「医療、薬学、貧困地域というテーマ取り組み、将来は貧困地域の医療に貢献したい」―2018推薦生インタビュー 薬学部

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PROFILE

  • 氏名:   谷口朋さん
  • 出身校:  福井県立藤島高等学校
  • 入学:   2018年 理科二類(薬学部進学予定)

――薬学部の推薦入試を受けようと思ったきっかけを教えてください?
貧困地域で流行している感染症に興味があって、最初は医学部に行くことを考えていました。ただ、治療には薬が必要です。医師の役割も大事ですが、治療薬が開発されたことで多くの命を救えたという話を聞くこともあって、だったら自分は薬というアプローチで、貧困地域の医療に貢献したいと。それで高校に入学したときから、ずっと薬学部進学を志望していました。
推薦入試については高2の冬の面談のときに、担任の先生から「受けてみないか」っていう話をいただき、最初、自分は東大の推薦を受けられるようなタイプではないと答えていたんです。推薦入試はすごい高校生が受けるようなものだっていうふうに思っていて、自分には関係のない話と思ってたんですけれども、先生から薦めていただいてから気になり始めて、それで挑戦してみたくなりました。一応、一般入試の準備もしながらも、チャンスが増えるならという思いで、推薦入試を受けることを決めたのは高3の春でした。

――貧困地域に関心を持った理由は何だったんですか?
小5とか小6の頃に東南アジアとアフリカに旅行で行ったことがありまして、そのときに初めて、貧困地域を目にしたんです。同じ学年の子どもたちの生活を目の当たりにして、生まれた場所が違うだけで、なんでこんなに差があるんだっていうことを感じました。生まれながらの不平等というか、そういうのに違和感を覚えたのがきっかけで、国際協力ということに関わっていきたいなと漠然と思っていました。
小学生の頃、ガールスカウトに入っていて、貧困地域に物資を送るという活動に参加していたことも、関係していると思います。

――国際協力だと文系のアプローチもあると思いますが、なぜ医療だったのでしょうか?
実は母が青年海外協力隊で教師として南アメリカに行っていたこともあって、私も教育領域での活動を考えていた時期があったんです。でも、テレビなどで現場の状況をみていると、教育を受ける前にそもそも健康が損なわれているっていう実態があって、文系的なアプローチも「体」「健康」という基本があってこそ成り立つものだなと感じたんです。「教育以前にまず健康でないと」と考えたところから、自分は医療という面でアプローチができたらなと思うようになりました。

――医学部ではなく、薬学部にした理由をもう少し詳しく教えてください。
高2のときだったと思いますが、2000年代から徐々に貧困地域の医療問題への取り組みが進展しているけれども、薬の開発っていうところで取り組みが止まってしまっているという記事を読んだことがあったんです。
そのほかに「国境なき医師団」の人の本で、現地に行っても薬がないために、治療の手段がなくて治せないっていう話を読んだこともありましたので、私は「薬」というところに携わっていきたいと思いました。

――東大では前期課程で幅広い教育に触れられますが、薬学への思いが揺らいだり、迷ったりするかもしれないという不安はなかったのですか?
中学校の頃に「穴を深く掘るためには掘り口が広くないといけない」っていう言葉をもらったことがあります。いまも大事にしている言葉で、だからこそ教養を重視する東京大学のいろんな取り組みや、制度にすごく魅力を感じていて、むしろ自分の興味のために幅広いことを学びたいという気持ちが大きいです。
私は医療、薬学、貧困地域というテーマに将来的に取り組みたいと考えていますが、自分の興味に応じて、さまざまなことを経験しておきたいと思っています。ただ、あまりにも広く授業や学習機会が用意されているので、そうしたことに対する不安を感じる余裕がまだないんだと思います。

――新学期が始まって1カ月ほどたちましたが、掘り口は拡げられそうですか。東大の授業はいかがでしょうか?
毎日、刺激的です。授業のレベルが高くて、本当に最前線で研究されている方の話が聞けるというのは、めったにない機会で、すごくわくわくしています。また、周りの学生たちと話をすると、すごく知識が豊富で、頑張らなきゃっていう刺激をたくさん受けています。

――推薦で入ると早期専門教育の一環で、早く研究室を見に行くこともできると思いますが、具体的な動きは始まっていますか?
先日、薬学のガイダンスで、「研究室に入りたければ夏と冬に連絡をください」と言っていただきました。これから考えてみたいと思います。

――行きたい研究室やこの先生のもとで学んでみたいということは具体的に決まっているんですか?
パンフレットなどを読んで、いくつか興味のある研究室というのは挙げていたんですけど、入学してから面白そうだなと思う研究室が増えてしまって、今、決められない状態です…。いろいろ見学させてもらってから決めたいと考えています。
推薦で入学すると、提携の研究室で活動ができるっていうこともあるようなので、そういうチャンスも生かしていけたらいいなと思っています。

――最後に、高校生へのメッセージをお願いします。
私が推薦入試を受けることができたのも、「迷ったら、とりあえずやる」というスタンスだったからです。高校時代にしかできないことってたくさんあると思うので、いろんなことに貪欲に挑戦してほしいと思います。一見、勉強などにつながらないように見えても、それが後々、生きることもあると思うんです!私の場合は、自分の好きなことを追い求めていって、それがどんどんつながっていった結果、推薦入試で東大に入学することができました。だから皆さんもどんどんやってくださいと言いたいです。

――力強いメッセージをありがとうございました。

取材/2018年4月
インタビュー/東京大学高大接続研究開発センター教授・濱中淳子(当時)
構成/大島七々三、「キミの東大」企画・編集チーム