駒場キャンパス

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今や東京のアイコンとも言えるべきターミナル駅、「渋谷駅」から京王井の頭線各駅停車に乗ってほんの二駅、「駒場東大前駅」を降りてすぐ目の前に広がるのが、駒場Ⅰキャンパスだ。

駒場Ⅰキャンパスには、教養学部(前期課程・後期課程)、総合文化研究科(教養学部の上にある大学院)、数理科学研究科(理学部数学科とその上にある大学院)が存する。科類入試という方式を採用している東大では、入学者全員が教養学部前期課程に2年間所属することになる。つまり、その間は主にこの駒場Ⅰキャンパスで過ごすことになるのだ。

それゆえ、東大が有するキャンパスの中では、最も「フレッシュ」な雰囲気をまとっていると言えるかもしれない。実際、活動の中心を駒場Ⅰキャンパスに据える部活やサークルも多い。毎年春になると、新入生勧誘に躍起になる部活・サークルの立て看板がキャンパス内にずらっと立ち並ぶ。そのため、学生会館(サークル棟)もある駒場Ⅰキャンパスは、サークル生活を謳歌する学生にとって重要な居場所となっている。

しかし、そんな学生たちの「フレッシュさ」とは対照的に、キャンパス内にある建物は「古き良き」ものと形容されえよう。正門から入って目の前にそびえるのは教養学部一号館。もとは旧第一高等学校本館だった建物で、そのゴシック風の時計台は言わば駒場Ⅰキャンパスの象徴だ。登録有形文化財に登録されている現在は、外国語の授業教室として使用されることが多いため、東大生となれば一度は必ずお世話になるだろう。


教養学部1号館

また、一般公開もされている駒場博物館の建物は、もともと旧制第一高等学校の図書館として建てられた由緒あるものだ。美術博物館と自然科学博物館から成るこの駒場博物館は、数多くの資料を所蔵・公開しており、誰でも無料で入館できる。そして駒場博物館の向かいには、対をなすかたちで900番教室(講堂)が位置している。教養学部の中で最も多くの人数を収容できるこの900番教室には、毎日多くの学生が出入りしている。


900番教室(講堂)

他にも、大小さまざまな教室や研究棟があるほか、食堂や購買、図書館、体育館、グラウンドといった、学生生活には欠かせない設備が整っている。また、毎年11月に開催される「駒場祭」の会場も、ここ、駒場Ⅰキャンパスである。

キャンパスの内側から一転、外側に目を向けると、駒場東大前商店会を中心として昔ながらの定食屋やそば屋などが並び、どこか懐かしい気分になる。駒場公園、駒場野公園といった憩いの地や、日本民藝館、こまばアゴラ劇場などの文化施設もあり、落ち着きのあるムードに包まれている。

春には桜が咲き誇り、秋には銀杏並木がメインストリートを黄色に染め上げる。移り変わる四季とともに、ここ駒場Ⅰキャンパスで過ごす前期課程の2年間は、とても貴重だ。そこは、待ちに待った大学生活が始まる場所。初めて受ける「大学教授」の講義、憧れのサークル活動、クラスメートとのテスト勉強……。さまざまな思い出が紡がれていく。多くの東大生が、後期課程に進学する3年生になると同時に別のキャンパスへ移ることとなるが、大学生活最初の2年間を過ごした駒場Ⅰキャンパスに愛着を持つ人は多い。

なお、駒場地区にはⅠキャンパスのほか、附置研究所を有するⅡキャンパスもあり、本郷・柏など他のキャンパスと連携しながら東大における学際的研究の一翼を担っている。

文/学生ライター・伊達摩彦