「小さい頃から抱いた死への恐怖。生物学のアプローチで不老不死の技術を確立したい」―2018推薦生インタビュー 理学部

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PROFILE

  • 氏名:   近藤唯貴さん
  • 出身校:  山梨県立甲府南高等学校
  • 入学:   2018年 理科二類(理学部進学予定)

――理学部の生物ですよね。なぜ生物に関心を持ったのでしょうか。
僕は小さい頃から、死ぬのが怖いって思っていて、それに対して何とかできないかなってずっと思っていたんです。

――不老不死ってことですか?
はい。でも、まあ、そんなの無理だろうと思って若干諦めかけてたんですけど、高校に進学して生物という科目を学ぶうちに、頑張ればできるんじゃないかなと思って、興味をもって勉強し始めたっていう感じですかね。

――生物以外の物理や化学への興味はいかがでしたか?
生物学に関係性のある分野に関しては興味があったんですけど、そのほかに関しては特に興味があるわけではなかったです。

――高校に入る前になりたかったものなどはありますか。
やっぱり、死なないためにどうするかっていうことを考えていました。でも、自分で研究しても結果が出ないと思っていたので、お金を稼ぐために自分で研究所を立ち上げて、誰かにやってもらうほうがいいのかなって思っていたときもありました。今は不老不死をなんとか技術として確立したいと思っています。

――死ぬのが怖いっていうことは、推薦入試の提出書類でもアピールされたんですか。
そのものずばり書いたかどうかは覚えていないです。

――ところで、高校では、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の課題研究に参加されていましたか?
はい、参加していました。でも生命に関しての研究は高校レベルではできないので、ちょっと別の研究をしていました。

――SSHでの研究っていうのは、自分で設定するのですか。
全員がやるものと、あと部活動もあるんですよね。研究をする部活動にも入っていたので、その二つをやっていたんですけど、どちらもテーマは自分たちで決めてやっていました。

――ちなみに何の研究を?
ゾウリムシの走性について研究したり、あとはアブラナ科植物の種間不和合性について研究したりしていました。あとは食材性昆虫からのリグニンの抽出もしていましたね。

――研究をするうえで、大学の先生との関わりもあったのですか?
部活動の顧問の先生が、もともと大学でかなり研究をされてた方で、その先生のつながりで若干連絡を取り合うということはあったんですけれども、そこまで密接に関わっていたわけではないですね。

――推薦入試に挑戦しようと考えたのはいつ頃だったのでしょうか?
具体的に受けようと思ったのは高3になってからです。

――推薦入試ではどんなことをアピールしようと思ったのですか?
生物学が好きというだけで、狙って賞を集めるということはしてこなかったんですけど、結果として、生物学オリンピックや科学の甲子園に挑戦していたので、推薦入試に出願してみる価値はあるかなっていう感じでした。

―東大を考えたのはいつだったんですか?
その推薦入試への出願を考えたときです。2次試験は受けようとは考えていませんでした。不老化に関しての研究をされている方が別の大学にいらっしゃったので、その大学に行こうかなと考えていました。
やりたいことが決まっている自分の身からすると、早くから専門的なものを学びたいっていう思いがあったので、東大に入るなら推薦入試で入ろうと考えてました。

――推薦入試の早期専門教育に魅力を感じていたということですね。入学してみていかがですか?
まだ具体的には始まってはないんですけど、いろんな人脈を築けているというか、そういう点ではすごくここに来て良かったなって思っています。自分から積極的に動けば先生方とのネットワークもできるし、「どこにこういうものがあるから行ってみて」みたいな、そういうことを教えてくれるような方もたくさんいらっしゃいます。

――今後、ご自身が研究したい研究テーマが生物から変わってしまう可能性はありますか。
生物の本筋からずれることはまずないですけど、生物化学とか生物情報のほうにも魅力を感じることはあります。

――不老化なら薬学とかも関係があるのではないかと思いますが、薬学的なアプローチも考えていましたか?
これはあくまで僕の個人的な見解なんですけど、薬学的にアプローチするよりは遺伝的な方向からアプローチしたほうが解決しやすい問題なのかなと思っています。

――高校時代を今、振り返って一言で表現すると何になりますかね。
一言で表現すると、そうですね。やっぱり「生物学」ですね。

――では最後に高校生にアドバイスなど、メッセージをお願いします。
東大には、すごく志が高くて、これをやりたいと思っている人があちらこちらにいるということ。もちろんそうじゃない人もいるとは思いますが、志をもった人たちとネットワークを築けるっていうのが東大の良さだと思います。

――ありがとうございました。これからも好きを突き詰めて、頑張ってください!
 

取材/2018年4月
インタビュー/東京大学高大接続研究開発センター教授・濱中淳子(当時)
構成/大島七々三、「キミの東大」企画・編集チーム