【開催レポート】地方高校生向けオンラインセミナー〈FairWind主催〉

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【開催レポート】地方高校生向けオンラインセミナー

日本各地の高校生の進路選択を支援する、東大生による学生団体FairWindでは、地方の高校と連携したオンラインセミナーを定期的に開催しています。このセミナーでは地方の高校生の勉強・進学に対するモチベーションが上がる情報が凝縮されています。
そこで今回は10月に新潟の県立高校と連携して開催されたオンラインセミナーを取材し、「キミの東大」の読者の皆さんにもモチベーションを高めていただこうと思います!

「高校生に切磋琢磨して欲しい」:新潟県立高校との連携イベント

FairWindは「地方高校生に、追い風を」を理念にかかげて、日々地方高校生の勉強・進学を支援しています。この「追い風」という概念にはFairWind内でも様々な解釈があるのですが、今回のセミナーの責任者の山川さんは「広い選択肢を見せることで、視野を広げて挑戦の機会を増やすこと」であると解釈しています。

山川さん 「僕も地方の高校出身なのですが、自分の能力を過少評価して、「自分なんて無理だから」と弱気になってしまう同級生がいました。この背景には、自分と同じように高い志を持つ人がいないとか、情報が行き届いていないといったことがあります。そうした人に具体的な情報を与えることで、視野を広げ、自信を持たせ、挑戦につなげることが僕にとって「追い風」だと思います」

実際に山川さんの持つ課題意識は、連携する新潟の県立高校の先生方も感じています。毎年東大を受験する学生はいるものの、自分の能力に自信を持てず、高い目標を掲げて挑戦する生徒が少ないという現状を変えたい、という同校の思いもありました。

そこで今回のオンラインセミナーでは
1.地方から東京大学に入学した現役大学生の話を通じて、地方から東大などを目指すイメージを具体化する
2.同じ高校内で、難関大学志望者同士で、悩みや工夫を共有し、身近な仲間の存在を感じる
3.その志望大学を目指す理由を明確にし、モチベーションをより強固にする 
という3つのコンセプトを立て、生徒たちが切磋琢磨できる環境を構築することを目指しました。

 

志望理由を考え、モチベーションを高める

オンラインセミナーでは、最初に文理に分かれて、FairWindのメンバーそれぞれ1人ずつから、(1)東大の志望理由、(2)高校時代の勉強の仕方、をテーマにプレゼンが行われました。その後グループに分かれ、高校生3~4人に対しFairWindメンバー2人がファシリテートする形でワークショップが開催されました。今回は、理系の方のセッションにフォーカスして取材させていただきました。

プレゼンテーション1 ~なぜ東大を目指したのか~
初めは理科1類に入学された2年生の大林さんから、東大を目指した理由についてのプレゼンテーションが行われました。自身の経験と他の学生の意見を併せ、志望理由、入学してよかったこと、志望理由があることの良さの3つの観点からお話いただきました。
志望理由や入学してよかったこととして、研究設備の充実やキャンパスの雰囲気の良さ、多様なバックグラウンドを持つ学生との交流等が挙げられました。特に、大学で始まる研究活動の充実という点は高校生にとって新たな視点であったようで、高校生からは、今後自分の興味のある研究について考えて進路を調べてみたいとの声が聞かれました。

東大生_志望動機

 

プレゼンテーション2 ~勉強スケジュールの立て方~
続いて、理科二類1年生の幸野さんより、参加した高校生と同学年だった高校2年生から3年生の受験期にかけて、時期ごとの大まかな勉強スケジュールや内容、モチベーションの保ち方について紹介が行われました。過ごし方のポイントや、数学や物理の基礎を早めにやっておけばよかった等自身の反省点も伝えていました。
高校生たちが、この後の勉強スケジュールの立て方についてのワークショップにスムーズに気持ちが向く様子が見受けられました。

東大生_モチベーションの保ち方

 

