基礎実験
教育プログラム/学びのシステム 2022.04.13
2018.09.27
高校と大学の授業で大きく違う点の一つは、自分である程度は授業を選べる点にあるだろう。駒場での教養学部前期課程を例に簡単に説明する。
かならず取らなければならない科目は必修と言い、科類によってどの授業が必修かは決まっている。必修の授業は落としてしまうと、留年の可能性もある。そのうえで必修以外の選択科目から自分の興味のある科目を選び、進級に必要な単位を2年生の終わりまでに取得することが必要となる。
なお、進学先の学部学科によっては、前期課程の間に受講することが推奨されている授業もあるために注意してほしい。
また、総合科目というものもある。総合科目では、下の表に示した7つの系列で整理された授業が用意されており、それぞれの系列で取らなければならない単位数が決まっている。たとえば、文系だから「A.思想・芸術」「B.国際・地域」「C. 社会・制度」の授業だけを取るのかと言えばそうではなく、いわゆる越境的な履修が求められる。そしてこの総合科目でも、様々な学部の後期課程に通じる授業が展開されていることは強調しておきたい。つまり、大学で学べる知識に幅広く触れられるということだ。
総合科目の各系列が扱う分野
L | 言語・コミュニケーション |
A | 思想・芸術 |
B | 国際・地域 |
C | 社会・制度 |
D | 人間・環境 |
E | 物質・生命 |
F | 数理・情報 |
とはいっても、やはり後期課程ほど専門的な授業は多くない。だからこそ、今までまったく知らなかった分野の授業を受けたとしてもついていけなくなるということはないし、その授業をきっかけにして進学先を決めたという例もある。最初の一回目の授業は履修登録前に行われるため、少しでも気になる授業は取ってみると良いだろう。
それでは、何千とある授業の中から、どうやって授業を選べばいいのだろう。
その際に、まず必要なのがシラバスだ。入学してから配られるこの分厚い冊子には、すべての授業の開講時間、担当教員、内容などが掲載されている。このシラバスと、先輩や知り合いからの情報を合わせてから授業を選択していくのが一般的だ。シラバスは紙媒体と電子媒体があり、電子媒体は教養学部前期課程ウェブサイトで見ることができる。電子媒体は検索ワードをしぼる必要があるため、紙媒体の方が全体を見やすいというメリットがある。その一方で、電子媒体の方は情報が随時更新されていくため、より詳しい内容を知ることができる。
東京大学に進学を考えている高校生は、シラバスから探すだけではなく、「東京大学授業カタログ」からどのような授業があるか調べることができる。このカタログへのリンクは東京大学のホームページに掲載されているので調べてほしい。
授業カタログもシラバスと同じようにキーワード検索によって授業を調べることができる。また、「MIMA Search」ボタンをおすと、条件に当てはまる授業の関係図を見ることができる。大学の授業は、名前からは内容が分かりにくいものがあるため、たとえば、それぞれの授業がどの専門領域の教員が担当しているのかが一目でわかるようになっている。ぜひ活用してほしい。
教養学部前期課程は、大学生活、もしくは人生のうちで最も贅沢な期間ともいえる。たとえ 自分の研究や将来の仕事に関係のなさそうな分野であろうとも、その分野の第一人者からの直接の指導に出会えるのだから。おそらく、このように贅沢に学べる環境は、今を逃しては一生手に入ることがないだろう。