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新しくなる総合図書館、バーチャルツアー―特集:知の拠点、東京大学の図書館 (1)

新しくなる総合図書館、バーチャルツアー―特集:知の拠点、東京大学の図書館 (1)

図書館特集2018

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特集:知の拠点、東京大学の図書館

大学生活を送る上で上手に活用したいのが図書館です。みなさんは東京大学の図書館と聞いて、どんなイメージを頭に描くでしょうか。なんとなく大きくて古くて、ちょっといかめしい施設を想像するかもしれませんが、実際には時代によって変化を遂げています。そして今まさに、東大の中でもっとも長い歴史と伝統を持つ本郷キャンパスの総合図書館が、生まれ変わろうとしています。

東京大学では数年前から「東京大学新図書館計画(アカデミック・コモンズ)」という構想を掲げ、2020年の完成に向けて本館の大改修と新しい施設を備えた別館の建設が進められています。

いったい東大の図書館はどんなふうに変わるのか。そもそも東大の図書館ってどんなところなのか、みなさんに知ってもらうために、今回は東京大学附属図書館について特集します。

蔵書数は国立国会図書館に次ぐ960万冊超!

実は東京大学には多くの図書館があります。本郷、駒場、柏の3つのキャンパスにそれぞれ「拠点図書館」が1つずつあり、それに加えて学部や研究所 ごとに「部局図書館・室」があります。そしてそれらすべてが「東京大学附属図書館」という名のもとに、有機的に結びついています。

その蔵書数はなんと960万冊以上。これは日本最大の蔵書を持つ、あの国立国会図書館(蔵書数・約2500万冊)に次ぐ規模です。ほかの図書館を調べてみると、東京都立図書館で200万冊程度。さらに他の有名大学では慶應義塾大学が約490万冊、早稲田大学が約560万冊、京都大学で約700万冊……ということで、東大の附属図書館は大学の中でも群を抜く蔵書数を抱えています。しかも毎年10万冊も増え続けていると言います。

その東京大学附属図書館の中でもっとも古くからあるのが、赤門のある本郷キャンパスの「総合図書館」。90年の歴史を持つ重厚な趣きに、つい入るのもためらわれるようですが、これこそ東大の学生たちに親しまれてきた図書館なのです。

未来に向け変貌する本郷の総合図書館

この「総合図書館」、見た目こそ90年前と変わっていませんが、「新図書館計画」によって大きな変貌を遂げようとしています。

2015年から大規模な改修工事が始まるのと並行して別館の建設もスタート。そして2017年、総合図書館前の広場に地下40メートルに及ぶ別館が完成しました。この別館には学生が議論したり、研究を発表するための円形スペースが設けられ、さらにその階下には300万冊に及ぶ蔵書を保管する自動書庫が備わっているというのです。

かつては静かに読書や学習をする場所だった図書館が、人が集まり交流し、新たな知を生み出す機能を併せ持つ施設に生まれ変わろうとしていると聞き、「キミの東大」特集班では、改修工事が行なわれている「総合図書館」を取材してきました。それをもとに、歴史を継承しつつ、将来の利用にふさわしい機能を付加した総合図書館の見どころをご紹介します!

総合図書館バーチャルツアー

【本館】


明るくなった赤絨毯の大階段

総合図書館の正面玄関を入り入館ゲートに立つと、いきなり目の前に現れるのが3階まで続く赤絨毯。ここは東京大学総合図書館の一番の見どころ。今回の改修によって吹き抜けの天井 から自然の光が入るようになり、明るくなりました。階段を一段ずつ上がっていくと、つい図書館であることを忘れて、歴史の舞台に降り立った気分に。


気品漂う記念室

正面玄関から入館ゲートを入って左側に進むと、そこには気品の漂う大きな部屋。一歩足を踏み入れて目に飛び込んでくるのが、映画「ハリー・ポッター」を思い起こさせる重厚な装飾と、壁から顔をのぞかせている鹿の剥製。その横には大きな絵画も並んでいます。なぜ図書館にこんなものが?

