自分の直感を信じて選んだ道。馬とともに歩んだ大学生活―未来の東大女子へ(6)

#経済学部 #経済学部 #東大女子 #東大女子 #学生インタビュー #学生インタビュー

東大の女子学生は、どのような高校生活を送っていたのでしょうか。また、大学生活はどのように過ごしているのでしょうか。東大をめざしている受験生や高校生、とくに未来の東大女子のみなさんに、先輩たちからのメッセージをお届けいたします!

PROFILE

  • 氏名:  森本理香子さん
  • 所属:  経済学部 金融学科4年
  • 出身校: 雙葉高等学校(東京都)


時間の使い方を工夫して過ごした高校生活

――高校時代は、どのように過ごされていましたか?
高1の冬に新型コロナウイルス感染症が流行し始めたので、学校も塾もほとんどの授業がオンラインになりましたが、レポートや課題をこなしつつ、散歩したり、大好きな宝塚歌劇のDVDを観たりとリフレッシュする時間も作っていました。受験生のときは、とにかく体調を崩さないように気をつけながら、自分なりに時間の使い方を工夫して過ごしていました。

――そうした状況のなかで、高校時代に取り組んだことはありますか?
自粛ムードで全てがストップした時期以外、小4から高3まで東京乗馬倶楽部のスポーツ少年団に所属し、週1回の練習を毎週楽しみにしていました。中学生になると部内の競技会にも参加して、そこで馬場馬術の奥深さ、楽しさを感じるようになり、大学に進学しても馬術部で練習を続けたいと思うようになりました。


ぶれない意志が私を導く

――東大を受験することを決めたのはいつ頃ですか?
父親が東大出身なので、小さな頃から、東大は特別な場所ではなく身近なものとして感じていました。小学生の頃に五月祭を訪れたときに乗馬体験をしたのですが、馬術部があるから東大をめざそうかなと思ったのが最初のきっかけだったと思います。私は、一度決めた道は突き進むタイプなのでそこからは揺らぐことはありませんでした。小学生の頃からずっと東大志望という感じです(笑)。

――東大に入ってよかったことはありますか?
優秀な友人や先生方がいらっしゃること、そして何より学ぶための全てが整った環境だと思います。昨年のゼミ研修ではフランスのOECD(経済協力開発機構)、スイスのBIS(国際決済銀行)といった国際機関を訪問させていただき、世界から見た日本の姿を学ぶことができました。こうした体験ができるのも、学びのチャンスがしっかり用意されているからだと実感しています。また、さまざまなご経歴をお持ちの先生方がおられるので、実務経験を踏まえた講義は、将来のキャリアパスの可能性を広げてくれる大変興味深いものばかりです。

――経済学部金融学科に進学を決められた理由を教えてください。
前期課程で経済学の授業以外に社会学や人文科学なども履修しましたが、経済学の理論と現実に乖離があるところにおもしろさを感じて、経済学部に進学することを決めました。金融学科を選んだのは、経済学科と経営学科よりも準必修科目の幅が広く、多様な分野が学べると思ったからです。

ゼミ研修ではフランスへ

コタロウと私、それぞれの新しい一歩へ

――大学生活の4年間を振り返って、熱心に取り組んだことを教えてください。
大学生活を振り返ると、まさに馬術部一色でした。活動を通して、私自身さまざまなことを学び、人としても成長できたような気がします。その中でも2022年に東大馬術部にやってきたコタロウと過ごした4年間はとても感慨深いものがあります。1年生の頃は試合馬の担当につくことができなかったので、コタロウと競技に出られるように自分で調教しようと思ったのがコタロウとの始まりでした。コタロウは私の想像を超える成長を見せてくれて、2年生の関東学生女子競技大会に一緒に出場したり、貸与馬として、他大学の学生を乗せて何度も表彰台に立つ姿が見られたりと思い出は語り尽くせません。そのほかにも、第77回東京六大学馬術競技大会でアマデウスT号と4位入賞を果たせたことや今年の関東学生馬術争覇戦において、同期でチームを組み、戦後初のⅠ部リーグ優勝をしたことも思い出に残っています。

