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「水路の探究活動からシリコンフォトニクスへと関心を展開。環境問題の解決に取り組みたい」―2021推薦生インタビュー 工学部

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2021推薦生 小野さん

PROFILE

  • 氏名:   小野琢さん
  • 出身校:  山形県立山形東高等学校
  • 入学:   2021年 理科一類(工学部進学予定)

――高校は「探究科」だったそうですね。
山形東高校は数年前に探究科を設置して、僕はその1期生なんです。探究科を作ったことをきっかけに、探究活動を普通科も含めて全校でやっていました。この探究活動から関心が広がり、学校推薦型選抜に挑戦しました。

――探究活動のテーマは何だったのですか?
僕は山形県の山形市に住んでいたのですが、山形の夏ってめちゃめちゃ暑いんですよ。しかも、僕たちの学校は1、2年生の頃、クーラーがなかったんです。なので、暑いのを何とかしたいっていう思いがありました。
山形市には400年ぐらい歴史がある水路が張り巡らされていて、堰(せき)とか御殿堰(ごてんぜき)っていうんですけど。そこで、その水路にどれくらい冷却効果があるのかを科学的に実証しようという研究をしていました。

――その水路は打ち水のような冷却効果も期待して作られたのでしょうか?
いえ、もともとは、田んぼなどの用水路目的で作られたり、堀の水の確保で使われたりしていたみたいです。でも冷却効果っていうのは、歩いていると結構実感するんです。水が流れているだけで、涼しい風が吹いてくるなと。それで、それを科学的に実証しようと研究していました。

――どうやってテーマを決めたのですか?
グループで活動したのですが、まず何をすればいいんだろうというところから始まって、山形ってそういえば暑いよねとグループで議論して、こういう課題があるんじゃないかとなって。僕たちは最初、打ち水の研究から入ったのですが、打ち水から研究が進んでいって、最終的に水路の科学的実証をしようとなりました。

――探究活動が、どのように学校推薦型選抜への挑戦につながっていったのでしょうか?
探究活動の結果、確かに水路には2~3度の冷却効果があることがわかりました。でも数度の冷却効果って表面的な解決なんじゃないかと思ってしまって。環境問題を解決するんだったら、水をまくとか、水路の水を活用するとかっていう表面的なことではなくて、もっと根本的解決をしなくてはいけないと思い、エネルギー問題に関心を抱くようになって、そこから東大の志望につながっていったという感じです。

――探究活動から関心が広がっていったのですね。
もともと、高校1年の時に、山形大学の光トランシーバーを作ろうというプロジェクトに参加して、光デバイスに関心をもっていたのですが、東大ではシリコンフォトニクスという分野の研究が活発に行われていることも知りました。今、電気系の機械には消費電力を抑えにくくなっているという課題があります。コンピュータの中には集積回路が入っているのですが、集積回路が細かくなり過ぎて熱の問題が発生し、冷却のためにフル活用できないという問題があるんです。でもシリコンフォトニクスは光なので、そういう問題を解決し、低消費電力化や高性能化が進むと言われています。
環境問題を解決したいという思いと、こういった関心のある研究分野がつながって、自分もシリコンフォトニクスを研究できるかなと思い、東大を志望しました。

――同じ高校から学校推薦型選抜を受けて合格した人もいるということですが、準備するうえで話し合うこともありましたか?
理学部に合格した人は、研究で全国大会に行っていて、僕は賞を持っていなかったのですが、その人から研究の姿勢を学ばせてもらいました。書類も互いに見せ合って、「これ、もっとこうしたほうが伝わりやすくない?」「それだとありきたりじゃない?」と話し合ったり、あとは担任の先生とも話し合ったりしました。

――東大の学校推薦型選抜の情報はどのように得ましたか?
僕は2年生の時までは、学校推薦型選抜のことは一切考えていませんでした。というのも、すごく断片的な情報しか知らなかったので、スーパー高校生で数学オリンピックで活躍していないと入れないとか、そういうイメージしかなかったんです。
でも、担任の先生が「探究活動でも学校推薦型選抜の推薦要件を満たすことができるから考えてみたらどうだ」と勧めてくださいました。実際に自分で調べてみたら、卓越性だけじゃなくて、将来性とか、可能性とか、それからどれくらい考えているかにも重きが置かれていることを知ったので、実績はないけれど、頑張れば可能性はあるかもしれないと思いました。

――そのような経験から高校生に伝えたいことはありますか?
自分には学校推薦型選抜は関係ないやと思ってしまっている人もいると思いますが、自分のやってきたことを冷静に見直せばチャレンジできるかもしれないので、選択肢として考えてほしいです。

――東大で、勉強や研究以外に挑戦したいことはありますか?
在学中に起業したいと思っています。学校推薦型選抜前は漠然としていたのですが、志望理由書を書く中でやりたいことが決まり、環境問題などの社会問題に少しでも貢献できることで起業したいという思いがあります。工学部の教授にもベンチャーを持ちつつ教授をやっている方もいて、どちらもできるのかとびっくりしました。かっこいいな、目指す道だなと思います。

――とても素敵だと思います。ありがとうございました!

取材/2021年4月
インタビュー・構成/「キミの東大」企画・編集チーム