ちょっとひといき ちょっとひととき(6)-東大生の「はじめて」ものがたり 

2023.04.12

東大生コラム

テーマを絞って発信する東大生のコラム企画

第6回目のテーマは東大生の「はじめて」ものがたり。春です。ひとり暮らし、新しい友人との出会いや学びなど「はじめて」をたくさん経験できる季節がやってきました!今回お届けするコラムは、東大生の「はじめて」にまつわるお話です。春の訪れとともにお楽しみください。

大学での新生活

文科三類1年 A.O

去年の4月。地方から上京し、東大に入学した。
初めの2週間はすべてオンライン授業だった。初めて習うドイツ語の発音に苦労し、オールイングリッシュの英会話の授業では先生やほかの学生が何を言っているか分からず悔しかった。とにかく、周囲の学生のレベルの高さに驚き、ついていくのに必死だった。
対面での授業が始まるとさらに大変なことが増えた。それは電車通学だ。高校までは自転車や徒歩で通学していたので電車通学は初めてだった。特に朝は電車内や駅がとても混雑していて大変だった。でも、対面の授業が始まってからは、クラスメイトと喋ったりご飯を食べたりするようになり、少しずつ大学に行くのが楽しくなってきた。
また、いくつかサークルの体験に行き、ある音楽系のサークルに入ることに決めた。高校まで運動部だった私には大きな挑戦だったが、優しい先輩や同期に囲まれ、楽しく活動できている。
大学生活最初の1ヶ月は、特に上京してきた人にとっては精神的にも身体的にも疲れやすいと感じる人が多い。無理せず、焦らず過ごすことが大切だと思う。

オリ旅行で山梨県へ行きました

 

エスプレッソ

文学部3年 Sophie

いわゆる「コロナ世代」だ。入学した途端にオリエンテーションも授業も、全部オンラインではじまった。なんだかんだで前期課程のあいだじゅう、集中講義以外は一度も駒場で授業を受けることがなかった。だから駒場に行くと、いまでも道に迷う。
メインのキャンパスが本郷になった昨年の春が、とにかく「はじめて」にあふれていたのはそのせい、いや、そのおかげと言うべきか。
はじめて学食でお昼ごはんを食べた。
はじめて授業終わりに友達と待ち合わせて、近くのお店に行った。
はじめてキャンパスで知り合いにばったり出くわした。
はじめて、はじめて、……。
世代が違う人、学校が違う人はもちろん、同い年で同じ東大生でも私よりアクティブに駒場に出向いていた人にこんな話をすると、けっこう驚かれるし、なんだか同情されることもある。 けれど、3年目にしての「はじめて」こそが、昨年一年間をぎゅっと凝縮した。トリプルエスプレッソの濃さで、こもりきりだった2年と合わせて新しい1年が抽出されていく感じ。
何気ない「はじめて」が、深みのある味になった。

次の春に振り返る1年は、どんな味になるだろう

 

はじめて

医学部3年 K.A.

主に家電量販店の広告でよく見かける通り、「春」というのは、いろいろな人にとって新生活のスタートとなる季節です。春から大学や高校に進む学生さんや新社会人の方々はもちろんのこと、そうでなくてもさまざまな節目としていろいろな「はじめてのこと」を経験することになるでしょう。かくいう私もこの春から大学4年生になるわけですが(6年生の学部なので、大学生活の前半戦が終了した感じですね)、それでもこの1年間を振り返ってみると、いろいろな「はじめて」が詰まった生活だったなというふうに感じられます。はじめて医学部の解剖実習を通して人の生死に向き合ったこと、新型コロナウイルス感染症対策としての行動制限が弱まって大学生活で初めて海外へ旅行、留学できたこと、サークルの合宿がはじめて開催されたこと。私自身が小中学生や高校生であったころにもまして、この大学で送る生活は「はじめてのこと」だらけのものです。
これを読んでいるみなさんの春が、わくわくするような「はじめて」の体験で満ちていることを願います。


留学で訪れたバンコク

 

初めてのインターンシップ

文科一類2年 Cookie

私は、大学1年生の秋からコンサルティングファームにて、インターンを開始しました。私が早期からコンサルティング会社でインターンを始めたのは、自分が将来どのような職に就きたいかを見極めるきっかけしたいと考えたからです。大学での授業を聞き、面白いと感じる分野はありましたが、それらが実際に社会の中でどのように活かされているか掴めていませんでした。コンサルティング会社は、様々な業界の案件を扱うため、ビジネスについて、そして社会について、より理解を深められると考えました。
インターンでは、会議の議事録作成や、パワーポイントの作成などをしています。裏方の仕事に聞こえますが、クライアントとどのような議論をしているのか、どのような戦略を取ろうとしているのかが分かり、貴重な経験をさせてもらっていると感じています。
また、会社で働いている社会人とお話しする機会を得ることもできました。ランチの時間になると、ランチに誘っていただいて、新卒就職を超えた人生設計についてお話を伺うことも多々あり、有意義な経験だと感じています。

社会人の方とのランチ

 

はじめてのフランス映画、はじめての専門の壁

文学部3年 Y.O.

ジャン=リュック・ゴダールという人物をご存知でしょうか。ヌーヴェルヴァーグで有名な映画監督ですね。…と言いつつも、恥ずかしながら私は大学2年生になるまでその名を知りませんでした。ゴダールは有名すぎるかもしれませんが、その分野では超有名であっても、その分野を素通りしてきた人間の記憶には残っていない、という例は多くあります。
私が初めてゴダールを知ったのは、フランス映画の講義でのことでした。軽い気持ちで『カルメンという名の女』(1983)という作品を鑑賞しましたが、他の人たちは当然のように「ゴダールの他の作品と比較して〜」だとか「原作のメリメの『カルメン』を昔読んだのですが〜」と難解な議論をしており、私はろくに意見を述べることができず、ひたすらそうした知識に圧倒されていました。この授業は後期課程の専門の授業ということもあり、前期課程の教養の授業との違いを身にしみて感じました。それからの私はなんとか議論についていくべく、図書館で本を積み上げ、勉強するようになりました。今思えばいい経験になったと感じています。

図書館で参照した本(ジル・ドゥルーズ『シネマ2*時間イメージ』
宇野邦一・石原陽一郎・江澤健一郎・大原理志・岡村民夫訳、法政大学出版局、2006年)

 

はじめての海外渡航

法学部4年 3days ago

僕の中で印象的な「はじめて」は、人生初の海外渡航です。 僕は1年生の夏、東大のサマープログラムで上海交通大学に短期留学していました。この上海こそ、僕が日本国外で初めて踏みしめた地です。飛行機すらほとんど乗ったことのなかった僕にとって、数時間かかる空の旅の末に、普段生活している土地と時差がある場所で暮らすのは、ちょっとした天変地異とも言うべき出来事でした。いや、流石に大げさですかね。笑
とにかく、上海での経験は、どれをとっても初めての、新鮮なことだらけでした。そもそも現地の人に自分の母国語が通じないなんて経験したこともなかったので、びっくりすると同時に、その土地の言語を勉強するモチベーションがぐっと引き上げられました。実際、帰国してからは、第2外国語の授業にそれまで以上に真剣に取り組むようになっています。また、知識としてしか知らなかった「中国」を、他のレンズを通さず自分の目で直接見たことは、非常に貴重な経験になりました。


青空にそびえる、上海の超高層ビルたち

参考リンク ほかの回の記事はこちらから

原稿作成/2023年3月
企画・構成/「キミの東大」企画・編集チーム
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