東大卒業生インタビュー・県庁職員―東京での出会いと福井への想いを糧に、地域振興に幅広く携わる
東大卒業生のいま 2019.12.19
2019.12.24
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東大卒業生インタビュー
東大生の卒業後のいろいろな進路をお伝えするインタビュー。今回は、組織人事コンサルタントとして活躍されている杉江美祥さんを取材しました。キーワードは「自分で決める」。常にアクティブに、思い切った決断をしてこられた杉江さんは、「大人って楽しいよ!」と語ってくださいました。
PROFILE
杉江美祥さん
出身高校: 富山県立高岡高等学校
学部・大学院: 文学部 社会心理学専修
卒業後の進路: コンサルタント会社で「組織人事コンサルタント」として活躍中
――まず、東大を志望し、入学するまでの経緯を教えてください。
実は、高2までは別の大学を志望していました。でも、オープンキャンパスに行ってみて「何だか違うかもしれない」と直感的に思ってしまって。
そんなとき、高校の先生に「悩んでるならとりあえず東大って書いておきなよ」と背中を押され、東大志望になりました(笑)。
その後、高3の夏のオープンキャンパスで本郷キャンパスを見て、「これは良いな!」と思いました。こっちも直感なんですけど(笑)。キャンパス全体の建物の雰囲気だったり、いろんな人が学んだ歴史なんかに心打たれて、改めて東大に入りたいと実感しました。あの時モチベーションをくれた大学の景色は、入学してからもずっと好きでしたね。「ああ、やっぱり私の大学かっこいいな」って、歩きながら思っていました。
――自分が「かっこいい」と思える環境に居られるって素敵なことですよね。さて、杉江さんは文科三類に入学して、文学部の社会心理学専修へ進学されましたが、進路はどのように決められたんですか?
受験時に文科三類を選んだのは、人間の関わる歴史、思想、文学といった「人文学」の領域に興味があったからでした。それから東大に入って授業を受けて、心理学に興味をもって、進振り(現在の進学選択)では心理学が学べる学科を目指すことにしました。
実は東大には心理学に関連する学科がたくさんあるんですが、その中で私が進学したいと感じたのは文学部の社会心理学専修でした。ここでは、社会的な環境において人々がどのように行動するかを学びます。消費行動とか、服従の心理とか。人が集まったときに生まれるものっていうのはすごく面白いテーマだなと思って、志望しました。
――お話を聞いていて、とても良く自己分析をされているように感じます。
私は、自分には臆病なところがあると思ってるんです。その分、何か行動を起こす前によく考えるのが癖になっているのかな。自分が好きで得意なことは何なのか。逆に苦手なことは何なのか。「苦手だ」と気づいたことに関しては、積極的に挑戦するようにしていました。「人前で喋るのが苦手だな、よし集団塾の講師のアルバイトをしてみよう!」とか。
――それは、ストイックですね(笑)
――塾講師のアルバイト以外に、課外活動はどんなことをされていましたか?
大学でやりたいことの1つに「海外に出る」というのがあったので、長期休暇を利用した大学のプログラムに何度か参加しました。あとは、フェリーと寝台列車で中国を旅行するプログラムに単身で参加してみたり。
――アクティブに活動されてたんですね。
やりたいことはできる限りやろうと思っていて。行った先で何をするかももちろん大切だと思うのですが、それ以前に、自分で何をするかを決めることが大切だと思っていました。
大学3年生の夏、もう就活に向けたインターンなんかも始めていたのですが、このまま4年で卒業していいのかと、ふと不安になりました。悩んで悩んで、「まだやりたいこと、やりきれてないな」って思ったんです。そこで、4年生に上がる前に1年間休学することにしました。留学ではなく、インターンとして、9ヶ月間ベトナムに行くことにしたんです。
――ベトナムですか。
はい。ベトナムの社会起業家を支援するベンチャー企業にインターン生として採用され、現地のアパートで一人暮らしをしていました。今では、行って本当によかったと思っています。ベトナムって物価も安いし、暮らしている人たちもなんだか気楽であたたかくて、「これから日本に帰ってどうしようもなくしんどくなったら、ベトナムに行こう」って心に決めました。こうやって肩の力を抜くことができたのは、すごく貴重な経験だと思っています。この経験があったからこそ、辛いことがあっても乗り越えられているなって。
――ベトナムでのインターンシップの後、今の会社に就職されたのはどういう理由からですか?
帰国してから改めて就活をして、今の会社に就職が決まりました。この会社に就職した理由の1つに、「月曜日が楽しい大人を増やしたい」と思ったことがありました。東大に入る以前は、仕事って辛いものなんだと思っていたんです。でも上京してみて、世の中には「仕事が楽しい大人」が実はたくさんいることに気づいたんです。私が東大に入って得た財産はそれですね。そういう人がもっと増えたらいいなと思って。
私の勤める会社は、主に人の所属する組織そのものを作ったり、企業のビジョン設定のお手伝いをしたりする会社です。組織と事業って、企業にとってどちらも欠けてはいけない大切なもので、その両輪を回すっていうのがコンセプトです。「月曜日が楽しい大人を増やしたい」という想いをもって就職していたら、コンセプトに共感できる今の会社に出会えたという感じです。
――労働の場である組織の改善を仕事にされたということですが、現在のお仕事に社会心理学科でのご経験は活きていると思いますか。
直接関わりがあるようには見えないかもしれませんが、人が集まる組織について考える上で、大学で学んだ基本的な考え方は活きていると思います。
――最後に、読者の高校生・受験生にメッセージをお願いします。
東大では人生におけるたくさんの選択肢にめぐり会えました。最近、人生の幸福度には自己決定の度合いが強く影響しているという話を聞いたんですが、私は東大で多くの選択肢を得られたから、自己決定の度合いも高かったなと。だから、東大で過ごせたことは本当に幸運だったと思っています。最後にもう1つ。大人になることって、きっと皆さんが思っているよりも楽しいことです。これからますます面白くなっていく人生を、どうか楽しみにしていてください。