• TOP >
  • 東大に入ろう >
  • 推薦生(2023-2018) >
  • 「これからも『No one left behind.』を大切にして、 障害を持つ方を含む、すべての人が健康に暮らすことのできる社会を実現したい」―2023推薦生インタビュー 医学部

「これからも『No one left behind.』を大切にして、 障害を持つ方を含む、すべての人が健康に暮らすことのできる社会を実現したい」―2023推薦生インタビュー 医学部

#学校推薦型選抜(推薦入試) #学校推薦型選抜(推薦入試) #学生インタビュー #学生インタビュー #推薦生 #推薦生 #医学部の人 #医学部の人

PROFILE

  • 氏名:   加藤美侑さん
  • 出身校:  広島県立広島高等学校
  • 入学:   2023年 理科二類(医学部健康総合科学科進学予定)

――医学部健康総合科学科を志望したきっかけを教えてください。
私の姉が重度知的障害をもっていたことから、幼い頃から障害のある方とあたりまえに関わってきましたが、障害者施設での殺傷事件を知り、強い憤りを覚え、障害者差別の解消を訴えたいと思うようになりました。そのことがきっかけとなって、中学校では英語のスピーチコンテストに参加し、障害者差別について発信していたんですけど、高校に入ってからは、県の探究活動プログラムで障害者福祉について研究したり、再びスピーチをして発信したりしていました。そんな高校2年生の時、障害者差別がなくなるってどういう状態なのだろうと考え始め、健康を指標として障害者と健常者が健康格差なく同じように生活しているかどうかを見ることが大切だと考えるようになりました。そんな中、医学部健康総合科学科では、社会の構造から健康について考えるという保健社会学が学べることや健康格差の統計的分析をされている先生がいることを知り、健康総合科学科で学びたいと強く思うようになりました。

――健康に着目するようになったのは高校2年生から考え方の変化があったということですが、高校ではどんな活動をされていたのでしょうか。
障害者施設でのボランティアとして知的障害を持つ方の外出支援をさせていただいたり、強度行動障害のある方の障害者歯科の受診に付き添わせていただいたりしました。その活動を通して、障害を持つ方を診療しておられる精神科医や障害者歯科、小児科医にお話を伺ったり、障害を持つ方の親御さんに会ってお話を聞いたりしていく中で、知的障害や強度行動障害によって、適切な医療を受けられず、病院をたらい回しにされる現状を知っていきました。
また、Stanford e-Japanという、英語で日米社会について学び、研究活動を行えるプログラムに参加した際に、アメリカにおける障害を持つ方に対する病院での健康政策を英語で研究して論文を作成しました。そのほかにも、私の高校では、高校3年生全員が卒業論文を作成するのですが、その卒業研究として強度行動障害や知的障害を持つ方の健康問題に着目して、健康格差を改善するための健康政策の評価指標を作成しました。

――いつごろから学校推薦型選抜にチャレンジしてみようと思っていたのでしょうか?
私は中高一貫校の出身なのですが、高1になる前の春休みに、高校の進路指導の先生から東大に学校推薦型選抜があることや、高校の頃から平和活動の取り組みを続けていた先輩が、学校推薦型選抜で東大に入学してからも活動を続けているという話を聞きました。その話を聞いて、学歴のために勉強したくないなと思っていた私は、この素敵な先輩のように、自分の夢の通過点に「東京大学での学び」を置き、その夢を叶えるために勉強したいと考え、東大の学校推薦型選抜を目指すようになりました。

――学校推薦型選抜の準備はどのように進めましたか?
学校の卒業論文を作成した際には、高校の先生や実際に障害者を持つ方と関わっている医師などにみていただきながら、仕上げていきました。
また、学校推薦型選抜の資料やポスター作成では、自分のやってきたことを文章でまとめる必要があったので、自分が今までやってきたことを振り返りながら、学校の先生方に添削していただいたり、たくさんの方々からアドバイスをいただいたりしました。もちろん学校推薦型選抜と一般入試の両立は忙しかったのですが、綿密な受験勉強計画を立てて、準備を進めやすいように工夫しました。

――学校推薦型選抜に挑戦したことで、良かったことはありますか?
学校推薦型選抜に挑戦すると決めてから、両親や学校の先生にはよく相談にのってもらっていて、話すことで、今まで自分が取り組んでいたことの意味や「私はこういうことがしたいんだ」っていうことに気づくことができたので、学校推薦型選抜を受けて本当によかったなと思っています。

――東大に入学して1週間が経ちましたが、クラスの雰囲気はいかがですか?
お話をした感じでは、みんな芯がしっかりしていて、一緒にいて楽しい人ばかりだなと感じています。推薦生同士は集いを通じて、すでに学部の垣根なく自分の興味や関心、授業について話すことができていて、これからも大事にしていきたいなっていう仲間ができつつあります。

――東大ではどのような授業を受けてみたいですか?
「障害者のリアルに迫るゼミ」が特に面白そうだなと思っています。私はこれまで知的障害者を持つ方に着目してきたのですが、公平性という意味で、さまざまな面で社会的弱者がこぼれ落ちないような健康政策を考えて行きたいなと考えています。だから、このゼミを通して、難病や発達障害などいろんな障害について学び、LGBTQ、依存症の方などいろんな生きづらさを抱えた方のお話を聞いて、もっと考えを深めていきたいです。

――授業以外で、大学生活でやってみたいことはありますか?
国連に関する活動ができるUNiTeというサークルが気になっています。私自身、国連で働くことに対する憧れを持っています。また、昨年、国連障害者権利条約(CRPD)締約国会議の日本審査があったのですが、サイドイベントにUNiTeのメンバーも参加していました。そういった経験はなかなかできないことなので、ぜひ携わりたいなと思っています。

――少しずつ慣れてきた頃だと思うのですが、大学生活はいかがですか?
上京してきたばかりの頃には、満員電車など新生活に慣れなくて、少しストレスを感じていましたが、徐々に生活のサイクルが安定してきて、今は楽しい大学生活を送っています。東京では、広島では参加できなかった、興味のあるイベントに実際に参加することができて、世界が広がった印象です。これからも、東京での出会いや交流を大切に、夢を叶えるために、積極的に活動していきたいです。

――最後に、高校生へのメッセージをお願いします。
高校生のみなさんの中には、自分の将来の進路がはっきり見えないことに不安や焦りを感じる人もいるかもしれません。実際に私もそうでした。少しずつ自分のやりたいことに近づく努力をしたり、自分の将来について調べてみたりすることで、夢や目的が見つかるといいなと思います。そして、夢はあきらめないで目指し続けて欲しいです。
また、学校推薦型選抜は一般選抜とは求められるものが異なっているので、自分のやりたいことがはっきりしている人や、はっきりさせていく意欲がある人には向いているのかなと思います。興味はあるけど、学校推薦型選抜のことをあまり知らないというみなさんは、ぜひ東大のホームページでいろいろと調べてみてください。調べてみると「こういう研究室あるんだ」、「こういう社会問題を研究で扱っているんだ」、「これ自分の興味に合っているかもな」ということがわかると思うので、自分の進路の選択肢を考えるきっかけのひとつになると思います。

――これからの幅広いご活躍を期待しています。ありがとうございました!

取材/2023年4月
インタビュー・構成/「キミの東大」企画・編集チーム