと、地下鉄に着目しました。

和泉 へえ! 言葉から地域への関心につながったのですね。私は逆のパターンです。ドイツ語を選んだのは、映画『サウンド・オブ・ミュージック』で物語の舞台であるオーストリアの風景や文化に興味を持ったことが影響しています。子どもの頃から大好きな映画です。オーストリアはドイツ語が公用語なので、話せるようになれたらいいなと思って選択しました。



東大での語学学習について楽しく語ってくれた、好永さん、和泉さん、穂原さん(左から)

――好永さんは、迷いなく韓国語を選んだのですか。

好永 実はそうでもなくて。現役受験の頃は、中国語をやりたいと思っていました。でも浪人して猛勉強しているうちに、「東大を甘く見てはいけない、自分の強みが活かせる韓国語でいこう」と考えが変わりました(笑)。

和泉 確かに語学の勉強ってエネルギーを使う! 1年のAセメスターはALESA(高度な論文執筆やディスカッションなど英語スキルを養う文科の必修授業)もあるし、今は語学にかなりの時間を割いています。

穂原 私もロシア語の勉強に、研究の時間の2倍以上使っていますね。でも私の場合はロシア語が研究の生命線。都市研究は、その地に住む人々の生活観や文化、歴史的背景に入り込むことなしに進めることはできません。ロシア語を学ぶのは、ロシアの人々の考え方を理解するために必須なんです。

気分転換からマンツーマン特訓まで。授業の受け方も多様

――東大ではどのような授業を受けているのですか。

穂原 基本は、文法習得と講読を行う「一列・二列」と呼ばれる講義があって、文科の学生はそれに加えて作文や会話の基礎を学ぶ「演習」までが必修の授業です。

好永 理科の学生は「一列・二列」までが必修で、「演習」は選択です。

穂原 選択科目としては、読解や会話、作文などの目的別の講座と、インテンシヴというコミュニケーションの実践を重視した講座が用意されていて、それぞれ初級・中級・上級とレベル別にクラス分けされています。

和泉 文科は語学の必修枠が多いこともあり、選択のインテンシヴの授業を入れると、Sセメスターはドイツ語の授業を週5コマ取っていました。Aセメスターは2コマに減らし、第3外国語の中国語1コマのバランスです。

好永 理科は逆に理数科目の必修科目が目白押し。だから、1年のSセメスターから受講していた中級(読解)の授業が、よい気分転換になっていました。教室のほとんどが2年生の中に1人混ざって。他の授業は理科のクラスメイトと一緒だったから、新鮮な感覚でしたね。

――授業はどのような形で進められるのですか。

和泉 文法や読解は予習中心。学生の解答に先生が解説する流れが基本です。会話はテーマに沿って先生とやり取りします。私は出席番号の関係で、最初に当たることが多くて。ネイティブの先生は日本語が通じないこともあるから、お互いに噛み合わなくて「?」ってなる時がある(笑)。

好永 韓国語もほぼ同じですね。中には厳しい先生もいらして、「わかりません」と言っても正解にたどり着くまで徹底的に議論が続くこともあります(笑)。そういえば、上級(会話)を試しに受けた時は凄かった! 後期教養の人ばかりで、みんなペラペラ話せるんです。もっと勉強して出直そうと思いました(笑)。

穂原 上級のクラスは修士課程の学生も受講するくらいだから、本当にレベルが高いです。後期教養にはより実践的な授業もあって、この前も先生と受講生で1コマ105分、ずっとフリートークでした。どうしてもわからない時は英語を使い、あとはロシア語で話し続けるんです。もう必死です! でもその分先生との距離が近いのが魅力で、先生に自分の書いたレポートを添削してもらったり、マンツーマンレッスンをお願いしたりしています。
それから、先生方は語学を教えるのとは別に、それぞれの研究分野をもっています。歴史や文学など、授業中に先生の専門についてたずねると、いきいきと楽しそうに話してくれるのも面白いです。

「真面目にコツコツ」、「マイペース」・・・。ともに学ぶクラスの雰囲気は?

――東大は第2外国語でクラス分けがされるんですよね。クラスの雰囲気はいかがですか。

和泉 私のクラスは真面目な人が多い印象ですね。ドイツ語を選択する人は元々英語が得意で、高校生の時もコツコツと語学を勉強するのが好きだった人が多いような気がします。

好永 私の韓国語クラスとは正反対ですね。私のクラスには「アルファベットは見たくない」という人が多いです(笑)。私のようにK-Popや韓国映画から入った人が多いのかなと思ったら、そうではなかったのが意外でした。

和泉 「ロシア語は変わった人が多い」という噂をよく耳にしますが・・・。

穂原 たしかに、私のロシア語クラスは変わり者が多いと思う(笑)。1年生の時に、ロシア語・韓国語・イタリア語のクラスを集めて合同交流会をやろうとなったけど、幹事として引っ張ってくれる人がいなくて結局実現しなかった。マイペースな人が多いんだろうなって思った出来事でした(笑)。

――クラスで結束が生まれたり、一緒に勉強したりすることもあるのですか。

好永 韓国語クラスは他の言語に比べて学生数が少ないせいか、まとまりはあるかも。大学の近くに住む人の家に集まって、勉強会もしましたね。ワンルームに10人くらいぎゅうぎゅうになりながら(笑)。試験前はグループLINEを使ってみんなで演習問題と格闘します。私はクラスでも韓国語を勉強している方なので、中心になって頑張っています。

和泉 私のクラスも「これで合ってる?」とLINEに質問を投げると、ドイツ語が得意な人が解説してくれます。いつもものすごく丁寧に説明してくれてありがたいです(笑)。

穂原 私のロシア語クラスはうーん……、特になかったなあ。やっぱりマイペースなんですね(笑)。

学ぶ意味は自分が決める。東大での外国語学習

――東大で外国語を学んでいて、どこに面白さを感じますか。やっぱり高校までの英語の授業とは違うのでしょうか。

和泉 そうですね。英語が嫌いなわけではなかったけど、高校までの英語は受験もあるし義務感でやる気持ちが勝っていた感じがします。点数を取るためのテクニカルな学びをしていたというか。でも今の学びはもっと主体的な感じがしますね。特に第3外国語の中国語は誰からも強制されていないので、自分の興味で向き合えている気がします。

好永 私は中学生の頃のワクワクがよみがえったかも。K-Popファンの対訳ブログやスマホアプリで調べながら、好きな歌の詞の音や意味が分かった時の素直な喜びと、今韓国語を勉強しているモチベーションは根底でつながっているような気がします。多少効率が悪くても、楽しんで学べていることが一番だなって思います。

穂原 高校の時は、語学が目的になっていましたよね。でも今は道具です。正直、勉強は今のほうが苦労しているけど、学ぶことによって得られるものの価値がまったく違う。ロシア語が自分を高め、居場所を広げてくれています。だからやめられないですね。

今回の座談会が初対面とは思えないほどの盛り上がりで、話が尽きない3人。後編ではそれぞれの言語の魅力や、語学学習を通じた生活や価値観の変化などを紹介します。(後編はこちら

インタビュー・構成/「キミの東大」企画・編集チーム