初年次ゼミナール

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初年次ゼミナール文科・理科(略して「初ゼミ」)という講義は入学したての東大生が、春学期に必ず履修しなければいけない必修科目です。大学の学問全般で言われることですが、高校までの勉強と大学以上の勉強で異なることは、先生に与えられた問いに取り組み定まった答えを導くか、答えの定まっていない問いを自分で立て、自力で答えを導きだすかという点でしょう。しかし、大学に入学してすぐにそれができる学生はいません。そこでこの初年次ゼミナールは大学以上の学問を学んでいくために必要な「自発的に問いを立て、答えを導く」というプロセスを学ぶとともに、論文の執筆のために必要な先行研究や素材集め・議論・執筆の作法に至る、大学で学ぶ者として最低限身に付けておかなければならないことも教えてくれます。

2020、2021年は新型コロナウイルスの影響でオンライン上での開講でしたが、まず共通講義として自分の論文に役立つ文献や資料を図書館やネット上で検索する方法、引用の際に気を付けなければならないポイントや作法などを学習しました。その後クラスごとに決められた曜日・時限に開講する講義の中から、各々が希望した教員の講義を30人弱の少人数制クラスで受講していきます(希望者が集中した場合は抽選)。

講義内容は文系と理系で分かれており、文系なら歴史学や経済学、哲学や文学まで、理系なら生物や物理学、工学や環境に至る幅広い分野の講義が用意されています。あなたもどの講義を希望するかできっと迷うに違いありません。たとえ自分の興味のあるものがなかったとしても、今後触れることのないであろう分野に思い切って飛び込んでみるのも新しいことを知るチャンスとしてはよいことかもしれません。

論文の執筆が最終目標となっているので、多くの学生がこの科目で様々な壁にぶつかると思います。特に論文執筆においては、剽窃つまり他人のアイデアを盗んだり、引用であると示さずに文献を用いたりすることは禁じられており、引用や参考文献の書き方については細かい規定が定められています。しかしそのような障害も教員やTA(授業の補助を行う院生)の助言を仰ぎながら、半年かけて乗り越えていけることも初年次ゼミナールの意義の1つです。

どの講義をとるにせよ、確実に言えることはそれまでの勉強とは全くかけ離れた「学問」の世界に触れ、各分野で活躍する専門家たる東大の教員の下で学べるということです。各教員によって授業の進め方は、全く異なると思いますが、どの教員も必ず学生を入門者として優しく教えてくださるでしょう。一方で、教員と同じ「学問」を学ぶ者として意見や議論については熱心に、そして真摯に向き合い尊重してくださいます。そのため決して臆することなく、積極的に発言し議論に参加して、大学で学ぶ上で必要なスキルを磨いていってください。

文/学生ライター・工藤怜
※ページ内容は作成時のものです。