【開催レポート!】2022年度 第3回 学校推薦型選抜オンライン説明会―現役推薦生と交流しよう

#学校推薦型選抜(推薦入試) #学校推薦型選抜(推薦入試) #説明会 #説明会

【開催レポート!】2022年度 第3回 学校推薦型選抜オンライン説明会

東京大学では学部教育の総合的改革の一環として、学校推薦型選抜(以下、本選抜)を実施しています。特定の分野や社会課題に極めて強い関心を持ち、学びの意欲の高い学生を募ることで多様な学生構成を促進し、学部教育を活性化することを目的に導入された制度です。
そして、東京大学高大接続研究開発センターでは、全国の中高生向けにオンラインによる説明会を毎年開催しています。本選抜の概要を伝えると同時に、推薦で入学した学生(推薦生)との交流を通じ、制度への理解と関心を深めることを目的としています。
今年度3回目となる12月17日の説明会には、録画視聴も含めると420名の中高生がエントリー。高校1、2年生が中心ですが、中学生の参加も多く見られました。彼らを迎え入れるのは40名を超える推薦生たちです。本稿では、当日の模様をダイジェストでレポートします。

究めたいという学問への一途な思いを伝えてほしい

冒頭あいさつには東京大学副学長で、入試改革を担当する武田洋幸先生が登場。ビデオでメッセージを送りました。

武田先生「本選抜では社会のさまざまなことに意欲的で、本学での学びで大きく伸びるポテンシャルを認められる学生を広く受け入れています。もしかしたら中にはコロナ禍で課外活動の制約を受けていて、アピールできるものがないと不安に感じている人もいるかもしれません。しかしコンテストの受賞歴や留学は必須のものではありません。提出書類や校長先生の推薦、面接を通じて日ごろの学校生活での活動の様子をしっかりと受け止め、丁寧に選考しています。今日の説明や推薦生との交流を通じ、本選抜の真の姿を知ってもらえたらと思っています」

開会あいさつの後は、高大接続研究開発センター 准教授の植阪友理先生より大学と本選抜の説明に移ります。今回の参加者は、具体的な進路や志望校をこれから決めるという人がほとんど。そのため東大での学びの特徴や、推薦生と一般生(一般選抜で入学した学生)の入学後の違いを中心に解説しました。

本選抜の立ち上げから携わる、高大接続研究開発センター特任教授の高橋和久先生は、植阪先生の説明を受けて、参加者に向け次のようにアドバイスしました。

高橋先生「東大が本選抜を行うのは、ペーパーテストとは異なる評価軸を持つことで、多様な学生を受け入れられると考えているからです。アドミッションポリシーは大仰な表現ですが、東大としての理想と本音が詰まっています。
制度の趣旨上、入学後に興味のある分野が変わるのは感心しません。恋愛に例えるなら、誰かを一途に思い続けている状態が理想です。特定の分野に恋焦がれていて、究めたくて仕方がないという人を歓迎します。ぜひ自分なりに、学問への興味関心を証明してみてください。
事前にいただいた質問には、『過去に推薦で入った先輩がいないことから、どうすればいいかわからなくて不安だ』といった声が多くありました。その気持ちはわかります。けれども先輩方の例はきわめて個人的で、一般化できるものではありません。心配する必要はないですし、今日この場で先輩方と交流し、不安の解消につなげてもらえたらと思います」
 

興味や関心に従うことでやりたいことがもっと広がる

ここからは、推薦生が中心となり場を築いていきます。まずは学部、学年の異なる3人の推薦生が自身の体験を発表します。進行役を務めたのは、中野和真さん(理科二類2年、農学部進学予定)と河野萌依さん(文科三類1年、文学部進学予定)です。

伊丹裕貴さん(文科一類1年、法学部進学予定)

「日本の政治を知りたい」と法学部に進学した伊丹さんは、中学入学の時点ではプログラミングが趣味。将来はエンジニアになるつもりでした。

伊丹さん「それが中2でディベート同好会に入った頃から、徐々に社会の動きに関心を持つように。高校生になって政治にまつわる本を読んだりイベントに参加したりするうち、政治の理論と実態のギャップに興味を持つようになりました」

そして始めたのが、政治家へのインタビューです。手紙やメールで打診し、複数の政治家に実際の仕事や議会について直接話を聞くことに成功します。また自らもリーダーシップや政治の進め方を体験したいと、高校では生徒会長を務めました。

伊丹さん「自分の興味や関心に従い全部試したことで、さらにやりたいこと、知りたいことが広がっていった感じがします」

東大では講義で学ぶだけでなく、自主ゼミにも参画。現役の議員や企業に政策提案をするなど、国政の中心地・東京で肌感のある政治を学ぶ毎日です。

古本爽華さん(医学部3年)

古本さんは健康総合科学科にある人類遺伝学教室で、人の遺伝子配列の中でも50程度の短い情報が、健康や疾患に与える影響について研究をしています。高校では生徒会活動に勤しんでいた一方で、健康に対する強い思い入れがありました。

古本さん「同居する祖母の介護をしていて、兄は知的障がいがあり、毎日二人と過ごしながら、健康に生きるとはどういうことなのだろうと、ずっと考えを巡らせていました」

今でこそ遺伝子研究に没頭していますが、入学時はどのように健康を究めるかという具体的なプランはなかったという古本さん。健康総合学科で何ができるかを知るには、Webサイトに掲載されている卒業論文のタイトルを見ることも参考になると話します。

