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「祖母の病気がきっかけで薬学研究の道を志す。将来は脳に関わる新薬の創造に取り組みたい」―2023推薦生インタビュー 薬学部

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PROFILE

  • 氏名:   櫻井壮二郎さん
  • 出身校:  北海道旭川東高等学校(北海道)
  • 入学:   2023年 理科二類(薬学部進学予定)

――どんなことを学びたいと思って、薬学部を志望されましたか?
私は脳の神経変性疾患の根本的治療薬を作りたいと思って、東京大学薬学部を目指しました。というのも、小学生の頃に私の祖母が進行性核上性麻痺という病気になってしまって、そのときに有効な治療法がなかったことがきっかけでした。今の時点で、脳の神経変性疾患は複合的疾患であるということがわかってきていて、対処療法薬は出ているんですけど、根本的治療薬の開発は本当に難しくて、そのためには、新しい作用機序の薬を創る必要性を感じています。一見すると薬とは関係のないような基礎研究を行っている東京大学薬学部でなら、私の目標が実現できるのではないかと考え志望しました。

――高校ではどんな活動に取り組まれていたんですか?
高校では、薬学に関して専門的に学んだり、研究したりすることはもちろん難しいので、薬学の基礎としての化学や研究そのものに関わりたいと思い、化学部で研究活動をしていました。研究テーマは「亜鉛板は腐食するとなぜ黒くなるのか」という薬学と全く関係ないことだったのですが、自分で仮説を立てて実験して検証していくという、まさに研究の楽しさを知ることができました。研究したことは、全国高等学校総合文化祭で発表したり、JSEC(高校生・高専生科学技術チャレンジ)に論文を提出して、賞をいただいたりしました。

――新型コロナウイルス禍の中で、いろんな活動をされていたんですね。
それでも影響はかなり大きくて、オンライン開催がほとんどでしたね。自分で発表したものを録画して、資料と一緒に送る形式で、交流の機会は本当に少なかったです。そんな中でも、高校3年の最後の全国高等学校総合文化祭だけは現地開催が可能になって、やっぱり対面で交流するのは違うなって強く感じました。

――学校推薦型選抜に挑戦しようと思ったのはいつ頃でしょうか?
もともと東大の一般入試を受験するつもりで勉強をしていたんですけど、高2のときに部活の先輩が学校推薦型選抜で入学したということを聞いて、意識するようになりました。そのときに顧問の先生が「出願してみる価値はあるんじゃないか」とおっしゃってくれてはいたんですけど、やっぱり準備が大変なのはわかっていましたし、実際にオリンピックの受賞経験などもなかったので、自分にできるのか迷っていました。そんな中で、高2から高3にかけてお世話になっていた世界史の先生が「お前はただ勉強ができるじゃなくて面白いところがあるよ。出してみたら」って背中を押してくださって、そのことがきっかけとなって、本格的に目指してみようと思いました。

――学校推薦型選抜の準備は大変でしたか?
自分がしてきたことって自分でわかっていたつもりだったんですけど、いざちゃんと言語化しようと思うと本当に大変でした。でも、その言語化する過程で、自分がこれまでしてきたことに加えて、これからしていきたいこともはっきりできましたし、それを家族、先生、友人にも見てもらうことで、有言実行しなきゃいけない、絶対に成し遂げるんだっていう決意を固められました。

――学校推薦型選抜の準備を通して、得たことはありますか?
学校推薦型選抜は、志願書、資料などの準備や面接練習を通してお世話になる方が多いので、自分の力だけじゃなくて、やっぱり多くの人に支えてもらっているんだなって、まわりの人への感謝の気持ちを一層強く抱けたことがありがたかったなと思います。学校の先生もそうですし、一緒に面接練習をしたり、つらいとき声をかけてくれたりした友人達もそうですし、普段から支えてくれていた家族の存在も大きかったので、合格したときは、誰かひとりでも欠けていたら僕は無理だったかもしれないなと感じました。

――そろそろ授業が始まっている頃かなと思いますが、受けてみたい授業はありますか?
主題科目も文系の総合科目もたくさん面白そうな授業があるんですけど、やはり医学や薬学の専門的な研究に触れられる科目には特に興味があります。薬学部の教授が担当している化学薬学概論、生物薬学概論という科目があるのですが、薬学部推薦生の先輩から1年と2年で分けて取ったらいいよってアドバイスをいただいているので、今年は生物薬学概論を取りたいなと思っています。私が行きたいと思っている研究室の先生の話が聞けるので、「これはもう取るしかないな!」と思って楽しみにしています。

――将来就きたい職業や夢はありますか??
やっぱり研究者になって薬を開発していきたいっていうのはありますね。将来的には、東大の教授のように社会に影響を与えられる存在になりたいです。僕の祖母は、北海道の田舎に住んでいたので病気のデータを提供することはできなかったんですけど、そうした地方にいる患者のデータも広く集められる社会の仕組みをつくったり、治験の仕方を変えていったりしていけたらと考えています。

――最後に、受験生、高校生にメッセージをお願いします。
人の脳とAIの違いっていうのは、今のところ、何かを楽しむことができることだと思っています。やっぱり大学受験って厳しい道のりで、つらくなるときもあるとは思うんですけど、大学受験でしか得られない、人生において重要な滋味深いことに気づくきっかけになると思うので、みなさんにはぜひその道のりを楽しんでほしいと思います。

――素敵なメッセージをありがとうございます!

取材/2023年4月
インタビュー・構成/「キミの東大」企画・編集チーム