「裁判官になってみて医学の重要性に気づき、退職して医学の道を志す」―2018新入生インタビュー 理科三類

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PROFILE

  • 氏名:   小野航介さん
  • 出身校:  麻布高等学校(東京都)/社会人学生
  • 入学:   2018年 理科三類

――東大を目指されたのはいつ頃ですか?

私は一度、東京大学を卒業して、裁判官として仕事をしていましたが退職し、理3を受験することにしました。それが2年前になります。

――なぜキャリアチェンジをしようと思われたのですか?

法律の世界で仕事をしていると、事故や事件の被害者の方とお話をすることがあるのですが、法律の世界で仕事をしているだけでは、その場だけで事件が終わってしまうということになってしまいます。例えば、加害者の人の罪を判断する、賠償金の額を決めるといったことを法律に基づいて行うわけです。でも実際には、当事者の人生は裁判の後も長く続きます。その後の精神的な問題や後遺障害の問題などに、直接に向き合いたいと思っていました。一人一人に向き合うためには、医学の知識が必要なのではないかと思い、キャリアチェンジを考えました。

――医師という世界にも身を置くことはできるし、医学の知識をもつ法曹界の人間になることもできると思いますが、どちらを考えていますか?

私としては実際に医学の知識があっても、法律の世界にいては裁判が終わったら仕事が終わりになってしまうので、その後のことに医師として携わっていきたいなと思っています。

――研究医よりは臨床医として活躍される道を考えているのですか?

今の段階ではどんな選択をするかは確実に決まっていないのですが、例えば事故後のPTSDなど、まだ取り組んでおられる現場の方が少ない分野については臨床をやりつつ、研究もするということを考えています。できるだけ、新しい分野で臨床をやりたいと思っています。

――改めて、教養の2年間を経験されることになりますが、前回とは違ったことを学ばれるのですか?

前回は文科一類でしたので、必修科目はかなり異なります。今回は数学や物理を頑張りたいと思います。

――今後、同じように東大を目指される社会人の方へ向けてメッセージをお願いします。

東大はいろいろな物の見方を重視してくれる大学だと思います。それは入学試験で自分の考えを書くことが多いことからもわかることで、東大はほかの分野でやってきたことを受け入れてもらえる場所であるはずだと私は思っています。社会人の方がいらっしゃれば一緒に頑張っていきたいです。
 

取材/2018年4月
インタビュー/東京大学高大接続研究開発センター教授・濱中淳子
構成/大島七々三