「創作活動を通して価値観やジェンダー論に興味をもつ。研究だけでなく表現し伝えたい」―2022推薦生インタビュー 文学部

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PROFILE

  • 氏名:   髙荷洸星さん
  • 出身校:  本郷高等学校(東京都)
  • 入学:   2022年 文科三類(文学部進学予定)

――学校推薦型選抜に挑戦しようと思ったきっかけを教えてください。
高校の部活で社会部に所属していたのですが、2学年上の先輩が学校推薦型選抜で東大に入学したと聞いて、初めてその存在を知りました。もともと、東大なんて自分には無理だろうと思っていたので、まったく視野にはなかったのですが、高校3年の5月に社会部の顧問の先生から、これまでやってきた学生団体などの活動をまとめて、学校推薦型選抜に挑戦してみたらどうかと勧めていただき、受験してみようかなと思い始めたのがきっかけです。

――学生団体などの活動というのはどのようなものだったのですか?
部活の友人から性的少数者の理解を広めるために映像制作をしてみたいという話を聞き、私も映像制作に興味があったので「一緒にやってみない?」と誘って学生団体を立ち上げました。その活動を通して、創作だけではなく、性的少数者の人権問題や社会問題についても深く考えるようになりました。私自身、明確に「男らしく」生きてきたわけじゃないという感覚もあったので、そうした経験から性の価値観やジェンダー論に関心をもつようになりました。

――学校推薦型選抜の際も、性の価値観やジェンダーの問題への関心をアピールされたんですか?
そうですね。今の社会では性別は男と女の2つしかないものだと考えられていると思いますが、例えば、「男らしさ」は人によってそれぞれ違うものがあるし、「二分化された性別に当てはまらない性別もあるのではないか」、「どうして性別はこの2つしかないと捉えられてしまうのか」などについて、特に考えています。私は一度抱いた違和感について、それが払拭されない限りずっと考え続けてしまうところがあるので、そうした性格が興味関心を後押ししたのだと思います。ほかにも「なぜ同性愛がタブー視されているのか」、「なぜ血縁が重視されるのか」といった性の価値観について、それらがいかに形づくられてきたかをジェンダー論や歴史社会学の視点からも探っていきたいです。

――学校推薦型選抜の準備は大変でしたか?
まわりはみんな一般受験という感じだったので、結構孤独ではありましたね。私もぎりぎりまでは、一般入試の選択肢は切らずに頑張っていましたし、他大学のAO推薦入試も考えていたので、途中まで並行して準備するのがとても大変でした。しかし、常に自分の軸は同じところにあったので、9月半ば以降から東大に専念して学校推薦型選抜に挑みました。学校の先生方がとても親身に支えてくださったことで何とかやりきれたのかなと思います。

――準備にあたって、周囲の人からはどのようなサポートを受けましたか?
部活で一緒に学校推薦型選抜を受けた友人がいたので、お互いに助け合いながら準備したり、顧問の先生からフィードバックをいただいたりもしました。加えて、大学生の兄から、論文の書き方のルールや内容面で足りない部分を教えてもらったことはかなり力になりましたね。多くの人と議論できる環境が身の回りにあったことも、とても心強かったです。 

――学校推薦型選抜の準備で得たものはありましたか?
私が学校推薦型選抜に取り組む中で一番難しいと感じたのが、やはり正解のない問題に取り組むことでした。今までの学校生活では、どこか先生が期待するような答えを書いてしまう部分があり、正解がない問いに立ち向かう際、「本当にこれで良いのだろうか」と不安で胸が一杯になりました。ですが、自分なりにこれが正しいと思うとか、「自分はこう生きていきたい」という自分の軸を持てるようになったのは、AО推薦入試も含め、学校推薦型選抜の準備過程で様々なことを考え続けたからだと思っています。

――大学4年間で受けてみたい授業などはありますか?
せっかくいろんな分野に触れることのできる環境があるので、できるだけ今まで関わりがなかった分野にも手を広げていきたいと思っています。例えば、生物学の進化論という授業を受けてみたいです。それこそ、男女という性がどのように作られてきたのかという内容もあったりして、一見あまりつながりのないところにも触れていきたいですね。

――将来就きたい職業や夢はありますか?
今は研究者の道に進みたいと思っています。しかし、大学で様々な分野に触れてみて、改めて考えていきたいとも思っています。私は研究することだけではなく何かを表現したり、伝えたりすることにも興味があるので、自分が勉強したいと思っている分野と、何かを表現するということの両方を追求していきたいと考えています。

――最後に高校生に対するメッセージをお願いします。
高校生の頃の僕は、「自分なんて…」と思い込んで自分の可能性を狭めてしまっていた部分があったように思います。ですが、学校推薦型選抜において求められるのは、自分が自分であることの価値だと思うんですよね。だからこそ、自分が本当にやりたいことやどうしても抱いてしまう感覚、違和感など、それ自体をちゃんと大事にしてほしいなと心から思います。誰かに忖度することなく、自分に自信を持って自分の可能性を信じてがんばってもらいたいです。

――とても力強いメッセージをありがとうございました!

取材/2022年4月
インタビュー・構成/「キミの東大」企画・編集チーム