推薦生インタビュー2024(まとめ)
推薦生(2024-2018) 2024.07.24
2024.07.24
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PROFILE
――東大を志望した理由を教えてください。
私は、水辺環境の生物多様性の保全に取り組みたいと思っています。生態系には、農学的な視点だけではなく、文化的、経済的、政治的な視点も絡んでくることがあるので、より幅広く深い視野を獲得したいと考えています。東京大学では、1、2年次の前期課程で、多様な授業を受けることで、幅広い教養を身につけることができます。その教育システムが私のやりたいことに最適だと考え、志望しました。
――なぜ、水辺環境の生物多様性の保全というテーマに関心をもったのですか?
私は福井県出身なのですが、小さい頃から、福井県のため池や湿地などで生物調査をしていました。毎年、敦賀市にある中池見湿地を訪れる中で、年々水生昆虫や水生植物の種類や個体数が減少していることや、中池見湿地だけではなく、全国の水田を訪れた際にも、珍しい水生植物があったエリアが3年後に埋め立てられて宅地になっていたこともあって、水辺環境の生物多様性の保全を行いたいと考えるようになりました。
――高校では、どのような活動に取り組まれていたのですか?
水生植物に関しては、いまだに生態自体が分かっていない部分が多いのですが、生態が分かっていないと、そもそも保全を行おうにもすることができません。そこで保全への第一歩として、水生植物の生態を明らかにするために、自分で採取したものや、ほかの方に譲ってもらったものを含めて、自宅で80種類ぐらいの水生植物を育成して、その生態を明らかにしたり、植物間で相互に与える影響を調べたりしていました。
――学校推薦型選抜に挑戦したきっかけを教えてください。
私の高校の先輩が学校推薦型選抜で東京大学に入ったということを聞いて、東京大学に学校推薦型選抜があることを知りました。学校推薦型選抜に挑戦しようと決めたのは、自分がこれまで取り組んできた活動やその熱意を東京大学の先生に直接伝えられる機会があるということに魅力を感じたからです。
――準備の過程で苦労されたことはありますか?
高校の授業では物理選択だったので、高校の生物の中で必要な部分を自分で勉強したことが大変でした。ほかにも、面接ではどのような質問がされるのか、大学レベルの知識も必要なのかといった情報がまわりからは入ってこなかったので、何からやっていいのか分からず、とりあえず、受験勉強と並行して、大学の範囲の生物多様性の本も読んでいました。
――なぜ高校では物理を選択していたのでしょうか?
物理は、この世界に存在する普遍的な現象の中から、何らかの規則性を導くことで一般化する学問です。物理学を学ぶことで、生態学の複雑な仕組みの中にも規則性のある現象があって、それが複雑に絡み合っているのではないかという視点を得ることができるかもしれないと考えて、物理を選択していました。
――大学の授業が始まっている頃かと思いますが、興味のある授業はありましたか?
生物多様性に関する授業はもちろん、生態系を多面的に理解するために必要な政治や経済に関する授業も受け、水生昆虫や水生植物の保全活動や行政との連携を進めていきたいです。また、これから全国各地で調査を行うことになると思いますが、以前西表島のある水田で調査を行った際に、その水田が地元の人々にとって神聖な場所であることを伺いました。このように、土地や場所に対する考え方は地域によって異なるので、地域ごとの文化的な側面を学ぶ授業も受けたいと考えています。
――将来はどのようなことをやりたいと考えていますか?
まずは大学院に進学して、水辺環境や生物多様性に対する解像度を上げていきたいです。将来は水辺環境の生物多様性の保全に貢献したいのですが、正確な生物多様性の評価方法はまだ確立されていないので、フィールドの保全に加えて生物多様性の評価方法に関する研究も行いたいと考えています。
――最後に、高校生に向けてメッセージをお願いします。
一般選抜で東大をめざす地方在住の高校生は、まわりに塾が少なく、情報もなかなか入ってこないなど、不安を感じることも多いと思います。私自身も塾には行っていませんでしたが、学校推薦型選抜は、地方にいながら、地方を活かした研究を行うことができますし、自分が熱中して行ってきたことに対して正当に評価を出してくれるシステムだと思うので、ぜひ挑戦してほしいです。また、準備を進める過程でも、自分のやりたいことをより明確することができるという意味でもとてもよい手段であると考えています。学校推薦型選抜を受けるか受けないかにかかわらず、高校生のうちにしかできないことも含めて、興味のあることには積極的にチャレンジしてください。
――やりたいことへの挑戦を応援するメッセージ、ありがとうございました。