令和5年度 東京大学総長賞受賞者の声(学業編)
学生表彰 2024.04.10
2021.04.15
東大総長賞とは?
「本学の学生として、学業、課外活動、社会活動等において特に顕著な業績を挙げ、他の学生の範となり、本学の名誉を高めた者」(個人又は団体)に対して、東大の総長が直々に表彰を行う賞です。賞の授与は平成14年から始まり、年に1回、受賞者の表彰と活動(研究や課外活動、社会活動など)の内容に関するプレゼンテーションが行われています。令和2年度は13の学生・学生団体に対して総長賞が授与されました。
「キミの東大」では、受賞者の方々に活動/研究内容を教えてもらうとともに、高校生のみなさんへのメッセージもいただきました!
ぜひ、東京大学の学生の活動の幅の広さと学びの深さを体感してください。今回は、課外活動・社会活動編をお届けいたします。
TABLE OF CONTENTS
【保健所コロナ禍対策支援有志チーム】 新型コロナウイルス感染拡大の中、保健所支援活動を展開
【所 壮琉さん、中川 雅人さん、西澤 優人さん】 「バーチャル東大」を構築し、オープンキャンパスのオンライン開催に貢献
【岩田 奎さん】 俳壇の登竜門「角川俳句賞」を史上最年少で受賞
【庭田 杏珠さん】「記憶の解凍」プロジェクトで、戦前の白黒写真の「記憶の色」を蘇らせる
【東京大学工学部丁友会RoboTech】 国際ロボットコンテスト「ABU ROBOCON FESTIVAL」で1位を獲得
【内山 咲良さん】 東大女子選手として史上初となる日本陸上競技選手権大会入賞
2020年4月、新型コロナウイルスの感染拡大により、保健所は窮地に陥っていました。保健所は、電話相談・PCR検査の手配・疫学調査等の業務を一手に担う公衆衛生活動の最前線であり、検査を受けたいのに電話がつながらない等と話題になりました。そのような状況の中、日本公衆衛生学会の呼びかけに応え、医学系研究科公共健康医学専攻を中心とする「公衆衛生系大学院生の有志チーム」が発足し、世田谷区・足立区の保健所で支援を行いました。具体的な支援は、発熱等の電話相談、陽性者や濃厚接触者の健康観察、データ入力等です。さらに、支援の活動報告を学会誌に投稿掲載し、公衆衛生に関する政策提言を専攻ホームページで発信しました。未曾有の感染症で公衆衛生の重要性についての認識が高まる中、こうした活動が、学生が普段学んでいる公衆衛生学と、その学びを生かした実践活動を融合させた例として高く評価されました。
私たちは、東大VRサークルの活動を通じて習得したスキルを活用し、デジタル空間上に本郷キャンパスを部分的に再現した『バーチャル東大』を構築しました。全国の高校生にインターネットを通じたオープンキャンパス参加の機会を提供したことで大きな注目を集め、受賞決定時点での来場者数は延べ14,475人に達しました。また、『バーチャル東大』は、今後全学として活用できるオンラインプラットフォームとしても期待されています。この活動はコロナ禍で立ちどまらず、技術を活用し創造的に課題解決することを目指す本学の姿を広く社会に示し、高校生や本学学生を大いに勇気づけたものとして高く評価されました。
俳句は、新しい芸術的挑戦の場としても、また批評・研究の対象としても、小説などの他文芸ジャンルに比べて光が当ることの少ない分野とされます。私は大学入学以来、第10回石田波郷新人賞(1年次)、第6回俳人協会新鋭評論賞(2年次)など、論作ともに意欲的に新地平の開拓を志してきました。わけても今回、3年次在学時の2020年に受賞した第66回角川俳句賞(主催:角川文化振興財団)は俳壇の登竜門ともいわれ、未発表の連作に与えられるなかでの最高賞です。今回の受賞では最年少受賞記録を38年ぶりに更新し、この文芸に新風を吹き込むべく取り組んできた在学中の表現活動の集大成となり、高く評価されました。
私は、AIと資料・対話をもとに、戦前から戦後の白黒写真をカラー化して「記憶の色」を蘇らせる「記憶の解凍」プロジェクトを高校在学中から進めてきました。教育学部に推薦入学し、学業と並行して国内外での講演、広島市平和記念公園レストハウスの常設展示、ユネスコウェブサイトの論考執筆など、コロナ禍においても積極的に取り組みを続け、多数のメディアで報道されました。共同でプロジェクトを進める情報学環の渡邉英徳教授と共著で出版した「AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争」(光文社新書、2020年7月)は、発売後1ヶ月で6万部を達成し、AIと人のコラボレーションによる、戦争体験者の「想い・記憶」のあたらしい継承のかたちが評価されました。
東京大学工学部丁友会RoboTechは、ロボコンの世界大会ABUアジア・太平洋ロボコンでの優勝を目指して活動しているサークルです。特に今年はコロナ禍の影響で一時活動が停止される、大会の開催方式がオンラインに変更になるなどの数多くの障害を乗り越え、15年ぶりに世界1位を獲得しました。工学部丁友会RoboTechのみなさんは、新入生の教育をオンラインに移行したり、独自の感染対策ガイドラインを制定したりするなど、活動が大幅に制限されてもなお学生が主体になって真摯に創意工夫を重ねることによってロボット製作に取り組みました。その結果として、世界大会で1位を獲得し、さらに有名な国際学会IEEEのウェブサイトにてロボットが紹介されるなどの成果を残しました。これによって、コロナ禍においても世界レベルのものづくり活動を行うことができることを大学の内外に広くアピールしました。
2020年10月1日〜3日に開催された第104回日本陸上競技選手権大会の女子三段跳において、陸上運動部の内山さんは12m54cmで6位に入賞しました。東京大学の女子選手としては史上初の日本選手権入賞です。日本選手権は陸上競技日本一を決める名実ともに日本最高峰の試合であり、厳しい標準記録が設けられています。また、テレビ放映も行われ、陸上関係者以外にも知名度の高い大会となっています。出場選手の多くは実業団選手やスポーツ推薦校の学生であり、そういった選手と肩を並べて入賞したことは、日本トップレベルの競技力があることを示しています。また、医学部医学科で勉学を続ける傍ら高いレベルで競技を行うことで、文武両道を体現しているといえます。
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