「第97回五月祭」レポート2024!-2日目
駒場祭・五月祭 2024.06.28
2021.01.14
第71回駒場祭の様子をレポート
駒場祭は、毎年1、2年生が主体となって運営し、駒場キャンパスで11月に開催される学園祭です。今年は、新型コロナウイルス禍の影響で五月祭に続き、駒場祭史上初めてのオンライン開催となりましたが、東大生のさまざまな工夫を凝らした魅力的な企画が数多く公開されました。「駒場祭のかざりかた」を合言葉に創意工夫されたお祭りの様子を「キミの東大」学生ライターとともにレポートします。
オンラインだからこその魅力がつまった駒場祭の企画をぜひ楽しんでください。
第1回(前編)、第2回(後編)でお届けした学術企画以外にも、展示、物販、参加型、ライブなど「駒場祭をかざる」企画は多種多様!
第3回となる今回は「キミの東大」学生ライターが400近くある企画の中から厳選し、実際にオンラインで観覧した企画の感想をお届けいたします。
マンドリンコンサート(東京大学マンドリンクラブ)
レポート:Sophie
マンドリンは、イタリアの伝統楽器。そのコンサート、というととっても真面目なクラシックのコンサートを想像して、聴いてもきっとよくわからないし…と敬遠してしまう方もいらっしゃるかもしれません。でも!今回のコンサートには、「Pretender」に「ワタリドリ」などなど、馴染みのあるJ-Popの曲が盛りだくさんでした!
今年はこんな状況の中ですから、なかなか全員で集まって合奏の練習をすることも難しかったはず。それでもパートごとにそれぞれ一曲ずつ完成させたり、少なめの人数で全パートでの合奏を行ったりなど、随所に工夫が感じられました。
弾き方によって、鋭く尖った音からキラキラした優しい音まで表現することのできるマンドリン。今回のコンサートでは、温もりのある、まさにオンライン開催ならではの「アットホーム」な音色を楽しむことができました。また機会を見つけて、いろいろな曲を聴いてみたいです!
10分で伝えます!東大研究最前線(大学院生詰め合わせ)
レポート:加藤友樹
この企画では、様々な研究を進めていらっしゃる大学院生の方々が、文理入り混じって「最前線」の研究を紹介してくださいます。予備知識などがなくても気軽に学問の入り口を覗くことができました。
たくさんの研究が紹介されていた中で、今回は私が気になった1つの発表について紹介します。
その発表は文学研究についてのものでした。冒頭、太宰治が著書『女生徒』で発揮した「女性らしい」文体を見ながら、「性別らしさ」はいくらでも装えるということを紹介されたのが印象的でした。また、そもそも文体における「らしさ」とは何なのかということについても考えるきっかけになりました。
後半では本題である研究対象としてフランス女性作家のコレットが紹介されました。1人の作家について複数の著作を追いかけていくことで、当時男性中心だった文壇において活躍したコレットが何を考えていたのかを明らかにしようとする研究の手法と姿勢は、非常に面白かったです。
他にも本当に多様な研究があり、興味深いものばかりだったので、今後はもっと自分から「最前線」に近づいていきたいと思います。
文集〜オンライン東大生の実情〜(2020年度入学文科三類18組)
レポート:前田小兵ニ
「文集~オンライン東大生の実情」は、オンラインからはじまった大学生活という特異な経験を、座談会、アンケート、エッセイなどの様々な方法を通して読者に伝えてくれる「文集」である。コロナ禍で大学に進学した彼/彼女らの生活の実情を具体的に知る機会はあまりなかった。それゆえ、この文集は学生以外の大学関係者にとっても非常に有意義なものとなるだろう。
この文集は、その内容自体が有意義であるとともに、その形式も非常に興味深いものであった。バイトができなくなったこと。友人たちと会えなかったこと。オンライン授業で疲弊していること。大学入学前の学生生活のイメージと、大学入学後の実情を交互に掲載する構成からは、彼/彼女らの失望のさまがありありと伝わってきた。そのような実情は見聞きしていたものの、「文集」によってあらためて切実な問題として実感させられた。徐々に増え始めた対面授業を含め、来年度以降のキャンパスライフへの期待なども描かれており、どうかこれらの期待が現実となるよう願わずにいられなかった。
そして、私にとってなにより興味深かったのは、おそらく無意識のうちにであろうが、同時にこれがオンラインで過ごす新入生たち自身の内面の報告にもなっていることである。愛読書として『図書館戦争』が挙げられていること。上級生と仲良くなれなかったためにテスト対策に困ったこと。まだ受験の話で盛り上がれることに、多少の自嘲の念を抱くとともに嬉しさをまだ覚えること。そして「結論は、早く対面になってくれ、という一言に尽きる」ということば。後輩たちのこうした「実情」を知ることがなかった私にとって、これらは深く印象に残った。これらの表現それ自体のうちに、「学生」生活の不在が現前しているのかもしれない、と感じた。
イタリアつくせり(2020年度入学理科二・三類6組)
レポート:大久保直美
理科二類・三類で唯一のイタリア語クラスである6組のイタリアつくせりのクイズ企画、難問トリ〜ノ 解いてミラ〜ノに参加してきました。スタッフ全員がイタリア国旗の色である赤、白、緑のいずれかのオリジナルパーカーを着ていてイタリア感を感じさせてくれる雰囲気でした!
