オンラインで東大見学!―『高校生のためのオープンキャンパス(オンライン開催)』レポート (2)

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バーチャル安田講堂

東大の最先端技術を体験!模擬講義の様子

2020年9月21日・22日に、東京大学がオンラインでのオープンキャンパス(第1弾)を開催しました。
直接キャンパスに行けない今だからこそ東大をより身近に感じられる、そんな工夫が盛りだくさんの2日間を「キミの東大」のスタッフも体験してきました。
第2回のレポートは、東大が誇る最新の研究に触れる模擬講義を2つ選んでお届けします。
 
高校生と東大生が交流した企画をまとめた「第1回レポート」はこちら

学部生も最前線で活躍中!「大学発超小型衛星が拓く新しい宇宙開発利用」

YouTube Liveで配信された、工学部 航空宇宙工学科の中須賀真一教授による模擬講義。テーマは「超小型衛星」です。
通常の人工衛星は莫大な開発費用をかけてビル1棟ほどの巨大なものを作りますが、中須賀教授の研究室では電気街で購入可能な既製品を活用し、超小型で低コストの衛星を製作・運用しています。

中須賀教授研究室 超小型衛星
中須賀教授の研究室で開発・運用している人工衛星(中須賀・船瀬研究室HPより

超小型衛星の魅力の1つは、学部生でも開発の中心を担えるところ。
「CanSat」と呼ばれるプロジェクトでは、工学部の3年生たちが中心となって空き缶サイズの模擬人工衛星を製作します。本物の超小型衛星の開発に携わるのは4年生からですが、3年生の間に「CanSat」で開発から打ち上げまでのすべての工程を経験することを通して、衛星開発者・研究者の基礎を身に着けることができるそうです。

宇宙は意外なほどに近い。そんな事実に驚いたこの講義。
受講した高校生の皆さんも、数年後に宇宙を目指している自分の姿を想像し、わくわくしたのではないでしょうか。

 

VR技術をVR空間で学ぶ「バーチャル安田講堂」

コロナ禍で東大のキャンパスを見学できないことを逆手に取って開発された「バーチャル東大」。
専用のアプリをダウンロードすれば、バーチャル・リアリティ(VR)技術で再現された東大本郷キャンパスをオンラインで探索することができるようになりました。

「バーチャル安田講堂」では、バーチャル東大を開発した工学部・教養学部の学生3名と、先端科学技術研究センター教授の稲見昌彦先生がVRの制作方法やVRの未来について模擬講義を行いました。
会場は、VR技術で再現された安田講堂大講堂です。模擬講義では、この会場を夏休み期間中に1から制作したという学生3名が、VRの制作過程を丁寧に教えてくれました。

バーチャル安田講堂
参加者はVR技術で再現された安田講堂大講堂に集合。「VRによるVRの講義」を体験しました。

高校生とともに模擬講義を受講した「キミの東大」学生ライターの好永るり佳さん(工学部電気電子工学科3年生)は、VR技術を活用したオンライン授業を受けるなど、VRを身近に感じている1人。そんな学生の立場から、今回の模擬講義の感想を寄せてもらいました。

  • 好永さん
    好永るり佳さん(工学部電気電子工学科3年生)

    VR技術は今、私たち学生の生活を便利に、快適にしてくれています。
    たとえば、私たちは春からずっとオンライン会議システムで授業を受けていますが、対面授業と違って同級生の反応がわかりづらいと感じていました。ビデオカメラでそれぞれの顔を写すことは技術的には可能ですが、プライバシーや通信量の問題があり、現実的ではありません。
    一方、VR教室にみんなが集まれば、好きな立ち位置で講義を聞き、さらにエモート(Emotional Motion Technologyの略で、バーチャル空間で様々な感情を表現する技術のこと)を使って気軽にリアクションすることもできます。前の席に座って先生とコミュニケーションを取るのもいいし、後ろの席で集中して授業を受けるのもあり。だんだんと、いつもあの人はこの辺りに座っているなとか、いつも授業中先生の問いかけに反応しているなとか、学生間でコミュニケーションを取ることができるようになってきます。9月から始まった秋学期では、VR教室で可愛いキャラクターになって授業をされる先生もいらっしゃいます。
    VRの応用は、オンラインの体験を現実に近づけるのみに留まりません。私が所属している工学部では、春学期は実験室で行う実習の一部の内容が変更になってしまいました。しかし、今後VRで現実とそっくりの実験シミュレーションを行う技術が開発されれば、自宅でも大学でしかできないはずの実習体験が得られるでしょう。それだけではなく、今まで対面授業でもできなかったような、大きな装置や特殊な技術を使う実験ができるようになれば、現実の可能性を超えることもありえます。
    このように、VRのすごいところは、VRにしかない時間・空間的な柔軟性と手軽さはそのままに、現実そっくりな、そして時には現実以上の体験ができてしまうところです。今回の講義を受けて、VRは大学生活への無限の応用可能性がある技術だと感じました。

最先端技術の発展をいち早く実感できるのも東大のだいご味。そんな東大の魅力を再発見した企画でした。

★バーチャル東大散策はこちらのページから体験できます
★「キミの東大」では、好永さんが東大での語学学習について語ってくれた記事も公開しています。こちらもぜひご覧ください

「ステイホームでオープンキャンパス」も案外悪くないかも!?

オンライン開催という異例の形態をとった今回のオープンキャンパス。
しかし、東大を目指す皆さんにとっては、東大の身近さと底知れぬ可能性の両方を自宅から感じることのできた2日間だったのではないでしょうか。
 
参考リンク
高校生のための東京大学オープンキャンパス

取材/2020年9月
最終更新/2022年8月
企画・構成/「キミの東大」企画・編集チーム