新型コロナウイルス禍――今、東大生は考える(18)

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異例の大学生活に直面した東大生のショートエッセイ 第18回

2020年から始まった新型コロナウイルス感染症の流行を受け、東大では授業はもちろんのこと、学生の交流や課外活動にも大きな影響が生じています。様変わりした大学生活を送る中で感じたこと、考えたことを、東大生に綴ってもらいました。

久しぶりの駒場の秋

10月に入り、サークルに参加するために駒場キャンパスを訪れた。構内に入るとすぐに、銀杏の香りを感じて秋の到来を実感する。
思えば久しぶりの秋の駒場キャンパスだ。昨年は駒場所属だったが、授業はすべてオンラインであり、サークルにも参加しなかったので、駒場キャンパスには一度も足を踏み入れなかった。今年に入りサークル活動は再開したものの、秋の駒場は実に2年ぶりである。
一昨年の秋が思い出される。この時期はちょうど駒場祭の準備期間だった。私はお茶のサークルに所属しているので、駒場祭で一般の人にお茶をちゃんと出せるよう熱心に稽古に取り組んでいた。
駒場祭では失敗も多くあったが、「来年にはもっと上手にお茶を出せるようになろう」と気を引き締めたものだ。しかし、対面での駒場祭は未だ再開しないまま2年が過ぎてしまった。
来年の秋はどうなっているだろうか。先のことはわからないからこそ、今できることを頑張りたいと思う。

文学部 3年 Tea

 

コロナ禍でも仲間さえいれば・・・!

オンライン授業では孤独な勉強が多く、何事にもどこか熱中しきれない自分に苛立つ日々が続いていた。
そこで刺激を追い求めて、教員が授業内で紹介してくれたビジネスコンテストへの出場を決意し、思い切って授業用のslackでメンバーを募集した。幸いにも学びに貪欲な数人が集い、それから夏休みの2ヶ月間、事業を一から創るために何度もオンライン会議で議論を重ねた。当初は一度も対面で話したことの無いメンバーと完遂できるのか不安だったが、一人ひとりが目の前の課題に真剣に向き合い、毎回の議論も白熱していたため、意識しなければオンラインであることを忘れてしまうほど全員が本気になってやり切れた。これこそ入学時の自分がイメージしていた東大生活だった。共に走ってくれた仲間達には感謝しかない。
我慢が強いられる時こそ、成長し合える友人との出会いを大切にし今後も力強く邁進していきたい。

文科三類 1年 M.T.

 

心灯

これでやっと息がつけるのか、まだ波と波のあいだにすぎないのか、報じられる感染者数は少なくなってきた。
友達とも少しずつ、本当の意味で「顔を合わせる」ことができるようになってきた。
高校の卒業式以来、ずっと会っていなかった同級生。
もはや常套句の「いま大学には行けてるの?」を発しつつ、案外オンラインも悪くないよね、と前向きな話をしたり。
LINEで話せば情報交換はできるけれど、雰囲気が変わったとか、逆に以前と変わっていなくて落ち着くとか、そういうのはやはり会わないとわからないのだな、と思ったり。
同じサークルにいていつも話しているのに、一度も会ったことのなかった友達。
ふざけてお互いに「はじめまして」なんて言ったり。
もっとすごく背が高いのかと思ってた、なんて話をしたり。
もっと日の長い夏のうちに会って遊べたら楽しかったかもしれないけれど、冷え冷えしてきたころに人と会うと、心が温かくなるのがよくわかる。

文科三類 2年 Sophie

 

オンラインミーティング

大学最初の夏休みが終わった。
いろいろと予定を入れていたのだが、一部中止やオンライン開催となり、結局比較的のんびりとした夏休みとなった。そのためか、よく休めたなあと感じる一方で、何もしていないような虚無感もあり、複雑な心境のままAセメスターに突入する。
先日、オンラインミーティングで、一度も会ったことがないメンバー同士の身長を当てることで話が盛り上がった。具体的な身長の数値を知ると、意外と印象が変わる気がする。実際に会ったらもっと印象が変わるだろう。オンラインだと対面よりミーティングが開きやすいので、「よく話すのに相手がどんな人かいまいちつかみきれない」という奇妙な状況が生まれるのを実感した。
Aセメスターで少しはこのような状況が少なくなるかもしれない・・・楽しみだ。

理科二類 1年 R.K.

 

発見

私は、東京大学に大学院から入学した。新型コロナウィルスが流行し始めた2020年に入学したため、授業はすべてオンラインで研究室にも数カ月いけない状況であった。私の研究室は、同期がいないため、授業や課外活動に参加して友人を作るしかなかった。しかし、コロナでオンライン授業となったことで、課外活動も少なく対面で人に会うことが少なくなった。このため、友人作りに力を入れるモチベーションがなくなり、入学から1年以上経過したが、友人はできなかった。いわゆる“ぼっち”だ。幸いこれまでの学校生活の中で、”ぼっち”になるという経験はなかったため、新たな経験だった。“ぼっち”として生活する中で、一人ですることを見つけようとしたがなかなか見つけられなかった。これまで流行に合わせることだったり、友人との趣味を合わせることであったりと周りに合わせることばかりであったことに気が付いた。そこで、この発見からいろいろなことにチャレンジしようと自ら動くことが出来るようになった。
普段このような文章を書く事がない自分が文章を書いている。大きな成長である。

工学系研究科 修士2年 K.K.

 

参考リンク
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原稿作成/2021年10月
企画・構成/「キミの東大」企画・編集チーム