まずは「行きたい」と思うこと。選択肢のひとつとしての東大―未来の東大女子へVol.2 学生インタビュー

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東大の女子学生は、どのような高校生活を送っていたのでしょうか。また、東大ではどんな大学生活を過ごしているのでしょうか。
東大を目指している受験生はもちろん、とくに未来の東大女子のみなさんに、現役の東大女子からのメッセージをお届けいたします。

PROFILE

  • 本村麗さん
  • 所属:  教育学部3年
  • 出身校: 東京学芸大学附属高等学校

 

高校生活 ―少しずつ東大への進学を考え始める

――高校生活では、どのようなことが思い出に残っていますか。
とくに課外活動が思い出に残っていて、部活動と学校行事にはとても力を入れていました。私の学校では、ほとんどの人が部活動に入っていて、私はバレーボール部だったのですが、平日と休日の4日間、3時間ずつ練習していて、かなり頑張っていましたし、学校行事では、文化祭がとても盛んだったので、9月の開催に向けて、6月くらいからクラスごとに時間を取って、出し物の準備をしていました。

――授業以外ではどんな活動が盛んでしたか。
高校がSSH(スーパーサイエンスハイスクール)や、SGH-A(スーパーグローバルハイスクール・アソシエイト)に指定されていたので、生徒全員がテーマを定めて、なんらかの研究活動を行っていました。

――大学進学について、東大に行くことは自分の中では早くから決めていましたか。
いいえ、そうではありませんでした。私はもともと教育に興味があって、教師になるために教員養成大学や教職課程のある大学で学ぶことのほうが明確にイメージできたので、高校の最初の頃は、何となくそちらを目指すことになるのかなと考えていました。
でも、いろいろな大学の学部について調べていく中で、東大の教育学部には、日本でも最先端の研究をされてる先生方が多くいらっしゃるということを知って「東大で学びたい」と強く思うようになりました。将来、教師を目指すとしても、東大でも教職を履修することはできるし、いざとなれば通信制大学で教職課程の単位を取得することもできると思ったので、まずは教育について広く学んでみようと考えました。私は何としても東大に行きたくて受験したというよりも、東大の教育学部で、教育について学びたいという思いが先にありました。

「女子高校生のための東京大学説明会」に参加

――高校生のときに、東大のキャンパスに足を運ぶ機会はありましたか。
はい。本郷キャンパスで開催されていた「女子高校生のための東京大学説明会」に参加しました。それ以外には、友達と一緒に駒場祭に遊びに行ったこともあります。

――女子高校生向けの説明会に行こうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
東大に女子学生が少ないというのは、以前から聞いていたので、実際に東大女子がどんな学生生活を送っているのか、また、女子が少ないことにデメリットを感じているのかどうかが知りたくて説明会に行きました。説明会でお話をされた方は「女子学生は確かに少ないけれど、だからといって大学に行きづらいとか、勉強しづらいとは感じていない」とおっしゃっていたことが印象に残っています。

大学生活 ―友達や先輩とのつながりで広がる学び

――東大に入ってから、学びたいことはより具体的になりましたか。
大学入学時には、何が学びたいのか、まだぼんやりしていましたが、1~2年生の前期課程でオムニバス形式の授業などを取って、そこで知ったことを自分でさらに調べたり、関連する本や論文を読んだりすることで、自分が学びたいことをブラッシュアップしていったという感じです。
教育心理学や、教育社会学、教育哲学などの授業も受けましたが、教育を社会構造との関わりから考えてみたいと思って、教育社会学のコースに進むことにしました。今、私が興味をもっているのは『学校に通うことを当たり前だと思っているのは、どのような生徒か』ということで、それについて質問紙調査で明らかにしようとしています。

――スムーズに進路を決められたのですね。
進路については、友達ともよく相談し合っていました。教育学部に行きたいけど、どのコースに進むのか迷っている友達もいたので、教育学部の各コースに進んだ1学年上の先輩方に集まっていただいて、コースの違いなどについてお話を伺いました。
この1学年上の先輩方は、私たちが入学したばかりのときに履修のことも教えてくださって、そこからつながりがあったので、こういう上のクラスの先輩とつながりがあるところも、東大の魅力のひとつだと感じています。

