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科学への興味を土台に東大へ。「学びたい欲を汲んでくれる」東大のよさとは?―理科二類・東大生インタビュー

2020.03.12

Student Voice

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StudentVoice村松光太朗さん

STUDENT VOICE

氏名: 村松 光太朗
所属: 理科二類→理学部生物学科(内定)
学年: 2018年度入学
出身: 海陽中等教育学校(愛知県)

「なぜ東大へ?」という質問に対し、村松さんは「そうですねぇ、話すと長くなるんですが…」と前置きした上で、小学校で最初にやった自由研究の話を聞かせてくれた。様々な色で塗装した缶に水を入れ、炎天下に置いたときの温度変化を計ったという。結果は、黒塗り缶の水が際立って高い温度になった。このような素朴な実験に始まり、小学生時代は、科学雑誌を読みあさったり、そこで得た知識を上記のように自分の目で確かめたりすることで、科学をより身近なものに感じる経験を積んだ。中学入学後、理科の授業で原理の説明が不十分なまま天下り的に知識を暗記させられることに違和感を覚え、科学への興味が一旦薄れたものの、科学の甲子園や東大理学部の高校生講座に参加したことで再び面白い科学をしたいと思うようになった。しかし、この時期は東大を志望していたわけではない。本人曰く、東大に入りたいという気持ちを10段階で評価するならば、この時期の志望度合いは「レベル1にあたります」。

気持ちが動いたのは、高校3年の大学入試直前に、東大大学院・情報理工学系研究科の生田幸士教授(当時。2020年1月現在、大阪大学特任教授)の講演を聞いた時。「もっとバカになれ」を標榜する教授の話により、それまで抱いていた「確立されたものでないと研究と呼ぶのもはばかられる」という思い込みが解消され、「誰も取り組んでおらず、どうアプローチしたら良いか分からないものこそ研究にして良い」という勇気を貰えたそうだ。その気持ちと中学時代から趣味で取り組んでいた音楽制作が結びつき、楽曲を作りやすくするために「脳内の聴覚イメージをコンピューター上に再現する技術」を実現できないかと考えた。これを機に、東大に入りたいという気持ちも10段階中のレベル10へと一気に高まった。
(なお、最近楽曲が完成し、音楽ツール・soundcloudに初登場を果たしたそうだ。ご興味おありの方はぜひhttps://soundcloud.com/kotaro-muramtsu(外部サイト)まで。)

その思いを持って東大に入学後は、授業のみならず、関連分野の講演会に参加したり、興味がある先生に直接アポイントを取って会いに行ったりしてきた。興味関心はさらに広がり、「学部のうちは生物と工学が両方学べれば良い」という考えに至った。現在は理学部生物学科への進学が内定し、神経生物学や解剖学などを学びつつ、理学部の他学科や工学部、農学部の授業も聴講して視野を広げている。来秋からは、全学交換留学制度を利用してヨーロッパの大学に留学する予定だ。研究職を志す彼は、海外の研究の風土を味わって、博士課程進学の検討材料にしたいという。

StudentVoice村松光太朗さん2
夏休み中、Maker Faire Tokyoというイベントに出店した「カルピスの濃度と量をはかルピス」(カルピスを指定した原液・水比率で正確に測り作る装置)

課外活動の一つに、東大新聞での記者活動がある。「中毒性があるんです。要するに、楽しい。時間軸を引いて幸福度をプロットしてみると、波こそあるものの、1回の執筆区間で積分すれば『良く感じる閾値いきち』を超えるからやめられないんですよね」。ささっと幸福度のグラフを書いてくれた。現在は、自身初の試みとして学術分野の連載記事を執筆している。今後は、東大大学院・情報学環が実施する学部教育(情報学環教育部)で、学問的なジャーナリズムなどにも触れてみたいと考え、出願準備中だという。

東大に入ってよかったことは、との質問に対し「良かった事柄、というよりも現在進行形で良い状態、といった方が正しいと思うのですが」と断った上で、「研究者との距離が近く、こちらの学びたい欲を汲んでくれること」や「学びたいことは大体最先端レベルで学び放題なこと」と教えてくれた。「あとは、変なことをしておいた方が面白いというノリがわりかし根付いていることですかね」

東大が求める教養は知識を蓄積することよりもそれをどう使うかということ、すなわち東大では「勉強」よりも「勉強の仕方」や「知の使い方」を学ぶ機会が多いと感じるそうだ。そして「人間微分で考えても良いのでは?」という話に。すなわち、「私たちの価値観は『積分=自分の過去の経験の積み重ね』によって出来上がっているといえるが、東大という一見すると限定されたコミュニティーにも多様な価値観を持つ人々が混在していて、何が良くて何が悪いかの基準は人それぞれだ。従って、それらの多様な価値観に触れた上で、自分の今の考え方を見つめ直す姿勢(=微分)も、時として大切かもしれない。」高校数学で学んだ微分・積分の概念がこのように目の前に立ち現れるとは、感嘆するばかりである。

高校生へのアドバイスを求めると「自分は高校科学の範疇はんちゅうに留まっていましたが、身近な同級生の中には地学や化学、数学の国際オリンピックに行った人もいました。自分も高校の科学に飽き足らず、その先を自分で調べ、学問体系をちゃんと把握した上で基礎的な数学や物理学からやっておけばもっと早く先に進めたかも」と教えてくれた。

また、他人に迷惑をかけない限りは好きなこと、やりたいことを自由にさせてくれるお母様だったそうで、とても感謝していると話してくれた。子育て中のお父様・お母様、お子様が興味を持つことを全力で後押ししてあげてはいかがでしょうか!

 

2020.3.12
取材・構成/学生ライター・川瀬翔子