ワークショップ ~悩みの共有、勉強計画の作成~
ワークショップでは、自己紹介を繋げていくアイスブレイクで緊張をほぐし、リラックスした雰囲気で始まりました。大学生が高校生1人1人に対し、苦手科目の悩みを聞いていき、それに対して何が苦手なのか対話しながら分析していきます。
高校生が対話を通して、「どうしたら苦手を克服することができるか」を考え、自分なりにこれから取るべき行動を考えている姿が印象的でした。勉強計画を立てるフェーズでは、各々がワークシートに従って、いつ何をするのかを考えて書き出し、高校生同士で共有が行われました。
参加した高校生らは、実践的なアドバイスを得られるとともに、同じ志をもった仲間と悩みを共有することで仲間意識を高められたと思います。

 

東京大学をより身近に感じるように

セミナー終了後、参加した生徒からは東京大学を身近に感じるようになったという声が続々と上がりました。東京大学の内情から、具体的な受験勉強の仕方まで幅広く情報を得られたことで、参加者全員の自信とやる気が増したように感じられました。

〈終了後のインタビュー(抜粋)〉

――東京大学や志望大学を目指すモチベーションはあがりましたか?

理系・女子 「もともと東大は、頭の良い家系の人が行くような印象を持っていました。でも、今日お話を聞いて、この環境であれば、自分でもやっていけるという自信が持てました

文系・男子 「もともと行きたい大学はあったのですが、あまり調べたことはなく、志望理由が曖昧でした。今日の話を踏まえて、改めて大学の情報を集めてみて、志望理由を高められるような大学を探してみようと思いました」

理系・男子 「今まで漠然と大学に行くとは思っていました。その中で今回のイベントで東大の実験設備など研究環境の話を聞いて、大学進学にかんして新しい視点が持てました。今までも東大には興味がありましたが、より興味が深まりました

――志望大学を意識した受験勉強について、新しい発見はありましたか?

文系・女子 「大学生のプレゼンや同級生とのワークショップを通して、まず数学を早めに仕上げておいた方が良いことが認識できました。また大学生の指摘を受けて、複数科目を並行して勉強することの難しさに気づけました」

理系・女子 「数学にかんして、参考書の使い方、過去問を始める時期などは以前から考えていましたが、アドバイスを受けてより具体的になりました。苦手としていた現代文、古文、漢文について、他の生徒の計画を見ることができて、参考になりました」

――今回のイベントでもそうですが、東大などを目指す女子は、特に理系だと少ない印象です。一緒に志望する同志が少ないなか東大を目指すハードルは高いと思いますか?

理系・女子 「私は理数科に入っていて、クラス内でも女子の割合は少ないです。正直、東大の学生は真面目すぎるかななどの偏見があったのですが、今回のイベントで2人の女性の方とお話をして、みなさん面白くて優しかったんです。東大の学生さんに対する印象が変わったし、自分が目指してもいいな、行きたいなと思えました

――同じ高校の中で、東大や難関大学を目指すという同じ志を持つ人の存在を感じられましたか?

理系・女子 「地方だから東大などを目指す人が少なくて、これまで孤独を感じていました。でも今回あらためて、同じ学校に、同じように難関大学を目指す人がいることに気づけました。また現役の東大生と話して、東大を志望することに実感がわきました

文系・男子 「もともと一緒に頑張る友人がいて、進学の話はよくしていました。今回は彼らと勉強計画などについて、より具体的な話をすることができて、より仲間の存在が感じられ、不安がやわらぎました

文系・男子 「同じクラス、同じ空間で頑張る仲間の存在を感じたからこそ、今後も一緒に頑張っていけたら良いと思います。これからも切磋琢磨していきます!」

2時間のオンラインセミナーを通して、参加した高校生は、東京大学を身近に感じ、そこを目指すモチベーションと自信を高めていました。また私たちスタッフも「東京大学は世界に門戸が開かれており、是非地方の高校生の皆さんにも目指して欲しい」と感じました。
 

学生団体FairWindでは今回のように、地方の高校生にとって追い風となるようなイベントを随時開催しています。最近ではYouTubeチャンネルも開設されました。是非ご確認ください。
【参考リンク】
FairWindウェブサイト:https://fairwind-ut.com/

取材/2021年10月
取材・構成・文/学生ライター・穂原充、中川深結
企画/学生団体FairWind、「キミの東大」企画・編集チーム