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「高校では熱中症の探究活動に注力。学問領域を横断して環境問題の解決を図るコーディネーターになりたい」――2020推薦生インタビュー(5)教養学部

2020.07.09

推薦生2020

#推薦入試 #推薦入試 #教養学部の人 #教養学部の人

2020推薦生上田さん

PROFILE

上田うえだ 萌加もえかさん(教養学部進学予定)

出身地 東京都
高校  お茶の水女子大学附属高等学校

―東大の推薦入試にチャレンジしたきっかけを教えてください。

担任の先生から、高校で私が注力してきた探究活動などを活かせるのではないかと、勧められたことがきっかけです。当時は何となく理系を志望したいと考えており、志望分野を絞れていなかったので、推薦には向いていないのではないのかと思うこともありました。でも、学部を調べる中で、教養学部は専門を広く持つという点に惹かれていきました。

本気で推薦に挑戦しようと決意したのは、高3の夏のオープンキャンパスで興味のある学部学科を全て周り、悩み抜いた末に自分が目指すべきは国際環境学コースだと確信できた時です。推薦入試を通して成長できるところに挑戦する価値があると感じたので、出願を決めました。

―高校ではどのような探究活動をしたのですか?

高校のSGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)の活動では、熱中症の探究をし、地球環境への興味を深めました。

―なぜ熱中症というテーマを選んだのですか?

WBGTという熱中症の危険度を表す指標を基準に部活動がやたらと制限されたことへの個人的な不満という単純な動機です。WBGTは有効な指標であるのかや、熱中症の危険性との相関を調べることを切り口にチームで探究活動を始めました。熱中症搬送者と気候要素のデータ分析や地図化をもとに、年代ごとや日本の地域ごとに熱中症の発症リスクを考察したり、訪日外国人の熱中症の危険度を考察したりしました。これらをふまえて、オリンピックに向けた熱中症の対策案や、有効であるとわかったWBGTの普及方法などを考えました。それを論文や学会発表、Webサイトやリーフレットの作成、熱中症予防声かけプロジェクトとの連携などを通じて、社会に向けて発信しました。

―熱中症から地球環境への興味へとつながっていくのですね。

探究の始まりは地球環境の自然科学的側面のみに着目した調査でしたが、状況を変えたいという思いから、社会科学的側面へと探究の対象が広がっていきました。地球環境分野の学際的な点に触れ、この分野への興味が深まっていきました。私自身が熱中症という身近な事象から地球環境を「自分事」として考えるようになったことから、熱中症を通して地球環境を身近に感じてもらい、環境問題などのグローバルな課題への意識を高めるというアプローチに関心を持つようになりました。

―学校の探究活動以外で取り組んだ活動はありますか?
高1の春に台湾で開催されたAPFSTというプログラムではアジアを中心とする15カ国の中高生と「科学の未来を想像する」をテーマに議論をしました。この時は、各国代表の生徒に圧倒される場面がほとんどで、英語力が足りなかったのはもちろん、自分の意見を持つ姿勢が必要だとわかりました。

高2の夏に参加したアジアユースリーダーズでは「インドネシアの食生活の改善策を考える」というテーマで議論しました。この時は、ディスカッションにおいて自身の体験をふまえたアイデアを提案できたほか、プレゼンのスライド作成も担当し、スキルアップを実感しました。一方で、そのようなアイデアが問題の根元とどう作用するかの仮説を立てて実現可能性や有効性を検証する、という議論を先導するリーダーには及ばず、ロジックの展開の仕方や知見の広さが私には足りないと感じました。

―課題に気づいた一方、強みにも気づいたのではないですか?

はい。いきづまった時も、ひとりで抱え込まずに、どんどんメンバーを巻き込んでコミュニケーションを取れるフットワークの軽さが強みだと気づきました。また、それぞれの良いアイデアを取り入れるなど、裏で調整しながらリードできるという強みも明確になったと思います。

―中学生の頃は、どのようなことに関心を持っていましたか?

中学2年生の時に、納豆のネバネバから取れるポリグルタミン酸を使う水の浄化についての新聞記事を読んだことがきっかけで、水環境に強く関心を持つようになりました。自主研究という授業では、1年間実際に納豆からポリグルタミン酸を抽出する実験などをして、天然の物質で水を浄化できることの面白さを感じると同時に、綺麗な水資源を守ることの重要性を考えるようになりました。中学までは一人で探究することが多かったのですが、高校では環境問題について水とは違った側面からチームで考えてみたいという関心が強まりました。

―海外に行ったのは高校生になってからですか?

中学2年生の夏に初めて海外に行き、オーストラリアでのホームステイを体験しました。英語で国境を超えて話せることの喜びと、英語で何かを学びたいという目標を強く意識するようになりました。価値観の違いや、水不足の国ならではの文化の違いを体験するなど、自分の世界を広げる貴重な経験となりました。

ポリグルタミン酸の研究とこのホームステイは、中学時代に夢中になって取り組んだ2つのことでしたが、今思うと環境と国際という私の今の関心に繋がる核となった経験だったのかもしれないと感じています。

―東大で楽しんでいる授業は何ですか?

PEAK(教養学部英語コース)の授業です。今はエネルギー工学について学んでいます。他のPEAK科目も受講したいです。また、TGIFのサークル活動(日本人学生と留学生が一体となって活動する学生団体)などを通じてPEAK生などの留学生と一般入試の学生を繋ぎ、入学形態に関係なく交流できる機会を充実させたいなと思っています。

―将来はどのような仕事をしたいですか?

環境技術開発を促進するために、環境問題解決に関わる技術だけでなく政策や外交など、多様な分野のスペシャリストたちを繋ぎ、橋渡しできるような役割を担いたいと考えています。環境問題は学問の枠も国境も越える複雑に絡み合ったものですが、様々な分野を融合することで、大きなスケールの課題にも、より短期間で取り組むことが可能となると考えています。一歩引いた立場で物事を繋げることで、新たなアプローチや解決策の考案に貢献したいと考えています。

―具体的にこういう分野で活動したいという夢はありますか?

最終的には分野や世界を横断して環境問題を解決するコーディネーターを目指していますが、実際に現場を知るために、環境技術の分野で活動してみたいです。一度実際に自分が専門的な立場を経験することで、それぞれの専門分野で何を目指して研究が行われているのか、どのような課題があり、どういったコラボレーションを必要としているのか、を知りたいです。その中で、コーディネーターとして何が求められるのかを模索したいと思います。

―最後に、推薦入学の先輩として、高校生たちにメッセージをお願いします。

推薦入試は一つの強みを生かすのではなく、経験してきたこと全てを強みにできる入試だと思います。だからこそ、興味のある活動も、部活も、勉強も、やると決めたことは全力でやり抜いてほしいです。頑張っていることに何も無駄なことはないし、私は取捨選択せずに思う存分取り組んできたことが今の自分に繋がっていると感じています。

高校で頑張ったことを振り返り、自分のオリジナリティは何なのか、これまでの活動と自分のバックグラウンドをこれからどう活かしていきたいのか、たくさん悩みながら推薦入試にチャレンジしてほしいです。

―ありがとうございました。これからもチャレンジを続けてください。

取材/2020年5月
インタビュー・構成/「キミの東大」企画・編集チーム