ちょっとひといき ちょっとひととき(11)-わたしの地元、わたしの暮らし
東大生コラム 2024.08.30
2024.12.10
テーマを絞って発信する東大生のコラム企画
第12回目のテーマは「大好きだから、キミに届けたい【映画編】」。幅広い趣味をもつ東大生がおすすめの映画を紹介します。作品はもちろんのこと、東大生への関心を高めるきっかけになればうれしいです!受験勉強の合間にちょっとひといきつきませんか?
大学4年生の冬、私はシェアハウスに住んでみた。全く知らない8人で1つの家に住むタイプだった。引っ込み思案で、知らない人と共同生活をするなんて無理だと思っていたが、自分の殻を破りたいと思い立ち、引っ越したのである。
緊張しながら迎えた初日、なんとなくリビングに佇んでいたところ、ほかの住人が集まってきて気づけば『イエスマン』の上映が始まっていた。そこには何でも「NO!」と言って後ろ向きな主人公が、何事にも「YES!」と言って挑戦するようになってから人生が好転していく話が描かれていた。まさに一歩踏み出してみた私を後押ししてくれるような内容だった。
観賞中に自己紹介がてら聞いたシェアメイトの話も、私を元気づけた。ある人は起業していて、ある人は世界一周したことがあり、またある人は日本が好きで移住してきたフランス人だった。彼らはみな生き生きとしていて、何でもやってみるイエスマンだった。
この映画とシェアメイトとの出会い以降、私は今までの自分では考えられないほど多くのことに挑戦するようになり、人生が大きく広がっている。
これは朝井リョウさん原作の映画で、今読んでくださっている方の中にはまだ詳しく知らない人も多いかもしれないテーマを扱っています。内容には触れませんが、この映画は知らなかったことを知るきっかけになるかもしれません。入試問題を解くための知識は人生の選択肢を増やすためにも、生きていく上でも役に立ちます。知識を増やす努力をしなかった東大生はいないはずです。でも、テストには出てこない世界を知るということも本当に大切なことです。大学では、似たような環境で育ち、似たような価値観を持つ人に囲まれるかもしれません。ですが、私たちが生きていく広い世界では、自分が考えもしなかったことが次々と起こるし、予想もしていなかった自分に出会います。そんなとき、自分も周りも傷つけないためには、深い想像力と多くのことを知っていることが大切かもしれません。この映画はその一助になるでしょうし、人が旅をするのにも同じ理由があるんじゃないかと思います。大学生になればたくさん時間があります。ぜひたくさん映画を見たり、旅に出たりしてみてください。
主人公の月島雫のように、いろは坂を風をきって駆け降りることができたら、どんなに心地良いことでしょう。『耳をすませば』は、私の大のお気に入り映画です。ある住宅街で繰り広げられる中学生の青春劇。ひょんなことから出会った天沢聖司と雫の初々しさあふれる場面や、聖司がバイオリンを奏でるシーンは見逃せません。映画で登場するアンティークショップ「地球屋」の描写では繊細な時計や瞳の澄んだネコの人形「バロン」の美しい描写も必見です。また劇中で流れる音楽も見どころのひとつ。各シーンで流れるカントリーロードの心地よいメロディーが耳をくすぐります。 私は今年の夏休みに映画の舞台である聖蹟桜ヶ丘を散策してきました!雫が勢いよく駆け上がった階段や、自転車で走ったいろは坂、地球屋のあるロータリーなど映画のままの世界が広がっていて感動しました。主人公と同学年だったころと大学生になってから観る『耳をすませば』ではまた違った感情を抱きます。みなさんもぜひ雫のひたむきで確かな成長を見届けてみませんか?
私がエヴァンゲリオンシリーズにハマったのは、新型コロナウイルス禍で思わぬ暇を持て余していた2020年、YouTubeで『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』3部作が公開されたのがきっかけです。すぐに3本見終え、そこからアニメ、旧劇場版やマンガにも手を出しました。続編の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』も、公開後すぐ映画館で観たのを覚えています。さらに3年経った今でも、ファンの考察を見て楽しんでいます。
私は、この作品の大きな見どころは、碇シンジが大人になる過程だと思います。シリーズを通じて、父に対する強烈なコンプレックスや周囲の期待に応えられない無力感などを滲ませていたシンジ。そんな彼が、最後には各種の負の感情を克服し、父も己も乗り越えて、自立した大人になっていったのが印象に残りました。また、彼自身の自立によって、周囲の自立した主体たる他者との健全な交流が回復したように見えたのも興味深かったです。これは、当時人との交流が制限された新型コロナウイルス禍だったからこその感想かもしれないと、今にして思います。
私のおすすめする映画は、『Les Misérables』です。主人公のジャン・バルジャンは1斤のパンを盗んだ罪で19年間も投獄されていましたが、仮釈放時に再犯してしまい一生身を隠すことになります。一方で、貧しい女工ファンテーヌは仕事を追われ、性悪な人間とは知らず、宿屋を営む夫婦に一人娘のコゼットを預け、娘を養うために娼婦になってしまいます。やがて、この二人は出会いますがファンテーヌの病死により、ジャン・バルジャンは、彼女の娘であるコゼットを守ろうと奮闘します。そして、物語の後半ではコゼットが成長し、革命をめざす青年マリユスと恋に落ち、結婚するまでが描かれています。
この映画の特徴は、ミュージカル映画であるということです。セリフの大半が音楽に乗せて語られるため慣れない人もいると思いますが、歌だからこそ表せる登場人物の感情があり、感動が5倍増しくらいになります。ほかの魅力としては、ジャン・バルジャン役のヒュー・ジャックマンが超絶イケオジなので必見です!また、この作品は舞台でもやっていますが、物語の全体像を把握しやすいので映画版を先に観ることをおすすめします!みなさんも映画を観て、気分転換してみるのはいかがでしょうか?
腕を広げて雨に打たれる主人公の姿が描かれたポスターをご存知の方も多いのではないでしょうか。
この映画は、無実の罪で終身刑を宣告され、ショーシャンク刑務所に収監された元銀行員のアンディ・デュフレーンの物語です。彼は刑務官による不正行為や腐敗、囚人同士の暴力がはびこる刑務所内でも絶望することなく、生きる希望を持ち続けます。アンディは会計の知識を駆使して刑務所の財務管理を手伝いつつ、図書館を充実させるなど、刑務所の生活改善に貢献します。釈放後に外の世界に失望した元囚人の仲間の自殺や、不正を隠蔽するための刑務所ぐるみでの囚人仲間の殺害、囚人の権利を主張するアンディを疎ましく思った刑務官から目をつけられては懲罰房送りになるなど、絶望的な囚人生活を送りながらも、親友となった囚人レッドとの友情が彼を支え、やがてアンディは長年温めていた「ある計画」を実行に移します。
映画を見ながら一喜一憂しますが、最後には「生きていればどんな状況でも必ず希望が見出せるのだ」と勇気がもらえます。