「困っている人、より充実した生活を送りたい人に実りのある社会教育を届けたい」―2024推薦生インタビュー 教育学部

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PROFILE

  • 氏名:   川瀬ありささん
  • 出身校:  津和野高等学校(島根県)
  • 入学:   2024年 文科三類(教育学部進学予定)

――東京大学の教育学部を選んだ理由を教えてください。
教育学を学べる大学を探した中で、東京大学が一番、社会教育学について専門的に学べる大学だったので、東京大学の教育学部を志望しました。

――どのようなきっかけから社会教育学に関心をもたれたのですか?
私は、都内の中高一貫校に通っていたんですけど、自分のやりたいことが見つからず、進路選択に困ってしまった時期がありました。そうした中で、1回外に出ないと自分の興味関心は見つけられないのではないかと考えて、高1の11月に「地域みらい留学」という制度を利用することを決め、翌年の春から島根県の津和野高校へ、新たに高1として再入学しました。そこでは、いろんな大人の人と話す機会があって、いわゆる社会教育を経験し、自分はどういう人間なのかを少しずつ考えることができるようになりました。このような機会をもっと広く、いろんな人に届けることができれば、困っている人や、今は困っていなくてもより充実した生活を送りたいという人たちの可能性を広げる、または新しい可能性を発見するきっかけを届けられるのではないかと考えて、社会教育学を学びたいと思いました。

――津和野高校を選んだ理由を教えてください。
課外活動でいろんな体験をして自分の興味関心を見つけたい、広げたいという目的があったので、課外活動が盛んな島根県の津和野高校を選びました。島根県は、「地域みらい留学」「しまね留学」という、留学制度がより進んでいて実践例・先例が多い地域なんです。私は西日本に行くのすら初めてだったんですけど、一度見学に行ったときに、「いろいろさせてあげたい」って気持ちが、先生方や地域の方からひしひしと伝わってきて、こういう場所で学びたいなと思いました。

――ご家族はどのような反応でしたか?
頑張って入った中高一貫校だったので、やっぱり最初はすごく反対されましたね。なので、なんで行きたいかをひたすら説明して、自分なりのビジョンを語って、どうにか許可してもらいました。当初は渋々許可していた感じでしたが、留学先での生活や力を入れていた活動について、電話したときや帰省したときに話すことで、次第に応援してくれるようになりました。

――学校推薦型選抜の受験を考え始めたのはいつ頃ですか?
高校1年の頃、東京大学の学校推薦型選抜で工学部に入った津和野高校の卒業生がインターンで来られたときに、まず、学校推薦型選抜の存在を知りました。そのときに、東大生の仲間たちをたくさん連れてきてくださったのですが、好奇心旺盛な方ばかりだなという印象を受けて、漠然と東京大学をめざしたいなと思うようになりました。そのうえで、島根県で開催されていた教育的な題材を扱うフォーラムに参加した際に、推薦生と直接話す機会があって、私は正直、学校推薦型選抜はすごい賞を取っていないといけないと思い込んでいたのですが、その方に「自分の関心について、自分の言葉で語れればいいよ」と教えてもらい、「もしかしたら、自分にもチャンスがあるかもしれないな」と思って挑戦しようと決めました。

――学校推薦型選抜はいろいろな場面でまわりの協力が必要になると思いますが、いかがでしたか?
私が「東大の学校推薦型選抜に挑戦したい」って言ったとき、学校の先生方はびっくりしながらも、すごく背中を押してくださって、私が不安なときは「川瀬さんなら大丈夫だ」と親身に寄り添って自信をつけてくれました。進路部長の先生や津和野高校の教育魅力化コーディネーターの方は志望理由書を何度も読み直したり、面接でどんなに深い質問が来ても私が耐えられるよう何度も練習させてくれたり、細かい部分まで指導していただきました。

――授業が始まって間もないですが、東大はどんな印象ですか?
入学前に抱いていた印象どおり、好奇心旺盛な人が多いなという印象です。もちろん、いろいろな人がいますが、何かしらに打ち込んでいる人や自分の意見がしっかり言える人が多くいて、刺激をもらいます。大学全体としては、リベラルアーツを掲げていることもあって、教育学だけに固執することなく前期課程で広く学べて、多角的な視点から教育をみられるというのが、私にとっては大きいメリットだなと思っています。

――大学でやってみたいことはありますか?
私が津和野町で、いろんな活動を行ってきたというのもあって、現場に出ることの大事さを身に染みて感じていたので、これからは、社会福祉や社会教育を軸に現場でのフィールドワークも続けていこうと思っています。また、自分の第二の故郷とも言える津和野町とは今後もつながりをもっていきたいです。

――さまざまな活動をしている高校生にメッセージをお願いします。
これは高校時代の自分、いや、今の自分にも言いたいことかもしれませんが、明確に自分のやりたいことが定まっていなかったとしても焦らないでください。その代わり、少しでも気になるものがあればそこに飛び込んで自分の可能性を広げて、将来の自分の選択肢を増やしてあげてください。

――とても貴重な体験をお話いただき、ありがとうございました。

取材/2024年4月
インタビュー・構成/「キミの東大」企画・編集チーム