• TOP >
  • 東大に入ろう >
  • 推薦生(2023-2018) >
  • 「日本の法律や文化について学ぶため東大の推薦に挑戦。将来は国際宇宙法の整備に携わりたい」―2020推薦生インタビュー 法学部

「日本の法律や文化について学ぶため東大の推薦に挑戦。将来は国際宇宙法の整備に携わりたい」―2020推薦生インタビュー 法学部

#学校推薦型選抜(推薦入試) #学校推薦型選抜(推薦入試) #学生インタビュー #学生インタビュー #推薦生 #推薦生 #法学部の人 #法学部の人

2020推薦生一瀬さん

PROFILE

  • 氏名:   一瀬ルアナさん
  • 出身校:  渋谷教育学園渋谷中学高等学校(東京都)
  • 入学:   2020年 文科一類(法学部進学予定)

――東大の推薦入試にチャレンジしたきっかけを教えてください。
振り返ってみると、高校の校長先生の「国際的に活躍するために大切なのは、外国のことをたくさん知ることではなく、あなたのバックグラウンドについて十分に学び、それを他人に説得力をもって説明できるようになることである」という言葉がきっかけだったように思います。私は海外と日本で過ごした年数はほぼ同じですが、海外の方と話す時はやはり「日本人」という枠組みの中にいることが多いです。実は高校3年の夏までアメリカの大学も並列で志望していたのですが、この校長の言葉をきっかけに「やはり日本の大学で日本の法律や文化について集中的に学びたい」と思うようになりました。
そこで東京大学について調べ、日本の大学随一のリベラルアーツ・カリキュラムがあることや、初年次ゼミナールなどの少人数学習の機会も多く用意されていることを知りました。さらに法学部の推薦入試の「求める人物像」と私が中高を通して目指し続けた人物像がぴったり重なっているような気がして、何か運命みたいなものを感じ、受験を決めました。

――推薦入試の準備はどのように進めましたか?
まずは、自分についての「ストーリー」を確定するために過去に遡ってさまざまな経験を振り返り、それらが将来の目標や興味・関心にどう結びついているのかを考える時間を取りました。現代文の「Aはどうしてこのような行動を取ったのか」という問題に取り組むのと似た作業を、自分について行うような感じです。
「過去の経験、将来の夢、それを達成するために大学で学びたいこと」という3点セットをまとめたら、それを用いて志望理由書を錬成する日々が始まりました。何度も推敲を重ねましたが、2週間かけて書いた初稿を一晩でほぼ全部書き直すなど、そのプロセスは予想以上に波乱万丈でした。

――なぜ法学部を志望したのですか?
外国に住んでいた頃に紛争の影響を肌で感じた経験から、国際紛争の予防に関心を抱くようになりました。そのような関心を持っていたこともあり、高校時代に参加した天文学キャンプをきっかけに宇宙開発の法的課題に気づき、宇宙空間における国際紛争予防のための法整備に携わりたいと考えるようになりました。東大の法学部を志望したのは、前期課程で学際的な宇宙法の前提知識を包括的に学べ、法学部で専門性を掘り下げられることを、魅力的だと思ったからです。

――国際紛争の予防に関心を持つようになったきっかけを教えてください。
カナダに6年間暮らした後、中国に2年間暮らしていたのですが、中国に住んでいた時期に反日デモが発生し、数週間外出を控える経験をしました。当時の私は小学生で、それまで紛争はあくまでも「どこか遠くの場所で起きている他人事」でした。日本は平和な国で、私が国籍の影響で身の危険を感じることなどあり得ないと思っていました。その幻想が目の前であっさりと消えてしまったことで、国際関係を「自分ごと」として感じるようになりました。

――宇宙開発の法的課題に目を向けるきっかけとなった天文学キャンプでは、どのようなことを学んだのですか?
参加したのは、東京大学の木曽観測所で開催されている「銀河学校」という天文学キャンプです。当時私は高校1年生だったのですが、文理の選択に迷っており、「夜空は綺麗だなあ」という程度の関心で申し込んだものでした。そこでは、はやぶさ2が到達したリュウグウを筆頭に、小惑星には希少な鉱物資源が豊富に存在するという事実と、それらのポテンシャルを見込んだ宇宙探索が進展していることについて学びました。
一方、私はその裏側に数々の法的課題が存在することと、それらが解決されないまま開発が進展していることに気づきました。近い将来に国家や企業が宇宙資源の大規模採掘を試みる際には「どの国がどこまでを管理し、どれほどの資源を占拠するのか」という問題が発生するかもしれません。しかし現状では、十分な効力を持った国際宇宙法が整備されているとはいえないと思っています。

――推薦入学者には前期課程から専門教育に触れる機会が提供されますが、受けたい授業や取り組みたい研究活動はありますか?
法学部の国際紛争研究や国際法演習などの授業に興味があります。また、私が現在履修していて、独禁法を専門とする先生が教えている「法Ⅰ」の授業が非常に面白いので、その先生の演習授業(ゼミ)にも入りたいと思っています。法学部はゼミが学期ごとに開講されるため、興味のあるゼミに多く参加できることが非常的に魅力的ですね。
推薦生の先輩には2年次から法学部のゼミに参加している方など、非常に学びに意欲的な方が多いので、私も大学の授業のリズムに慣れてきたら積極的に受講したいと思っています。

――東大に入学して、友人関係、先輩との関係はいかがですか?
まず感じたのは、学生コミュニティの強さです。東大にはクラス制があり、クラス内の学生と知り合いになれることに加え、「上クラ」(1学年上のクラス)の先輩方は我々新入生が路頭に迷わないようにアドバイスをしてくれる心強い存在です。その他にも推薦生のコミュニティやゼミの繋がりを通して、面倒見の良い先輩や同学年の友人に恵まれています。

――授業については、どう感じていますか?
先生は学生のことを真剣に考えて素晴らしい授業をしてくださいます。105分授業の途中に休憩を挟む先生も多いのですが、その間にも生徒の質問に答えてくださる先生や、一見とっつきにくい授業内容を身近なことに結びつけて解説される先生など、非常に親身で教え上手な先生が多いです。

――大学生活の中でやっておきたいことはありますか?
2つあり、1つ目は司法試験の合格、2つ目は留学です。特に留学に関してはGLP-GEfILプログラムを通して、アメリカの大学で国際環境学か政治学を学びたいと思っています。東大は世界中の大学とのネットワークがあるので、そのメリットを存分に享受したいです。

――最後に、高校生たちにメッセージをお願いします。
私は高校時代、英語ディベートや海外大のオンラインプログラムなどの多くの課外活動に取り組みましたが、その一つ一つを通して自分の新しい一面を見つけることが出来ました。例えば文系の生徒が天文学キャンプに参加することは普通だと考えられないかもしれませんが、その経験がなければ宇宙法に関心を持つこともなかったと思います。また、英語ディベートの日本代表を務めたことで、人を説得するのに必要なのは語学力ではなくコミュニケーションの工夫だと学びました。そのように、皆さんも新しい活動を始めれば、思いがけない発見があると思います。3年間ずっと続ける必要はありません。向き不向きを実感したり、次の活動を始めるためのインスピレーションを得るまで、気軽に取り組めば十分です。ぜひ様々な活動を通して成功・挫折ともに経験し、主体的に「自分探し」をしてほしいです。

――ありがとうございました。これからもチャレンジを続けてください。

取材/2020年5月
インタビュー・構成/「キミの東大」企画・編集チーム