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東大卒業生インタビュー・デジタル技術を活用して学びの場をデザインする仕事―宇宙に憧れていた私が今の活動に出会うまで。東大がすべての始まりでした。

東大卒業生インタビュー・デジタル技術を活用して学びの場をデザインする仕事―宇宙に憧れていた私が今の活動に出会うまで。東大がすべての始まりでした。

東大卒業生のいま

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卒業生 石戸奈々子さん

東大卒業生インタビュー

東大生の卒業後のいろいろな進路をお伝えするインタビュー。東大卒業後に様々な場所で活躍する女性たちをご紹介します。東大での学びや経験をスタート地点として、彼女たちが歩んできた道のりとは?

PROFILE

石戸 奈々子さん

出身校:女子学院高等学校
出身学部・大学院:工学部 システム創成学科(2002年卒業)→大学院 学際情報学府(2006年修士課程修了)
現在のお仕事:デジタル技術を活用して、21世紀にふさわしい学びの場のデザインを手がける。超教育協会理事長、特定非営利活動法人CANVAS理事長、慶應義塾大学メディアデザイン研究科教授、株式会社デジタルえほん代表取締役社長など。

―まず、どうして東大を進学先に選ばれたのですか。

幼少期から宇宙に対する強い憧れがあり、航空宇宙学科がある大学だけを選択したいと考え、結果として東京大学への進学を決めました。

―卒業されたのは工学部のシステム創成学科とのことですが、入学後に志望を変えられたのでしょうか。

はい。複数の研究室を見る中で、興味深い研究テーマが多数ある学科を選択しました。入学時から航空宇宙学科へのこだわりが強かったため、進学希望学科提出の前日まで迷っていたのですが…。同じような進路を希望している先輩がいたことも、学科選択にあたっては大きな決め手となりました。

―卒業後のお仕事はどのような経緯で選ばれたのでしょうか。

進学先の学科でマサチューセッツ工科大学の「メディアラボ」の研究に出会い、大きく心が揺さぶられました。「メディアラボ」は1985年の設立以来、デジタルの未来社会に対するビジョンを世界に対して打ち出し続けてきた研究機関です。ホログラフィー、ウェアラブルコンピューター、バーチャルリアリティ……今となっては身近な存在となったこれらの技術も、「メディアラボ」が生み出したものです。
宇宙に対する憧れも、「メディアラボ」への共鳴も、未知なものに対する私の好奇心の表れだったと思います。しかし、宇宙は今ある世界の探求であるのに対し、デジタルの世界は、今はない世界を創造できるという点に違いがあると感じ、強く惹かれました。10年以上にわたり宇宙関連の仕事に就きたいとこだわっていたのですが、「メディアラボ」に出会った瞬間に、私が行くのは宇宙ではなく「メディアラボ」だと感じました。学部を卒業後、幸いにして、恋いこがれていた「メディアラボ」に参画することとなりました。

―まさしく運命的な出会いがあったのですね。東大卒業後に「メディアラボ」で活動され、最終的に日本でNPO法人を設立されるまでには、どのような経緯があったのでしょうか。

まず、私は働く場所についてのこだわりはなく、常に「何をするか」を大事にしていました。
それを考える上で、「メディアラボ」の「学習環境」に対する考え方に大きな感銘を受けました。オープンでデザイン性の高い空間。ひらめいたらすぐにつくれる環境。多様で深い専門性をもつ人々のコミュニティ。学び合い、教え合うフラットな関係。多様性に対して寛容で、常に非常識なことに挑戦し続けるスピリット。新しい価値をつくり出すことに、最大限の賞賛の言葉を送るポリシー。そこには理想的な学びの場がありました。
また、「メディアラボ」は、テクノロジーと社会との接点を常に模索しているラボでもあります。「デジタルの恩恵を一番受けるのは途上国と子どもたちである」という考え方のもと、デジタルデバイドの解消やアフタースクールプログラムの提供など、現場の声を活かして技術的課題を解決しながら、思想と技術を普及させていく活動に熱心でした。メディアと子どもに関する研究所を作り、教育ツールや方法論の開発をしていたのですが、ICTによる子どもの学習、創造、表現という取組みは、日本の方が必要としているのではないかと考えるようになったんです。
このような経緯で、最終的に日本に戻って「NPO法人CANVAS」を設立し、活動をするに至りました。

―その後はどのような活動をなさっているのでしょうか。

「CANVAS」の設立後、「株式会社デジタルえほん」を設立し、代表を務めています。他にも、慶應義塾大学教授や各種政府の審議会委員、各種団体の役員等にも就任しています。母親でもあります。NPO、会社、大学、団体、委員、母親。複数の立場で活動を推進していますが、やりたいことはずっと変わらず1つで、「子どもたちの創造的な学びの場を、産官学含む多様な主体との連携でつくる」という活動をやり続けてきました。その過程で必要に応じて新しい組織を立ち上げたり、声がかかるポジションや仕事があったり。ネットやソーシャルでつながって、時間的、地理的制約を超えた様々な人たちと協働で、横断的に取り組んでいます。

―東大での学びと、現在のお仕事との関連をどのようにお考えですか。

東大ではたくさんの出会いがあり、それが今の仕事にすべて繋がっています。教養課程では、未知の世界へいざなわれて視野が広がり、専門過程では、1つの世界を深く探求する方法を学びました。また、大学時代に出会った先生方とは、今も仕事でご一緒する機会に多く恵まれています。東大に入ることで、自分の世界が大きく広がりました。今の活動すべての原点です。

―最後に、仕事をしている今だからこそ言える、高校生・受験生へのメッセージをお願いします。

私の座右の銘は「Imagine & Realize」です。想像と創造。大事なことは頭で想像、イマジンしたことを、実際につくりだす、リアライズすることです。ぜひ自分のやりたいことを大事にし、それを実現してください。

2019.5.
構成/学生ライター・林怜実