クラス分け

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東大の「クラス」とは?

東大に入ると、まずは教養学部に所属して学ぶことになるのだが、その1・2年生の前期課程の生活の中心となるものの1つがクラスである。東大のクラス分けは、高校までと似ている部分もあれば、異なる部分もある。

クラスは、理科一類や文科二類といった科類と初修外国語(注:東大における第二外国語のこと)によって分けられ、1クラスは25人から40人ほどであることが多いようだ。ちなみに、例年、文科一・二類、理科二・三類は、それぞれ2つの科類が合同でクラスを構成する。

このクラスは、教養学部前期課程の様々な場面で登場する。例えば、情報などの必修の授業は、同じクラスの人、通称「同クラ」のメンバーで一緒に受講する。また試験の時にはクラスのメンバーでお互いに得意分野を教え合うし、初対面の東大生同士で自己紹介するときには「理科一類スペイン語選択15組の〇〇です。」というように、科類・クラスと選択している初修外国語をセットで名乗るのが通例だ。他にもクラスでは、レクリエーションで交流を深めたり、一緒に駒場祭や五月祭などに出店したりもする。

クラスは、2年生においても共通であり、「1年生の文科三類中国語選択13組」と「2年生の文科三類中国語選択13組」のような、同じクラスの1年と2年の間では先輩後輩としての関係性が存在する。この2年生のクラスを「上クラ」、1年生のクラスを「下クラ」と呼ぶ。稀ではあるが、2学年上の「爺クラ」、2学年下の「孫クラ」まで仲が良いところもあるようだ。

クラスのつながり

この「上クラ」と「下クラ」の繋がりは多岐にわたる。入学式前には、上クラが新入生に、同じクラスに割り振られた新入生同士の顔合わせ・自己紹介の場を設けたり、東大の複雑な履修制度をわかりやすく解説したりと、新入生が大学生活やクラスに馴染めるようにサポートする。授業開始後も、総合科目や教職などの選択科目の履修相談や、各種情報の提供など、下クラが上クラからのサポートを受けることは多い。新型コロナウイルス禍以前には、新入生にとっては初顔合わせでもあり1泊2日の親善旅行であるオリエンテーション合宿や、入学式での記念撮影なども行われていたそうだ。

そして、クラスのメンバーは多様性に富んでいる。同じ高校の人が多く固まることは少なく、出身地なども色々だ。それに将来クラス全員が同じ専門分野に進むわけではない。クラス制度がなければ、バックグラウンドも将来進みたい分野も異なる仲間に、これほど多く出会うことはできなかったであろう。私自身、違う分野に興味を持つ友人から、私が考えもしなかったようなその分野の面白さや楽しさを教えてもらうことは多々ある。また、東大出身の複数の先生が、クラスで知り合った友人とはいまだに交流があり、様々な分野に進んだ友人に久々に会い刺激を受けることも多いとおっしゃっていたのは印象的だった。

一方で、共通点が全くないわけでもない。同じ初修外国語を選んでいるだけのことはあり、同じような文化や地域に興味を持っている人が集まってくるからだ。実際、私が所属しているイタリア語選択のクラスでは、音楽が好きな人が多いように感じる。これは、イタリア語と音楽が強い関係を持つからであろう。そして、語学の授業などを通して、選択した初修外国語が主に使われている地域の文化を知り、その地域に興味がより強くなったり、実際にその地域を訪れてみたくなったりもする。私自身、入学前はイタリアに特別強い関心を持っていたわけではなかったが、今ではイタリアに行ってみたい、ローマやフィレンツェの街をこの目で見てみたいと思っている1人だ。

このように、クラス制度は教養学部前期課程の生活を豊かなものにしてくれる1つの鍵であることは間違い無いだろう。だからこそ、初修外国語の選択は他者に惑わされすぎず、自分が少しでも興味があることを軸に選んで欲しいなと願っている。クラス分けは、自分と興味が重なっている、でも異なる興味分野も持つ仲間と出会える貴重な機会だから。

文/学生ライター・伊藤寛子
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