東大の教育体制

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東大生は、他の多くの大学生よりも専門を決めるのが1年半ほど遅い。東大の教育は前期課程(1、2年生)と後期課程(3、4年生)で分かれており、リベラル・アーツを学ぶ前期課程での学びをもとに、後期課程で進む学部を選ぶことができるのだ。この、入学後に進学先を選ぶことができる制度を「進学選択制度」という。東京大学のウェブサイトには前期課程の特徴や後期課程への進学について紹介しているページもあるので、興味のある人はこちらも参照してほしい。

さて、進路を決めるのが他大学より遅いといっても、前期課程の科類と後期課程の学部にはいくらかの関連がある。下の図は各科類からどの学部への進学が多いかを表したものだ。前期課程には文科一・二・三類、理科一・二・三類の文理合わせて6科類がある。後期課程は法学部・経済学部・文学部・教育学部・工学部・理学部・薬学部・農学部・医学部・教養学部の10学部が存在しており、概ね矢印の通り進学する学生が多い。


※矢印は一般的な進学先を示しており、矢印のない科類にも進学することが可能です。また教養学部には全科類から進学者が出るため、矢印は省略しています。

とはいえ、この図にあるように「一般的な」進学先以外の学部に進学することも可能であり、それが進学選択制度の最大の魅力だと言える。科類を問わず志望できる全科類枠(詳しくはこちらを参照)というものを利用することですべての科類からどの学部にも進学することができるのだ。

では、実際にどのような進学例があるか、見てみよう。
まずは筆者自身の例だが、私は文科三類から経済学部に進学した。高校生時代、文学や英語が大好きだった私は、元々文学部の英文科専修に行ってイギリス文学を学びたい!と文科三類を受験した。しかし大学で受けた講義の中で経済学が最も面白く、方針転換したのだ。私の場合は、東大でなければ経済学を学ぶ機会もなく経済学の面白さを知ることもなかったと思うので、非常に制度の恩恵を受けた。

また文理の垣根すら超えて進路を選択する人もいる。筆者の友人のなかにも、文科三類から医学部健康総合科学科に進学し看護学を学んでいる人がいる。この友人は国際問題に関心があり元は教養学部を志望していたが、大学で学ぶなかで現場で役立つ専門を身につけたいと考えるようになり、医学部への進学を決めたそうだ。

このように、東大の教育体制のもとでは他大学ではあり得ない進路選択をすることができる。前期課程で幅広い学問と出会うことができ、後期課程で学ぶ専門をじっくりと選ぶことができるので、うまく利用すれば自分の進路の可能性を広げることが可能である。

ただし、進学選択制度があるとはいえ、高校生のうちから自分の進路や学びたいことを考えるのは非常に重要だ。入学科類によって進学しやすい学部や前期課程で履修する授業に差が出てくるため、東大入学前から進路について情報収集をすることで入学後のミスマッチを防ぐことができる。また普段から進路を見据え、将来への目的意識を持って学べば、より実りの多いキャンパスライフを送れるだろう。

文・図/学生ライター・中西真由
※ページ内容は作成時のものです。