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東大卒業生インタビュー・JAXA職員―宇宙に挑戦することは並大抵のことではない。志を共有する東大の仲間がいるから頑張れます

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東大卒業生のいま 福添さん

東大卒業生インタビュー

東大生の卒業後のいろいろな進路をお伝えするインタビュー。今回は、JAXAの職員として活躍されている福添森康さんを取材しました。宇宙に挑戦することの意義や、東大で出会った仲間たちの影響など、熱く語っていただきました。

PROFILE

福添 森康さん

出身地:鹿児島県日置市出身
出身科類・学部:理科一類(1994年入学)→工学部 航空宇宙工学科
現在のお仕事:JAXA(宇宙航空研究開発機構)鹿児島宇宙センター射場技術開発ユニット 主幹研究開発員。射場技術開発ユニットで、ロケット打上げの総合的な企画・調整や射場運営管理取りまとめなどに従事。

小学生から育んできた宇宙への興味

――福添さんは現在JAXAでご活躍ですが、宇宙に興味を持ったのはいつ頃でしたか?

小学生の頃から理科が好きでした。「なんで、どうして」が多いタイプで、ものの仕組みがよく気になっていました。宇宙に関して言えば、小学校高学年の頃には天体観測同好会に所属していて、ハレ―彗星の観測会をしたりしていました。乗り物も好きでしたね。好きだった理科に打ち込んでいたら、それが得意な科目になって、もっと好きになっていく、という好循環だったと思います。

――それでどんどん理科が得意になり、東大を目指すことになったわけですね。

受験を意識しだす前から、東大に漠然とした憧れはありました。基本的に負けず嫌いなんですよね。東大は自分の実力を試すのには、本当に良い環境だと思います。
無事に東大の理科一類に合格して、物理が得意だったので、大学1年の中頃には航空宇宙工学科への進学を考えるようなっていました。

――その後、予定通り航空宇宙工学科に進学されていますが、勉強や研究以外ではどういう学生生活を送られていたのでしょうか?

大学生活は総じてとても楽しかったです。良い友達に恵まれました。印象に残っているのは、大学1年の時に知り合いとなった友達と大学2年の秋、東京から鹿児島まで自転車で帰省したことです。その友達とは、当時週末に予定を合わせて遠くに釣りにいったりもしていました。つい先日も種子島に来てくれて、約20年ぶりに一緒に釣りをして楽しみました。そんな気心の知れた長い付き合いになる友達と知り合えたことも大きな財産です。

東大卒業生のいま 福添さん
鹿児島に自転車で帰省した際の思い出の写真

宇宙への挑戦は、「ギリギリのライン」を狙うこと。だからこそ価値がある。

――現在は種子島宇宙センタ―でお仕事をされているそうですが、具体的にどのようなことをなさっているのでしょうか。

ロケット打上げのJAXAにおける総合的な企画・調整の仕切り役が私の仕事です。計画通りにロケットの打上げが成功するよう、代替案も考えながら計画全体が滞ることなく進むように統括しています。約束した計画通りに打ち上げるということは一筋縄ではいかず難しいことです。最終的な調整も多く必要となります。

最近は2ヶ月に1度のペ―スでロケットを打ち上げていますが、私が子供だった頃は年に1回くらいでした。本当に間が開くと2年に1回しか打ち上げていなかったので、それと比べると今は10倍ほどの頻度で打ち上げていることになります。私たちもここまで頻度高く打ち上げができるようになるとは思っていませんでした。

――ロケットの打上げは高い技術だけでなく、正確な計画・運営にも支えられているのですね。

JAXAに20年いて改めて思うのですが、やはり脈々と受け継がれるノウハウがあって、何事も決して一人では実現できません。何百人、何千人、何万人という人の関わりの中で1つのものを連続させて成功させるというのは、よほどの精神性がないと実現できないのだと思います。「自分もその一員なんだ」と取り組む人々の連なりが、今のロケットの連続成功(注1)の裏にあるのだと感じますね。

――なるほど。

自分で言うのも何なのですが、ロケットの打ち上げを見ると、涙が出るほど感動しますね。何度見てもすごいです。種子島の自然は豊かで、普通に考えたらロケットを打ち上げるような雰囲気じゃないんです。にもかかわらず、ロケットを打ち上げている。対極にあるはずの自然と人類のチャレンジが一つに融合しているところに得も言われぬ感懐を抱きます。

東大卒業生のいま 福添さん
自然豊かな種子島の風景。奥に見える赤白の支柱がロケットの射場

――確かに、宇宙はロマンに溢れていますよね。一方で、宇宙開発の目的は抽象的・長期的なものが多くて、なかなかピンと来ないなとも感じます。どうして人類は宇宙に挑戦するのでしょうか。

「面白いから挑戦する」と思う人たちが活躍できる場所が存在することに意味があるからではないでしょうか。私はそのような場所として今のJAXAがあると思っています。宇宙への挑戦が面白いのは、「ギリギリを狙っている」から。「できないかもしれないけれど、できるかもしれない」というところを追究するところに、この仕事の面白さがあると思います。

人類の進化を残すためのわかりやすい手段の1つが宇宙へのチャレンジで、それがロケットや人工衛星、宇宙ステ―ションとして形になっていると思っています。確かに、所詮は人間の営みなので、地球や重力には縛られざるを得ません。けれどそこに抗うというのがロケットですし、きっとその先には全く別の挑戦もあるんじゃないかと思っています。

宇宙分野の第一線で活躍している同窓生たちが刺激に

――少し話は変わりますが、東大での経験が今の仕事に活きていると感じることはありますか。

実は、航空宇宙工学科の仲間たちにはJAXAで働いている人がたくさんいます。しかも、気づいたら私たちの学年に宇宙飛行士(大西宇宙飛行士)はいるわ、「はやぶさ2」のプロジェクトマネジャ―はいるわ、新型ロケット「H3」開発や新型大推力エンジン「LE-9」開発の中核を担う人もいる。特に望んでいたわけではないのに、気づいたら同じ志を持っている人たちが航空宇宙工学科に集まっていて、同じ机を囲んで勉強していたというところが、東大の求心力だと思います。卒業してもう20年経ちますが、学科がコアなつながりとなっていることは、私にとって大きな財産です。

東大卒業生のいま 福添さん
学生ライター(写真左)に対し、宇宙への志を熱く語ってくださった福添さん

――学科同期の皆さんがそれぞれ宇宙開発・研究に関わっていて、新たに現場としてのつながりができているのですね。

そうですね。別に学生時代から一人ひとりととても仲良かったかというと、必ずしもそうではない。それでも、お互い話が合うし、何かしらの仲間意識がありますね。学生時代から、「あいつが頑張っているから俺も頑張る」という相乗効果もあって、恵まれていると感じます。

ちなみに、毎年1回、本郷で学科の同窓会を行なっています。クラスの半数20名ほどが集まり、とても盛り上がります。

――最後に、読者へのメッセ―ジをお願いします。

自分が好きなことや興味があること、得意だと思うことを大切にして、どんどん伸ばしてください。不得意だと思うことに注目するのではなくて、熱心になれるものをとにかく大事にしてほしいですね。そうする中で自分が本当にやりたいことが見つかってきて、どんどん人生が輝いてくる。実感を持ってそう考えています。頑張ってください。

(注1)たとえば、種子島宇宙センターから打ち上げられている宇宙ステーション補給機「こうのとり」は、2019年9月25日現在、8号連続で打上げに成功している。

取材日:2018年12月15日

2019.11.25
インタビュー・構成/学生ライター・足立愛音、学生ライター・林怜実