クイズの内容は一般的なクイズだけでなく、イタリアにちなんだ問題が多くあり、イタリアに行きたくなるような内容でした。わかりやすいテロップが表示されていたので、音の出しにくい環境でも参加しやすくなっていました。
コロナ禍においてソーシャルディスタンス等の制約がある中、制限を受けていることを感じさせない充実した企画でした!
さいえんすしょー(2020年度入学理科一類35組)
レポート:松浦流音
こちらで紹介するのは、2020年度入学理科一類35組が理科実験の様子を配信した、「さいえんすしよー」です。コロナによる異例の対応が続く中で心休まらぬ日々を送る受験生や、外に出られずストレスが溜まりがちなキッズ、科学の知識を忘却の彼方に置いてきてしまった文系大学生(筆者)等々…、誰が見ても楽しめる、充実した企画だったと思います。
全体を通して、スムーズな実験操作・面白く簡明な解説の裏に、幾度もの試行錯誤や細かな準備が透けて見える企画でした。説明のフリップやロゴのデザイン、実験手順、原稿等、大変に練り上げられたものだと思われ、努力が偲ばれます。私はこの企画のメッセージのひとつは、「知的好奇心を頼りに、納得いくまで模索する」だと感じたのですが、これは全受験生のみならず、この大変な状況を生き抜く全人類へのアドバイスとも言えるのではないでしょうか。話が大きくなってしまいましたが、とにかく楽しくて、ためになる企画なので、ぜひYouTubeでご覧ください!
「魅せる」「楽しむ」「まなぶ」のそれぞれをコンセプトとした実験のいくつかをご紹介します!
◆【魅せる】小さな天気
試験管の中に小さな天気を再現する!という素敵なコンセプトのこちらの企画では、身近な物質を使って「雪」「雲」「虹」という3つの天気が見事に試験管の中に閉じ込められちゃいます。日頃から実験を行っているだけあって、学生のスムーズな実験操作に見惚れていると、試験管の中に驚きの変化が!詳しくはぜひご自分の目でご覧になって欲しいのですが、ご無沙汰していた純粋な知的好奇心を思い出させてくれるようなひと時でした。不思議な現象の原理解説も丁寧で、(視聴者のためにかなり簡略化しているとのことなので、気になったら調べてみましょう)合間に挟まれる豆知識にも魅せられました。塩化アンモニウムのアンモニア臭を楽しむお菓子があるなんて知らなかった…。世界は広いです。
◆【楽しむ】作って楽しむ定番実験
こちらのコーナーでは家でも簡単にできる楽しい実験が2つ(ダイラタンシー、磁気スライム)紹介されます。2つとも科学界ではかなり定番の実験と思われるのですが、原理をしっかり説明されたのは初めてな気がします。実験をする手からもテンションの高さが伺え、非常に好印象でした。
◆【まなぶ】ピタゴラ de 物理
学生による手作りのピタゴラ装置をもとに物理の現象を解説するという企画、まずは装置の完成度に舌を巻きました。本や段ボール、割り箸といった日用品を駆使して作りあげられた渾身の装置、是非、生で見たかったです。紹介されている諸現象は、「渦電流」「サイフォンの原理」「ガウス加速器」の3つ。複雑なコースを難なく転がる鉄球に「おぉ」と言うことしか出来ない筆者にはほぼ未知の現象でした。そんな不学者にも優しい解説で、例えば渦電流がIH調理器に活用されていることや電力損失の原因となっていること、またその対策を学びました。物理現象が様々なスケールで身の回りに溢れていることが実感できます。さらに意外だったのがサイフォンの原理にまつわる様々な解釈。一見単純な現象の説明に人類の叡智が注がれた歴史が垣間見え、徐々に複雑化していく理論の裏に科学者の汗と涙が見えました。
活動が限られている中でも、日頃の成果を発表するべく東大生がさまざまな工夫を凝らし、作り上げた企画の一部を紹介しました。オンラインならではの魅力の詰まった駒場祭の雰囲気を感じていただけたでしょうか。最後まで読んでいただいたみなさん、当日、参加してくださったみなさんも本当にありがとうございました。