――なるほど。ほかに東大に入って良かったと思うことはありますか。
やはり環境がすごくいいと思います。図書館などの施設や教員の方々など、学習に関係することはもちろんですが、いろいろなことに全力で取り組んでいる友達が多いので、それはすごく刺激になります。私の友達も本当にさまざまな課外活動に取り組んでいて、その活動について具体的に教えてもらえるので、その中から「自分が本当にやりたいことはどれだろう」と考えることもできます。一時期はあれもこれも手を出していたんですが、いまはちょっと絞ろうかと思っています。

――今は、どのような課外活動に参加されていますか。
困難な状況にある子どもへの支援に関わりたいと思って、NPOで小中学生向けの学習支援のボランティア活動をしています。子どもたちに会って勉強を教えたり、お話ししたりするのですが、この活動は今後も続けていきたいと思っています。


大学1年次の五月祭の準備の様子。共同作業を通して、少しずつ仲良くなっていきます。

東大を受験する女子がもっと増えてほしい

――大学生活のなかで、女子学生が少ないと感じることはありますか。
私自身はそれほど感じていないのですが、工学部の友達からは、クラスの女子が少ないと聞いています。自分では経験していないのですが、クラスの女子が少ないと、少し居心地が悪く感じることもあるかもしれません。
また、世の中全体を見たときに、男女は大体1対1ぐらいなので、東大の女子比率も社会と同じような比率に近づくといいなと思います。

――東大には女子学生を支援する取り組みもありますね。
女子学生向けの住まい支援もあって、それは有効な策の一つだと思います。あとは、私が話しているように、「東大女子の生の声を、地域や学校にかかわらず届ける」ということはとても大切だと思います。
過去に東大女子を多く輩出している学校だと、東大受験に対する抵抗感が比較的少ないかもしれませんが、これまで、まわりに東大女子がいなかった学校の生徒に対しても、東大生の生の声が届くといいのではないかと思っています。


大学1年の春休み(2020年2月~3月)には、東大のウィンタープログラムでニュージーランドのダニーデン(Dunedin)に短期留学
(写真は休日にビーチに行ったときのもの)

東大を目指す女子高校生へ、東大を目指していない女子高校生へ

――東大を目指す女子高校生、また、今は東大を目指してない女子高生に伝えたいことはありますか。
私は東大に入学してすごく良かったですし、最高の大学だと思っているということを一番伝えたいです。ほかの大学生活を経験したことがないので、比較することはできませんが、人にも恵まれ、とても刺激的で、しかも居心地のいい環境だと感じているので、少しでも興味があったら、すぐに諦めないで、挑戦してほしいなと思います。
また、東大は自分とは無縁だと思っている人にとくに伝えたいのは、メディアで神格化、ブランド化されている面もあるけれど、そんな虚像に惑わされず、東大を特別視せずに、自分の目で確かめてほしいということです。

――まわりの東大生について、特別な人たちだと感じることはありますか。
もちろん、すごく優秀な人はたくさんいます。でも、本当にみんな努力しながら、好きなことに打ち込んでいたり、頑張っていたりするので、頭のつくりが違うとか、そういうことはないと思います。
私も受験生時代の模試などは、全然良くなかったのですが、どうしても東大の教育学部に行きたいと思って、諦めずに努力した結果、合格できたので、「行きたいとどれほど強く思えるか」がポイントのような気がします。

――まずは「行きたい」と強く思うことが大切なのかもしれないですね。高校生・受験生へのメッセージ、ありがとうございました。

 東大女子が紹介! 東大の好きな場所・コト
本村さんの好きな場所:東京大学総合図書館

東大の好きな場所として最初に浮かんだのは、本郷キャンパスにある総合図書館です(このページの最初の画像も総合図書館前で撮ったもの)。90年の歴史がある「大閲覧室」、グループワークができる「ライブラリープラザ」など、学生にとって居心地よく学べる環境が整っています。


入口では「東京大学総合図書館」の文字が出迎えてくれる
 

 

撮影(図書館前の写真)/学生サポータ―・福澤治幸
インタビュー・構成/「キミの東大」企画・編集チーム