教養学部(PEAK)・英語体験記

PEAKでの学び

浅野 宏耀 教養学部教養学科国際日本研究コース4年

東京大学教養学部4年の浅野宏耀です、皆さんこんにちは。

「東大って英語で授業する学科があるの?」「PEAKってなに?」「PEAKって日本人でも入れるの?」
といった質問をここ2年間ほど受け続けてきました。

私の所属する学科である国際日本研究コース(PEAKという留学生向けのプログラムの2つある専攻のうちの一つです)では、東アジア研究という分野を留学生向けに英語で教える学科で、原則的にすべての科目の使用言語が英語です。

東大では、進学選択という制度があり、一般入試で入ってきた学生は2年生の真ん中で専攻を選び、2年生の後半から専攻の授業が始まります。PEAKに所属する学生は入試で9月入学の人がほとんどですが、進学選択のタイミングで4月入学の学生が数名加わります。私の場合、文科三類出身で、進学選択でPEAKに入りました。私がPEAKの学科に進学した理由等に関しては、こちら(http://www.todaishimbun.org/peak20171128/)のインタビュー記事を参照してください。

国際日本研究コースの卒業のために必要な単位はこちらです。

授業
1. Core courses(必修科目): 12 単位
2. Elective courses(選択科目): 22 単位
3. Foreign languages(外国語科目): 10 単位
4. Liberal Arts Courses for Advanced Students(高度教養科目):4 単位
5. Others(その他): 18 単位

論文
6. Senior thesis(卒業論文): 10 単位

いわゆる「学科の授業」とは、必修科目や選択科目を指し、後期課程で要求される66単位(卒業論文を除く)のうち34単位(すなわち、105分の授業を週17コマ、13週間(1セメスター)にわたって受講する量に等しい)です。これらが英語で開講されるPEAKの授業で、それ以外の要求科目はどの言語で開講されている科目でとってもいいです。つまり、最低でも全体の半分くらいに当たる34単位は学科の科目をとらなければなりませんが、時間割のすべてが英語になってしまうというわけではありません。

外国語科目では、英語(専門英語という科目を除く)と母語の授業は履修できません。ただし、専門科目という科目は英語を使って実践的に何かを学んでみようという科目なので例外となります。「英語を学ぶ」ではなく「英語で学ぶ」というスタイルが貫かれています。私の場合は中国語、台湾語、スペイン語などを受講しました。スペイン語はPEAK生向けに開講されていたので英語で教わりました。

私の肌感覚的には先生方は日本人と外国人が半分くらいずつです。そして、PEAKの授業の受講者のほとんどはPEAK生か交換留学生です。なので、交換留学生とはずいぶん友達になりました。交換留学の人は日本語ができない人もいるので、仲良くなれれば自動的に英語のスピーキングの練習になるかもしれません。日本人の学生も履修できますが、私のとるPEAKの授業にはあまり多くは現れません。英語を話したい、留学生の友達が欲しい、日本人の学生は積極的にPEAKの授業をとってみるといいと思います。

必修の授業では、ディスカッション、レスポンスペーパー、プレゼンテーション、期末エッセイがあることが多いです。盛りだくさんですね。以下では、英語を学ぶという観点から一つずつ解説していきます。

[ディスカッションについて]
教養学部は全般的に少人数の授業が多いので、(レクチャーではなく)ディスカッションをする授業が多いように感じます。毎週リーディング(予習してくる文章のことで、本や論文から指定されて、PDFファイルを教授が配布したりします)が課され、週一回の授業の中で時間をとってクラス全体で議論するか、数人のグループを作って議論してから全体で議論の内容を共有したりします。

[レスポンスペーパーについて]
レスポンスペーパーとは、一学期13回の授業のうちで2個ほどリーディングの課題に関して論じたり、自分の意見を書いたりするものです。小さなエッセイみたいなものです。

[プレゼンテーションについて]
プレゼンも一つの授業で1〜2ほどあります。内容は、期末エッセイの内容を授業全体にシェアするものや、リーディングの内容を考察して、生徒が授業をするような形のものなどがあります。英語を話したり、英語で発表したりする機会は、PEAKの学科に入るまではあまりないと思うので、普通の日本人の学生にとって最初は少し大変かもしれません。しかし、自分の話すことが人に見られているということで良いプレッシャーを受けて、本格的に英語のスピーキングを鍛える機会になると思います。

私個人的にはそれが役に立つ機会が何度もありました。最近の例でいうと、就活中に米系企業のインターンでデータ分析の結果を英語でプレゼンをする機会がありましたが、「英語でプレゼンをすることには慣れてるみたいで良かったです」というフィードバックをいただきました(肝心の内容は良くないですね(笑)と思われているかもしれませんが)。

[期末エッセイについて]
私の学科の授業はほとんどの場合は試験が全くなく、期末にエッセイを課すのが一般的で、成績評価の大部分はこれにもとづいていることが多いです。

日本人の学生として心配なのが、PEAKの授業をとるにはどれくらいの英語力が必要なのかということでしょう。ディスカッションの時に英語が下手だったら留学生に煙たがられるということもないので、あまり話せない人でも大丈夫だと思います。

また、使用言語が英語の授業をとると、毎週定期的に英語を使ったり英語で思考したりする機会ができてよいと思います。大学で英語を磨きたい人は、ぜひ勇気を出して英語で開講されている授業を取りに行ってみるといいでしょう。
 

文/教養学部教養学科国際日本研究コース4年 浅野宏耀