奨学金

#生活支援 #生活支援

こんな人、いないだろうか?
「『裸一貫、ゼロから身を立てて一事をなす』自力で東大に入って、志を果たしたいんです」――じゃあ学費も?
「自分で何とかしたいですね」

あるいはこんな人。
「自分の研究のためには東大が一番なんです」――素晴らしい。君みたいな学友、大歓迎。
「でも、家にお金がないんです」

志が十人十色なら苦悩も十人十色だが、学費問題は学生が広く共感できる悩みの一つだろう。東大の授業料は、日本やアメリカ、イギリスなどの私大と比べればむしろ安いのだが、そうは言っても、年50万円を超えた授業料に入学金やら生活費やらが加わったら、とても「裸一貫」とか言ってる場合じゃなくなるだろう。せっかく東大に入ったところで、バイト漬けでありがたい講義は子守歌代わりなんて、まさに「背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く」[1]、おっかさんにも全力で止められる。

心配ご無用、東大は君を見捨てるような大学じゃない。例えば、入学料・授業料免除制度。経済的理由などで入学料・授業料が支払えない新入生に、選考の上で、各々の支払いを免除する制度だ。入試当日に配布される「入学手続要領」に添付の申請書で申し込む。申請条件等に不安があったら、ウェブサイト(入学料・授業料の免除)をチェックだ。

東大の奨学金制度も充実している。東京大学学部学生奨学金と、東京大学さつき会奨学金だ。学部学生奨学金は、経済的な事情で進学困難な学部新1年生に、入学後1年間、50万円を支給する。さつき会奨学金は女子限定だけど、卒業まで毎年60万円が支給される。どちらも入試出願前に高校を通じて申請しないといけないから、早めにウェブサイト(奨学金(奨学制度インデックス))を確認しておこう。このページには、地方公共団体や公益法人奨学会による奨学金の案内も載っているからぜひ見ておいてほしい。種類の多さに圧倒されるはず。

奨学生審査に落ちてしまった!――そんな人にはジュニア・スタッフ制度。キャンパスツアーガイドや図書館業務、オープンキャンパス補助などに参加すれば、1時間当たり1,100円、最高で半期15万円がもらえる。

東大の外に目を移すと、主なものに日本学生支援機構の奨学金がある。無利子の第一種奨学金と、有利子の第二種奨学金があって、入学時特別増額貸与奨学金を使えば、入学時に貸与額を増やすこともできる。ただ、上に挙げた他の奨学金[2]と違って、卒業後の返還が義務付けられる借金の一種だから、受給は慎重に検討しよう。詳しい情報が必要なら、日本学生支援機構ウェブサイトを見ておこう[3]。

家にお金がないから、親に頼れないから、頼りたくないからといって、進学を諦めるのはもったいない。「キミの東大」――東大は、高い志を持った君の味方だ。

[1]橋本治の昭和43年度駒場祭スローガン「とめてくれるなおっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く」より。
[2]地方公共団体・公益法人奨学会については、給付型奨学金と貸与型奨学金がある。
[3]2020年4月から、授業料等減免と給付型奨学金を受けられる「高等教育の修学支援新制度」も開始している。

最終更新/2021年3月 
文/学生ライター・中村一創