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「ヒトの健康を多角的に考察し、健康科学の研究者をめざして人々の健康に寄与していきたい」―2025推薦生インタビュー 医学部

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藤井由紀子さん

PROFILE

  • 氏名:  藤井由紀子さん
  • 出身校: 秋田県立秋田高等学校
  • 入学:  2025年 理科二類(医学部健康総合科学科進学予定)

――東大の健康総合科学科を志望された理由を教えてください。
私の出身の秋田県は、高齢化が日本で最も進んでおり、喫緊の課題であると言えます。小学時祖父の死を経験し、今年亡くなった祖母や地域の方々の高齢化を目の当たりにしたことから、医療福祉の重要性を強く実感するようになりました。高校に入学してからは、生物部で秋田県の課題であるがんに関わる遺伝子突然変異の研究や、世界で問題となっている薬剤耐性菌蔓延に対抗することを目標とした抗生物質の研究をしました。また、総合的な探究の時間においても、地域と医療ケアの繋がりについて取り組み、地域医療の現状、多様な社会における在宅医療などの医療福祉サービスの利用、心豊かな生き方について考察しました。そうした中で、高校2年次5月の生物の授業時に、先生がDNAのSNP解析と関連しているということで、東京大学の医学部健康総合科学科の人類遺伝学教室で行われている研究内容と、学科全体の概要を紹介してくださいました。そのとき、ヒトの健康を多角的に考察する素養を身につけ、医療に貢献できる人材になりたいと考えていた私にとって、唯一無二の大学、学科だと感じましたので、志望することを決めました。

――健康総合科学科ではどのようなことを学びたいですか?
生命科学、疫学、生物統計学、看護学などを総合的に学んだ後、がんなどの疾患研究へ応用するために、遺伝学や生物統計学などに関して専門的に学びたいと考えております。私は高校1年次より生物部で統計的手法によるデータ処理を担当し、検定について独習してきました。健康総合科学科には、がん遺伝子、疾患の解析をしている研究室も、新たな統計手法の提案を行っている研究室もあると伺っております。将来は健康科学の研究者をめざし、日本、ひいては世界の人々の健康に資する研究をしていきたいと考えております。

――高校ではどのような活動に取り組まれていたのですか?
主に、生物部の部長として全体の統括をしつつ、ヒトの健康に関する研究を精力的に行っていました。その一つが、抗変異原性を有する化合物の探索です。秋田県はがんの罹患率、死亡率が全国上位であり、特に消化器系のがんが多いため、細胞のがん化の第1段階である遺伝子突然変異を抑制する物質を、利用可能な食品の中から発見することを目的として研究していました。もう一つは、カテキンおよびその類縁体と抗生物質との組み合わせの検証です。今世界で薬剤耐性菌感染症の蔓延が深刻化していますし、緑茶での薬の服用は一般的に推奨されていません。そこで、既存の抗生物質の効果的な利用方法の開発や、薬の飲み合わせに関する注意喚起を目標とし、緑茶成分と抗生物質との相乗効果について分析しました。毎日が、実験計画、濃度計算、実験とデータ整理、考察、資料・論文作成の日々でした。理数科の課題研究では、医療や産業に貢献する海洋微生物の探索を目標に、海水の採取や分析を行いました。限られた時間での活動でしたので、その目標は達成できませんでしたが、神秘的な海洋の世界に触れ生物多様性に思いを馳せたり、海洋漂着物を拾って環境問題について考察したりすることができました。また、ご支援によりシークエンス解析をしていただくことも叶いました。さらに、短い期間ではありましたが、自然災害時に、ボランティア活動も行っていました。

――学校推薦型選抜に挑戦しようと思ったのはいつ頃ですか?
意識し始めたのは高校2年のときですが、実際に出願を決意したのは高校3年の進路希望調査のときでした。

――学校推薦型選抜の準備で大変だったことはありますか?
高校時代に取り組んできたことが多くあり、興味関心の幅も広かったので、それらを精選し順序立てて提出する書類や面接で使用するスライドにまとめていくことが、大変でした。しかし、これらの作成は、自分が将来やりたいことについてじっくりと向き合う貴重な時間となりました。

――勉強以外でチャレンジしてみたいと思っていることはありますか。
「東京大学裏千家茶道同好会」に入ることです。高校時、緑茶のカテキンについて研究をしていたということも理由にありますが、私は以前から日本の伝統文化に心を魅かれていました。和のもてなしの心を学びつつ、大好きなお茶を楽しみ、国際交流の場でも海外からいらした方々に日本の茶道を紹介していきたいと考えております。

――入学して数日が経ちますが、どのような印象がありますか?
先日クラスごとのオリエンテーション合宿が行われたのですが、交流の機会に恵まれているという印象を受けました。当初クラスになじめるか不安でしたが、すぐに打ち解けることができてうれしく思います。東京大学には、深い教養だけでなく高いコミュニケーション能力や柔軟性を持っている人がたくさん集まっているので、みなさんから刺激を受けて、一回りも二回りも成長していきたいと思っております。

――最後に、これを読んでいる高校生に向けてメッセージをお願いします。
学校の授業やさまざまな活動を大切にしてください。また、興味を持っていることに全力で取り組み、夢を大切にし続けてください。私の夢は「研究に携わること」でした。私は部活動を引退するまで、ほとんどの時間、仲間と研究に打ち込んでいました。学習との両立には苦しみましたが、たくさんの方々にご指導をいただいたり、交流を深めたりした充実した日々が今の私を形作っています。部活動に所属していない場合でも、校内の講演会や校内外のコンテスト、大学の講座など先生方が紹介してくださることに果敢に挑戦して、視野を広げていってください。高校生のみなさんのかけがえのない人生を、心から応援しています。

――力強いメッセージをありがとうございました!これからのご活躍を応援しています。

 

取材/2025年4月
インタビュー・企画・構成/「キミの東大」編集チーム