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「他者を対象とした学びが自分に関する学びへとつながるところが文化人類学の魅力。出会いを大切にし「人間とは何か」を追究したい」―2021推薦生インタビュー 教養学部

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2021推薦生 尾島さん

PROFILE

  • 氏名:   尾島杏佳さん
  • 出身校:  国際基督教大学高等学校(東京都)
  • 入学:   2021年 文科三類(教養学部進学予定)

――学校推薦型選抜に挑戦しようと思ったきっかけを教えてください。
直接的なきっかけは、興味本位で募集要項を見てみたことですね。そこに書いてあったアドミッションポリシーの「学びに対する興味や関心、そして、学びを通した人間的成長への強い意欲」という言葉に強く惹かれ、その言葉がなんだかすごくしっくりきました。アドミッションポリシーにはその時の自分に当てはまるようなことが書いてあったと同時に、まだまだ自分がその学生像に達していないというのが正直な気持ちでした。でも、この入試に真剣に取り組むことでこの学生像に近づけるかもしれないなと考えて、受験を決意しました。

――学びに対する興味や関心、学びを通した人間的成長という点に共感した背景には、どのようなことがあると思われますか?
高校1年の時に高校のプログラムで8日間エチオピアを訪問して、アフリカの民族や言語の多様性に触れたことが大きかったと思います。そこから、世界史や地理の教科書に載っている地図では、宗教・民族・言語に関してきれいに境界線が引かれていることに疑問をもつようになりました。本当の人間関係というのは、静的な線で表せるものなのかなと感じて。そこで、アフリカ中部に住むピグミー(*)と呼ばれる狩猟採集民についての研究を始めました。彼らの暮らしの場では、複数の民族が同じ場所に住み、結婚して混血の子どもが生まれたりしています。また、言語を複数の民族が共有する例もあり、そういう場所で民族の境界線がどのような形をとっているのか、探究をしたいと思いました。探究を続けていくうちに、彼らの音楽やさまざまな儀礼、植物の使い方など、民族関係以外のことにも興味が広がりました。これほども興味を持って探究を続けられたのは、この探究には常に、彼らについて学ぶと同時に、自分と自分のいる社会について振り返るという面があったからだと思います。ピグミー社会について探究することによって、不思議なことに、彼らについてよりも自分について深く理解できるようになりました。他者なのに、その中に自分を見つける喜びというのを発見できて、何か結果を出すためではなく、自分の見ている世界を振り返って理解しようとする学び。そんな学びが理想だなと思うようになったんです。その姿勢が、直接ではないですが、アドミッションポリシーと共鳴した気がします。

(*)「ピグミー」蔑称として認識されることもありますが、ここでは学術的な流れを踏まえてこの言葉を使用しています。

――ピグミーの研究を通して学んだことを、学校推薦型選抜の出願書類としてまとめたのでしょうか?
論文としてまとめて出願のときに提出しました。もともとは高校3年の探究学習の一環で取り組んだ探究だったのですが、学校では論文をまとめることは求められていなかったので、自主的に掘り下げて論文にしました。論文をまとめ始めたのが5月初めで、出願ギリギリまで書いていました。

――学校推薦型選抜の準備は大変でしたか?
はい(笑)。とにかく論文を書くのは大変で「期限までに終えられるかな」と最後の最後まで不安でした。私が探究のテーマにしていたのは自分が出会ったこともない人々だったので、新しい文献に出会うたびに自分のこれまでの信念や当たり前が揺さぶられて、どんどん探究したいテーマが変わっていったんです。そうなると志望理由書に書く関心も変わってくるので、最初に書いていたものを何度も書き直すことを繰り返しました。

――出願書類をまとめるうえでは、どういった方にアドバイスをもらいましたか?
私は文化人類学を学びたいと思っているのですが、興味をもつきっかけとなった本を書かれた他大学の先生にメールでコンタクトを取って、本の内容について質問させていただきました。それから、高校の世界史の先生がたまたま文化人類学を学んだことのある先生で、私の関心とも似ていたので、アドバイスは本当に参考になりました。

――東大ではどのように学びを進めていきたいと思っていますか?
ちょうど昨日授業が始まって、人類科学という理学部の先生が担当されている授業を受講しました。もともと人間を文化的な側面と生物学的な側面の両方で理解して、「人間とは何か」という壮大な問いを突き詰めたいという思いがあったので、その授業はすごく面白かったですね。実は、自分の興味に関連付けて多領域を学べるのも東京大学を志望した理由の1つなんです。
ほかにも、早期履修制度を利用して、文化人類学の古典を少人数のゼミ形式で読む授業を履修したいんですが、これはアドバイザー教員の先生とこれから相談して決めたいと思っています。

――アドバイザー教員の先生にはどのようなアドバイスをもらいたいと思っていますか?
アドバイザー教員の先生も文化人類学の方なので、フィールドワークに関して相談に乗っていただけたらなと思っています。ピグミーの研究をしてから、人の自然との関わり方というのに興味をもったので、今はアジアでの独自の自然との関わり方に関心があります。大学在学中にフィールドワークをしたいと考えています。

――最後に高校生・受験生の皆さんにメッセージをお願いします。
私が推薦入試を乗り越えられたのは、とても大切な人々に出会えたことが大きかったと思っています。高校生活で出会う先生だったり部活だったり活動を通しての仲間だったり、そういった一つ一つの出会いを無駄にせずに大切にすること。学問でも同じように、自分の世界を広げてくれるような本との一つ一つの出会いを無駄にしないこと。それが大切なのかと思います。いろんな学びや人、経験との出会いに身を浸して、どんなに小さいものでも全ての出会いを大切にして欲しいです。

――これからのご活躍を応援しています。ありがとうございました!

取材/2021年4月
インタビュー・構成/「キミの東大」企画・編集チーム