ちょっとひといき ちょっとひととき(9)

2024.03.04

東大生コラム

テーマを絞って発信する東大生のコラム企画

第9回目のテーマは「わたしの『東京生活』を支えるもの」。東京暮らしに憧れてはいても、なかなか決心がつかない方も多いのではないでしょうか。そんな方のためにも、東大生の「東京生活」を支えているものをテーマにしたコラムをお届けします!上京の不安はこれで解決!?

安心感

理科二類1年 K.M.

一人で東京にやってきて、期待を胸に膨らませ始まった「東京生活」。
地元にはなかった、都会での様々な出会いや発見。それが刺激的でとても幸せだった。
その一方で、最初は不安でいっぱいだった。
初めての一人暮らし、慣れない満員電車、人混みばかりの街。初めてばかりの生活に、心が押しつぶされそうになった。
今まで、ずっと実家暮らしで、特に受験期は両親に至れり尽くせりだったものだから、ご飯も洗濯も掃除も全部自分でやる生活にはなかなか慣れなかった。
それに何より、狭い部屋に一人でいると、不意にものすごく寂しくなって、部屋に押し潰されそうな気分になった。
でも、そんな時には、「安心感」を与えてくれるものがそばにいてくれた。
例えば、音楽。受験生時代に聞いていた音楽。不安定な日々の中でも、必死に努力した日々を思い出させてくれ、少しずつ気持ちを落ち着かせてくれる。
例えば、本。興味のある分野の本を読んでいると、自分が情熱を持てるものが何なのかわかってきて、東京で一人で暮らしている目的や意義を感じさせてくれる。自分が頑張っていることは間違いじゃないんだ、もう少し踏ん張ろう、と思わせてくれる、大切なもの。
例えば、家族との電話。その日あった良いことや嫌なこと、全部話すことで、気持ちが整理される。話した後には心がスッと軽くなって、また頑張ろうって思える、大切な時間。
いろんな夢や未来、現実が溢れるまち、「東京」。
そんな場所で、私は、いろんなもの、人に支えられ、今日も一人じゃないことを噛み締めながら、一歩ずつ前に進んでいく。

駒場キャンパスの道端に咲く小さなひまわり
時には足元を見ることも大切

 

静寂をください

理学系研究科 Dr.金太郎

オイラは地方の田舎出身で、大学進学を期に東京に出てきた。最初に東京に来て驚いたのは、夜の明るさだったことを今でも覚えている。そんなこんなで始まった東京生活だったが、本音をいうと生活には困らなかった。外に出ればコンビニがあるし、起業に挑戦した際の仲間だってすぐ見つかった。ただ、1つだけないものをあげるとしたら、それは「静寂」だ。一番静かだと思われる一人暮らしの家にいても、救急車は通るし、近くの保育園の園児が楽しく遊んでいるのが聞こえてくる。どこにいても他人の生活音が耳に入ってくる。オイラはそれが東京で暮らしていて1番嫌なことだ。
そんなオイラの生活を支えてくれるのはノイズキャンセリングイヤホン。これに限る。オイラは家の中で10万もしたノイズキャンセリングイヤホンを音も流さずにつけている。それがオイラに自分だけの静寂を提供してくれるアイテムなのだ。ただ、最近のイヤホンは高性能すぎてインターホンの音が聞こえるようになっている。企業も本気を出してオイラのために静寂を突きつけてほしいものだ。もう少しがんばってほしい。


幻想的な空間が広がる夜の本郷キャンパス

 

ホッと一息つける一杯

法学部4年 3days ago

私は埼玉の出身なので、東京は距離的には近い場所です。しかし、高校を卒業するまではほとんど東京に行ったことがなく、心理的には遠い存在でした。大学生になって、実家から毎日駒場キャンパスに通うようになっても、最初は「おのぼりさん」の感覚が抜け切らなかったのを覚えています。それに、早くも2年生の頃にはコロナ禍でキャンパスに行けなくなったので、せっかく慣れつつあった東京も再び縁遠くなってしまいました。
そこから2年以上が経ち、キャンパスも本郷に移った今では、東京をだいぶ近くに感じられています。それに一役買ってくれているのが、本郷のラーメン屋さん、瀬佐味亭です。本郷に通いはじめて間もない頃に訪れて一気に惚れて以降、東大、ひいては東京での生活に欠かせない存在になりました。何といっても担々麺が絶品で、毎回ゴマ5割増しにして食べるのが私のお気に入りです。店長セレクトのジャズなどがかかる店内でこれを食べるとホッとひといき。忙しい時も、ちょっといいことがあった時も、この一杯が私の東京生活を支えてくれています。

クリスマスイブ前日は、ちょっと贅沢に手羽先も

 

