ちょっとひといき ちょっとひととき(12)-大好きだから、キミに届けたい【映画編】
東大生コラム
2024.12.10
2025.06.02
テーマを絞って発信する東大生のコラム企画
第13回目のテーマは「この春のわたしの新たな出会い」。新年度を迎えて、東大内外問わず、この春東大生が初めて出会った人、物事、初めて訪れた場所や、新しく始めたことなどなど……。受験勉強の合間にちょっとひといきつきませんか?
私はこの春、某国立大学から東大院に進学しました。新たな出会いはまずは「研究室」でありました。入学以前は、東大というとみんな学歴至上主義で、とても堅苦しいイメージがあったため、ビクビクしていました。研究室の先輩や同期は皆とても謙虚で努力家で親切。本当に優秀な方はこんなに腰が低いのだと感銘を受け、私も見習わなければならないと思いました!「授業」での出会いもありました!東大の工学系研究科は自分の専攻以外の講義も履修することができます。私はアントレプレナーシップの講義や国際交流系の講義も履修しました。大学時代では、自分の所属する学科の講義が多く、知識やその場にいる学生も限られてしまいましたが、東大院の講義ではさまざまなバックグラウンドを持った学生と関わりながら、「新たな」知識や経験を得ることができました!東大は充実した研究設備や潤沢な研究予算などの研究環境や立地面で惹かれて受験しましたが、それ以上に現在は東大での「新たな出会い」に魅力を感じています。
春になった。気づけば私はもう大学3年生になった。思えばこの3年間はあっという間だった。自然豊かでのどかな地元から上京してきた大学1年生の頃、都会の暮らしになかなか慣れず大変な思いをしたことも懐かしい。今でも東京の満員電車や人の多さには慣れないが、東京に来て良かったと思うことがこの3年間で本当にたくさんあった。東京に出てきたからこそ会えた人や、参加できたイベントや活動など、貴重な経験を多く積むことのできた時間だった。
そして、今年も春がやってきて、私の大学は新入生を迎える。私の母校からも後輩たちがきてくれた。後輩が高校生の時からアドバイスなどをさせてもらっていたので、とても感慨深い気持ちになる。私の通っていた高校は、東大に受かる人は毎年そこまで多くなく、東大を選択肢に入れる人も少ない。そこで、自分を例に後輩に東大で学ぶ道もあることを示したいと思って、母校に還元しようとしてきた。
だからこそ今、新たに入学してきた後輩が、新生活に胸を躍らせ、大学での新たな出会いに笑顔をこぼしていることがとても嬉しい。差し出がましいかもしれないけれど、大学生活は意外とすぐに過ぎちゃうから、今やりたいと思うことにたくさん挑戦して、充実した大学生活にしてほしいな、と心の中で願うのであった。もちろん私自身も、残された期間を全力で楽しみ、学びたいと思う。
「東大の授業って難しそう、東大生って堅苦しそう」、そんな印象が少しでも和らげば嬉しい。
私の新しい“出会い”のお相手は、とても小さくて、けれども奥深い存在――微生物だ。もちろん、顕微鏡のレンズ越しに。
生命化学・工学専修では4月から学生実験が始まる。教科書や文献の中でしか知らなかった微生物の姿を、自分の目で確かめられる日を心待ちにしていた。
顕微鏡を覗いた瞬間は、ぼんやりとした影しか見えない。それでも、ピントを合わせていくと、少しずつ輪郭や構造が明瞭に。そして、教科書で見たあの形がついに目の前に現れた。
もちろん本に載っているように鮮明に見えるわけではない。実験書通りに進めても想定通りの結果が現れるわけではない。
人間にもAIにもコントロールできないちょっと気まぐれな微生物。同心円状に広がりながら日々変化するコロニー。動く様子を目視できなくても、“生”を感じる瞬間だ。
今、締切迫るレポートと格闘する傍ら、このコラムを書いている。レポートにはわざわざ書かない小さな発見が、私の中で新しい“出会い”になっていく。
私がこの春新たに始めたのは、電車内での読書だ。小学生の時はわずか15分の休み時間でも外に遊びに行っていたものだが、今となっては電車に乗っている15分間にはついSNSを見て暇つぶしをしてしまう。この時間を有意義に活用できないものかと考えた結果、読書をして過ごすことにした。朝の忙しない時間に読書をして心を落ち着かせ、疲れた帰り道に1人読書をする時間をとることで、精神的に安定するようになった気がする。また、読んだ本に関する話題に興味が広がったり、友達との会話のネタになったりと、今のところいいことずくめである。最近は、本屋大賞になった『カフネ』を読んだ。ネタバレは避けるが、疲れた人に沁みる物語だと思うのでおすすめしたい。読書が習慣化してから、本屋や図書館を巡りたいという気持ちが高まっている。新しい習慣が新たな出会いを呼ぶ予感がしている。隙間時間にSNSを見たり連絡を取り合ったりするのも良いが、ゆっくり読書をする時間にあててみるのも悪くない。
この春、土日を使って、大阪万博に行ってきた。
手荷物検査を通り、会場に入ると、すでにたくさんの人で賑わっている。どこからともなく美味しそうな匂いが漂っていたり、音楽が聞こえてきたり、非日常感に包まれていた。
万博で特に素晴らしいと思ったのは、多様な建築物である。大屋根リングや各パビリオンは、デザイン性が高いだけではなく、使われている素材や構造にも特徴があるようで興味深かった。
友人との間で万博の話題になった時に、理系の友達から「いのちの動的平衡館」を勧められていたので、それも欠かさずに行ってきた。パビリオンのプロデューサーがどのような分野で注目されているのかを事前に知っていたおかげで、より深く楽しむことができた。前もって友人にお薦めを聞いておいて良かったと思う。
個人的な感覚で万博を説明するなら、博物館と科学館がディズニーランド化したような印象だった。そういった施設が好きな人は特に楽しめるのではないかと思う。