古本さん「実家で介護をしながら、勉強だけに集中できた訳ではなく、入学時に明確な研究テーマはなかったけれど、『健康』という関心があったから推薦入試で受け入れられたと感じます。研究も楽しく、健康総合科学科にもとても愛着があります。推薦入学生は人数が少ないので、その学部を代表する面もあり、最高学府での研究をしているという気持ちもあります。『自分が学科を引っ張っていく』という気構えで来てもらえたら嬉しいです」

岡俊輔さん(工学系研究科都市工学科修士2年)

岡さんは高校で河川水の浄化を研究したことから、水と環境に関心を持つように。東大では大学院に進み、今は途上国の水に含まれる微生物について研究しています。

岡さん「大腸菌やウイルスから特定の遺伝子を検出することで、地域で流行る病気や、水を飲むことによる感染リスク、水の汚染がどこから起こっているかを探ることができます」

入学から今までを振り返ると、TLP(Trilingual Program)でフランス語漬けの日々を送ったり、グローバルリーダー育成プログラム(GLP-GEflL)でスタンフォード大学への留学やバリ島でのフィールドワークを体験したり。そして推薦生との交流や趣味の自転車や山登りなど、研究に限らず、いろんな場で刺激的な時間を過ごせるのは東大ならではだと話しました。

バイタリティに溢れる推薦生の発表に、チャットには中高生から驚きのコメントが次々と。質問の投稿には周りの推薦生もコメントでフォローするなど、双方向のコミュニケーションが生まれていました。
 

いろんな学部に触れることで学びたいことが見えてくる

休憩を挟んで、中高生と推薦生が10人程度のグループに分かれて交流の時間に。前半の説明や発表からさらに一歩踏み込んで、先輩に直接質問できるチャンスです。

植阪先生「せっかくですから好きなことを見出すきっかけや、高校、大学での日々の過ごし方についてお話ししましょう」

ここではグループでの対話の一部をご紹介します。

高校生A「本選抜に関心を持ったきっかけを教えてください」

  • 国が対コロナ政策にデータを活用しているのを知って、経済学部で大好きな地理と経済の領域で政策研究ができたら面白そうだと思ったのがきっかけですね。
  • ずっとバレエをやっていて、高3の春に両足の靭帯を手術しました。そうしたら脊椎側弯症や転びぐせ、脚の外側に筋肉がつくなど、中学の頃からの悩みが一気に解消して、バレエも格段に踊りやすくなりました。根本治療の重要性を実感したとき、ちょうど東大の健康総合科学科と本選抜のことを知り、運命の出会いを果たした感じです。

高校生B「本選抜で入学して感じたメリットとデメリットは何ですか」

  • 1、2年のうちから、憧れの先生のゼミに参加したり、留学や特殊な教育プログラムに参加できたりすることでしょうか。人脈も広がり、3年になって今の研究に生きていると感じます。デメリットはそんなにないかな。
  • 推薦生同士のつながりもいいですよね。高校の同期で東大に進学したのは私だけだったので、入学前に友達ができたのは嬉しかったですね。大学に馴染みやすくなるかも。
  • 同感! 私も知り合いがいっぱいできて、心強かったのを覚えています。

高校生C「(先輩が所属する)教養学部の学際科学科とは? 理学部や工学部とは違うのですか」

  • 複数の分野に関係し、個別の学問領域では扱うのが難しいテーマを研究しています。語学やプログラミング、フィールドワークなども取り入れながら、現代的な課題を扱うことも多いですね。自然科学の要素と文系の視点を持ち合わせ、幅広く学ぶのが特徴です。アドバイザー教員に相談して、関心のある環境分野の集中講座を1年のうちから受けることができたのはよかったですね。

ここで説明会自体はひと区切り。説明会終了後の時間で希望者向けに、学部別ではなく、「生物・化学・医療」「国際関係」「ものづくり」といったテーマ別交流を行いました。ひとつの学問領域について複数の学部で研究している東大。学部の名前に縛られず、探究したい分野を見出すきっかけになればと企画されたものです。

植阪先生「高校のうちは、どうしても科目名に近い学部だけで判断しがちですが、いろんな学部を覗くことで、自分にしっくりくるテーマが見つけられると思います」

自由参加にもかかわらず、当日参加者の半数以上の中高生が残るほどの注目度。中高生からは「生態系に関心があって、理学部か農学部で迷っています」、「研究者の道も面白そうと思いつつ、成果が出ないときを考えるとなかなか踏み出せません」といった疑問や悩みの声が寄せられました。対する推薦生は「テーマや切り口の違いで調べるといいかも」、「研究が好きかどうかを見極めるのが学部の4年間」と、それぞれの質問に寄り添いながらシャープにアドバイスする姿が印象的でした。また、文系のルームでは「おすすめの裁判傍聴」や「好きな日本語の文字」など、進路から離れてテーマ独特の話題も。全体を通じ、温かく和やかな雰囲気に包まれたまま閉会を迎えました。
 
【参考リンク:今後の説明会の開催日程など、学校推薦型選抜の各種情報はこちら】
東京大学ウェブサイト:https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_26.html

取材/2022年12月
取材・構成/たなべやすこ