実はこの大部屋、関東大震災からの復興を記念して設けられた「記念室」。後に「貴賓室」と呼ばれ、皇族をはじめとする来客用の部屋として使用されたこともあったそうです。現在はそこを閲覧室として開放していると聞いて納得。

ちなみに壁の絵画は、インドの哲学者・詩人・音楽家・劇作家、タゴールの肖像画で、1957年にインドのネール首相が東京大学を訪問した際に寄贈されたもの。一方の鹿の剥製は、英国王ジョージ5世から贈られたもので、震災の火災の中から運び出されて焼失を免れた貴重な品だとか。

こんな格調の高い部屋で本を読めるとあって、今も東京大学の学生たちの間でひそかに人気を博しているようです。


90年の歴史が息づく大閲覧室(3階)

東西に長い館内でもっとも広い部屋が大閲覧室。装飾が施された天井や壁に囲まれた広い空間に、大きな長机が整然と並んでいます。そう、この部屋こそ、昔から東大の学生に親しまれてきた場所。その大机は、90年前の創建当時に設置されたもの。少しずつ修復しながら今日まで使用されてきたそうです。

その大机の仕切り板には、等間隔に人の名前が刻まれたプレートが! 図書館の職員に尋ねたところ、机の修復費を寄付した方々の名前だそうです。そういえば、書棚に も名前のプレートが……。総合図書館はいろんな人に支えられながら、歴史を継承してきたようです。


ホールと天井の彫刻(3階)

大階段を一気に3階まで上がると、そこには床に大理石が敷き詰められた広いホール。壁面には書棚が並んでいます。ゴージャスな空間に明かりを灯す照明は、今回の改修で創建当時のものに復元されました。天井にはたくさんの彫刻が施され、しかも場所によって模様が異なっていて、細部にもしっかり手がかけられていることがわかります。


(3階)メダリオン

3階ホールの壁面には、大正から昭和にかけて活躍した日本を代表する彫刻家、新海竹蔵による4作のメダリオン。近くでみるとその作りの精巧さに感動!

【新館】


知の円形劇場「ライブラリープラザ」

今、大学では受動的な知識の習得だけでなく、議論や発表などを積極的に行う能動的な学習が重視されています。そこで、学生と研究者が議論したり研究成果を発表するなど多様なシーンに利用できる施設として設けられたのが「ライブラリープラザ」です。

仕切りのない円形スペースの天井は格子状の木でかたどられ、中央部のガラス屋根はなんと地上に設置された噴水の底。さざ波を映し太陽の光が降り注ぐ大胆なデザインによって、自然が感じられる空間に。

ここはまさに「新図書館計画」の目玉となる施設。本館の耐震改修工事の影響でしばらくは静寂な学習スペースとして利用されていましたが、2018年10月2日に本来の能動的な学習を行う場所としてリニューアルオープン。異分野の人たちが互いに知的な刺激を与えあうようなイベントが多数実施される予定です。


出庫ボタンを押すと本が届く自動書庫(写真提供/東京大学附属図書館)

ライブラリープラザの階下は、300万冊が収まる「自動書庫」。地下40メートルの深さに、1層100万冊収容の書庫が3層に渡って設置されています。総合図書館本館にあるパソコンの画面から資料を取り出すためのボタンをクリックすると、別館地下に指令が届き、目的の資料が収められたコンテナを素早くピックアップ。早ければ5分程度で、本館カウンター内の出庫口に届きます。

この書庫は震度7クラスの地震に耐える性能を備えているそうです。貴重な知を次の世代に伝えることも、東京大学総合図書館に課せられた使命なのです。

Q&A

Q:高校生も東大の総合図書館を見学できるの?

A:総合図書館は、前日までに予約をすれば高校生でも建物見学が可能です(平日のみ)。残念ながら閲覧室等への入室はできず、本を閲覧することはできませんが、見学するだけでもワクワクした気持ちは胸に刻まれるはず。オープンキャンパス期間中も見学できますから、本郷キャンパスを訪れる機会には、ぜひ総合図書館にも足を運んでみてください。

(取材協力:東京大学附属図書館)

 

2018.10.22
取材・撮影・構成/ライター・大島七々三