――森本さんにとって、コタロウはどんな存在ですか?
苦楽を共にした友達のような存在です。大事な試合の前にコタロウが熱を出してしまったこともあるのですが、つきっきりでお世話をしていたら、輸送前日には元気になってくれました。私の気持ちが届いたのかなと思います。でも、実はそんなコタロウとも今日が最後の練習日です。すごくさみしい気持ちもありますが、明日の朝早くに離厩するコタロウの馬運車を追って、軽井沢の出身牧場まで見送りに行きます。今後、コタロウはトレッキングホースとして、私は社会人として、お互い新たな目標に向かって頑張っていけたらいいなと思っています。

アマデウスT号と挑んだ「第77回東京六大学馬術競技大会」
コタロウ、また会いに行くよ

「これだ!」と思えた瞬間が進路を決めた

――卒業後の進路について、どのようにお考えですか?
大学での学びを活かしながら、国民の生活を支える国の予算編成に携わりたいと考え、国家公務員を志望し内定をいただきました。内定が決まってからは、世代間格差解消に向けた社会保障制度の再構築などに関心があり、関連する政策に携わるお仕事ができたらなと思っています。

――さまざまな選択肢から、卒業後の進路をどのように選びましたか?
最初から公務員を進路として考えていたわけではありません。やりたいことが漠然としているなかで、コンサルティング企業などのインターンシップにも参加してみましたが、どの業界や企業でも利益を追求することばかりが優先されるのが自分にはしっくりきませんでした。そのときに予算編成を行う省庁のOBであるゼミの先生と話をする機会があって、その省の国外、国内にわたる広範な活動内容と、それがもたらす影響力の大きさに魅力を感じ、直感的に進路の選択肢として「これだ!」という感覚が生まれました

直感を信じたからこそ、今がある

――後悔しない選択をするために、意識していることはありますか?
ポニーの体験乗馬をしたことが楽しくて、乗馬を始めようと思ったり、馬術部があるから東大をめざそうかなと思ったり、小さい頃から、自分の直感を大事にしてきました。これまでを振り返ってみても、意外とそれが正しい選択だったと思っています。それは、直感的に選んだ選択肢を、経験や知識を積み重ねて、より確実なものにしていきたいという思いがあるからかもしれませんが、自分ではあまり意識していないんです(笑)。自分の直感を信じて続けてきたことが、今の私につながっているという感じです

――東大をめざす女子高校生、まだ進路に迷っている女子高校生に伝えたいことはありますか?
進路選択で悩んだり、迷ったりしている方も多いと思いますが、自分の直感をもっと信じてほしいなと思います。大げさに言えば、「これが好き」とか「あれがやりたい」という直感を持てた時点で目標は半分達成されていると思います。私のように将来やりたいことが明確でない人ほど東大はおすすめです!進学選択までにさまざまな分野の学問を体験できますし、進路選択においても相談に乗ってくださる教授や先輩方がたくさんおられます。私自身は、大学に入って女子学生であるがゆえの苦労などは感じたことがありません。私は小学校から高校まで12年間女子校で過ごしましたが、自分でも不思議なくらいスムーズに大学生活に溶け込めました。東大は、思っている以上にジェンダーの平等が保たれていると感じています。

人懐っこいコタロウ

 
 東大女子が紹介! 東大のお気に入りスポット
森本さんオススメ! 【東京大学三鷹馬場】

馬術部の活動拠点である東京大学三鷹馬場では、自然豊かな野川のほとりに可愛い14頭の馬が暮らしています。特に自分の担当馬たちは厩舎の外から名前を呼ぶとこちらに来てくれるのでとても癒されます。

大好きな2頭と毎日練習した馬場にて

 

撮影(コタロウ、2頭の馬の写真)/中西祐介
写真提供/森本理香子
インタビュー・文・構成/「キミの東大」編集チーム