家事することは、生きること

文科一類2年 Manège

勉強、部活、アルバイト――大学生活は忙しい。東京で一人暮らしをするならなおさらだ。そんな慌ただしい毎日に、家事をすることが私の生活での一つの軸をなしている。
家事は自分自身へのケアといえる。食事・洗濯・掃除や体の手入れを通じ、五感で直に心身、環境と向き合う。こうした一時のリセットから、落ち着きと再びせわしなさへ戻るゆとりとが生まれてくる。実践面の面白さもある。例えば夕食の支度についてみると、その日の夕方までに必要分の食材を極力安く購入し、段取りや方法を工夫して調理・後片付けを効率よく進める。これは最適化された実行手順、つまりアルゴリズムを時間・予算という制約条件の下で求めることに等しい。さらに時と場合により条件や使える手段が変化し、その都度アルゴリズムを定義し直す。これほどダイナミックで知的な活動はほかに数少ない。
上京して家庭生活をひとりで回すことになり、頭を使い体で感じながら慌ただしい日常を生きている。私にとって家事は学びの場であり、同時に支えでもあるのだ。

『慎始敬終』…最後までやりきる!

 

朝活LIFE

経済学部3年 mickey

私の東京生活を充実させているのは、「朝活」です。朝活とは、朝早く起きて自分の好きなことを楽しむ時間を作ることを指します。特に私は、友人と一緒に美味しい朝ご飯を食べたり、カフェでゆっくり過ごしたりする朝活を楽しんでいます。普段の生活では、朝早く起きるのは少し苦手ですが、友人との朝活の約束があると、目覚まし時計をセットするのも苦になりません!早起きをすることで、朝の新鮮な空気や穏やかな雰囲気を楽しみながら、一日をポジティブにスタートさせることができます。
最近は六本木のホテルに入っているレストランで、朝ごはんを楽しみました。朝はとても静かな雰囲気で、六本木と言えば高級なイメージですが、リーズナブルな価格で美味しい朝食を提供しているお店もあります。そのほかにも、東京にはベーカリーカフェなど、朝活にぴったりの場所がたくさんあります!
朝の時間を有効活用することで、友人との絆も深まり、心身ともにリフレッシュできるので、東京生活を充実させるためにも、みなさんも朝活してみてください!

六本木でのちょっと贅沢な朝ご飯!

 

多様性の東京

総合文化研究科 小林朗大

私は東京で生まれ育ち、約23年間東京に住んできました。その中で、私の東京生活の楽しみを支えてきたものは「多様性」にあると感じてきました。東京という都市は一見、新宿や渋谷、丸の内などの殺伐としたビル街が中心のように思えますが、実際は、西は奥多摩の渓流や深山から東は東京湾の海辺まで、北は短いが南は伊豆諸島、南方1000kmの小笠原諸島まで幅広いのです。東京の中心部では、最新と江戸の伝統が混在し融合し、全国、世界中から様々な人が集まり多様な機会を創出します。その中では多様な生き方が可能で、例えば友人と騒ぐような大学生らしい生き方やオタクな生き方、ビジネスや研究に没頭する生き方など、その選択肢は無限に思えます。また、東京には、渓流や深山、マリンスポーツや釣りができる海辺、さらには諸島、火山、亜熱帯の自然まであります。このように、東京ほど人、文化、自然の総合的な多様性を持った都市は世界でも類を見ないと考えられます。
これから大学生になる皆さん、上京する皆さんには、ぜひこの多様性を楽しみ、利用してほしいと思います。


大学2年次に訪れた小笠原諸島の亜熱帯の海
これも「東京都」とは驚きます!

 

日々にちょっとした安らぎを

文科一類1年 りくもん

私の「東京生活を支えるもの」は、高校時代からずっと使っているお気に入りのマグカップです!私の大好きなキャラクター(リラックマ)が描かれているマグカップで、これを使ってコーヒーやココアを飲むのが毎日のルーティーンになっています。温かい飲み物が大好きなので、受験時もよく飲んでいました(飲みすぎだったかも…笑)。温かいものを飲むと、なんだかほっとしますよね。
「東大に進学する高校の同期はいない」、「東京に親戚の当てもない」…。そんな中、地方から一人で東京に出てきた私は、上京当初、慣れない生活と東京の忙しない街の環境に疲労困憊し、大学生活への期待を上回るくらいの不安に駆られていました。そういうときは、このマグカップでコーヒーやココアを飲むと自然と心が落ち着きました。マグカップくらい、引っ越してから東京で購入してもよかったのですが、受験期を一緒に乗り越えたマグカップには、やはり思い入れがあります!
忙しい大学生活にも、ちょっとした安らぎの時間をつくって、自分をいたわりつつ、大学生活を楽しんでいこうと思います。


高校時代から愛用しているマグカップ
今もそれを片手にパソコンをいじり続ける日々を送っています!

参考リンク ほかの回の記事はこちらから

原稿作成/2024年2月
企画・構成/「キミの東大」企画・編集チーム
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