基礎実験

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「基礎実験」とは前期課程(1、2年生)の理科生の基礎科目の1つ。理科生は1A~2S1(*)タームの間(1年秋学期~2年春学期前半)、週に1日、2コマを受ける。「基礎実験」はいわゆる必修で(必修なのは2S1タームまでだが、任意選択で2S2タームも基礎実験の科目を履修できる)、理科生はこの単位をとることなく、後期課程(3、4年生)に進むことはできない。

(*)A1・A2は秋学期の中の前後半、S1・S2は春学期の中の前後半のことを指し、その前につく数字は学年を表す。例えば、「2A1」は2年次のA1ターム(概ね9〜11月)のことを指す。

理1と理2・3で、科目の名称や内容、選択の自由度は多少異なるが、科目の特徴は概ね変わらない(つまり「基礎物理学実験」(理2・3)と「基礎実験I (物理学)」(理1)など、科目が同じであれば、特徴は大体一緒である)。筆者は理2生だったので、その経験をもとに物理、化学、生命科学の各実験について紹介したいと思う。

・「基礎物理学実験」(理1の場合は「基礎実験Ⅰ(物理学)」)
基礎物理学実験では、2人組のペアで実験を行った。予習や設問、考察は全てノートに書き込み、そのノートを提出し評価をつけてもらった。手書きのため、それなりに予復習に時間を要した。また、グラフや表の書き方の作法も習った。理科生はここで、理系としての図表の書き方を覚える。扱っている実験は、交流回路の特性の確認や、オシロスコープを利用した光速度の測定など、どの大学でも行っているものが多いが、他大の基礎実験も受けたことがある身としては、理論を教科書に丁寧に書いてくれており、しっかり予習すれば得られることも多いと感じた。

・「基礎化学実験」(理1の場合は「基礎実験Ⅰ(化学)」)
基礎物理学実験同様、2人組のペアで実験を行った。教科書の巻末についている、各実験のプリント1枚を提出することで、評価をつけてもらった。1枚のプリントに設問や考察を書くので、紙が足りないこともあった。基礎物理学実験に比べて予復習にかかる時間は短くでき、予習をしっかりし、手際よく実験をこなせば早く帰りやすい。グリニャール反応や計算化学など、大学ならではの実験も行われるので、知識面に不安がある人は化学の復習や「基礎化学」の受講の検討をお勧めする。

・「基礎生命科学実験」(理1の場合も同一名称)
自分が基礎生命科学実験をうけた2S1(2年次の春学期前半)は、ちょうど初めての緊急事態宣言が出た時で、受講方法は、ビデオ視聴とそれを踏まえたレポート作成だった。基礎生命科学実験で例年行っているウシガエルの解剖が行えず、悲しいような嬉しいような気がしたが、課題の量が結構あり、トータルでは辛い授業に感じた(例年はそこまでキツイ課題ではないらしい)。内容は植物の多様性から、昨年話題になったPCR検査の原理など、幅広いものになっている。

基礎実験を受講すると、知識を補ったり実験手順を確認したりするための「予習」力や、実験結果に対する「考察」力、結果や考察を文章や図表として「まとめる」力を養うことができる。研究に置き換えると、「先行研究の調査」・「実験の組み立て」や「分析」・「新規課題の発見」、「論文執筆」といったところだろうか。予習やレポートなど大変なことも多いが、東大生の未来の研究活動の「基礎」を作るように設計されており、必ず役立つのではないかと思う。
最後になりますが、これから基礎実験を受けられる皆さんに、この記事が少しでも参考になれば幸いです。

文/学生ライター・KY
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