FLY Program

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大学入学直後に1年間の休学。そんな選択を後押ししてくれる制度が、東大にはある。「初年次長期自主活動プログラム」(英文名称:FLY Program)は、入学した直後の学部学生が自ら申請をして1年間の特別休学を取得したうえで、東大の外部におけるボランティア活動やインターンシップ、留学など、長期間の社会体験活動を推進するプログラムだ。その年に東大に合格した人であれば誰もが応募できる。

休学中の活動内容はすべて学生自身が計画するため、ひとえに社会体験活動といってもその内容は非常に多岐にわたる。FLY Programに参加した学生2名に、具体的な活動内容をきいた。

理科一類の徳永さんは、「異文化の死生観」をテーマに計画を練り、まずは2ヶ月間にわたり京都の禅寺で働きながら生活をしたという。その後はイギリスの語学学校で4ヶ月ほど学び、2ヶ月はヨーロッパをバックパックで周りながら「カタコンベ」などの地下墓所を見学し、最後に東京のホスピスで2週間ほどボランティアをする、といった活動内容であった。

また、文科三類の横字さんは、戦後70年にあたる2015年にFLY Programに参加し、日本・東アジア・ハワイを周って、実際に太平洋戦争を経験した方々に対して歴史認識に関するインタビューを行ったという。

大学生活の最初から休学すると聞いて、周囲との学年のずれや卒業の遅れが気になる人もいるだろう。しかしFLY Programに参加した彼らは、初年次の休学にはさまざまなメリットを感じているという。

最大のメリットは、受験勉強によって狭まった価値観を変えられることのようだ。徳永さんは、休学中に学外の世界を実際に見て体験することで、「勉強をして成績を上げることだけが生き方として正解なのではない」と感じ、受験期に感じていたプレッシャーを取り払うことができたという。横字さんは「自分の専門以外の分野への視点が変わった」と話している。プログラムを通して多様な考え方に触れたり、様々な分野で活躍する同期と親交を深められたことで、色々なことに挑戦しようと思えたという。以前は専門である史学系専攻に早く進みたいと考えていたが、駒場での多様な授業に積極的に取り組むようになったそうだ。このように、初年次の価値観の変化により、その後の4年間の学びの方向性をも変えることができるというのが、休学してまでFLY Programに参加することの意義なのだろう。

また、周りより4年早く社会に出る感覚がある、と横字さんは言う。プログラム期間の旅費などの活動費は、基本的には自分でアルバイトなどをして賄うため、いわゆる「9時〜17時」の生活の体験や、世の中のお金の流れを知ることができるのだ。そのような経験を積むことは、必修科目の多い大学1年生では難しいだろう。

もちろん、FLY Programに参加することで、将来の方向性が定まるかどうかはその人次第である。しかし、受験勉強を終えた直後から大学の勉強を始めるまでの1年に、主体性を持って自由に活動する経験は、今後の人生において糧になることは間違いないだろう。

参考リンク
FLY Program
文/学生ライター・堀内美佑
※ページ内容は作成時のものです。