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学問のスタートを支える──「駒場図書館」―特集:知の拠点、東京大学の図書館 (3)

学問のスタートを支える──「駒場図書館」―特集:知の拠点、東京大学の図書館 (3)

図書館特集2018

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東京大学に入学した学生が最初に利用する図書館といえば、駒場キャンパスにある駒場図書館。高校まで図書室や図書館を利用しなかった人も、入学後はほとんどの学生が図書館を頻繁に利用するようになると言います。その理由を探るべく、今回は駒場図書館を取り上げます!(トップ写真提供/駒場図書館)

夜間も土日・祝日も利用できる図書館

正門から入って時計台を横目に見ながら歩いていると、突如、近代的な建物が並ぶエリアを発見! カフェテラスやレストラン、東大生協の「駒場書籍部」が並んでいるため多くの学生がそこに集まっていて、話し声があたりに響いています。駒場図書館はそんなにぎやかな一角にありました。

ガラス張りの近代的な建物は、本郷の総合図書館とは対照的。さっそく足を踏み入れてみると…1階にある閲覧席はほとんど埋まり、学生の歩く姿も多く、静かでありながら熱気が伝わってくるようです。そしてほとんどが1~2年生とあって、若さが目立ちます。

駒場図書館は、地上4階、地下2階建て。屋上から2階部分にかけて、斜めに切り込まれた建物側面のガラス窓が印象的。1階には展示スペースがあり、さまざまな企画展が行われているほか、2階には多人数で議論したり発表をしたりできる施設もあり、竣工当時は時代を先取りした図書館だったことがうかがえます。


閲覧室(写真提供/駒場図書館)

1階展示スペース

そんな駒場図書館の最大の特長は、なんといってもその開館時間の長さ。平日は8時30分から22時までと、夜遅くまで開いているほか、土日祝日も開かれていて(9時~19時まで)、テスト期間中は休日でも22時まで延長されるとのこと。学生にとってとても“使える”図書館なのです。

しかも駒場キャンパス周辺には飲食店が少ないため、隣接する駒場コミュニケーション・プラザ南館のカフェテリアも土曜日にオープン(1階:カフェテリア若葉:11:00~14:00)しているほか、同じ棟にある「イタリアン・トマトCafé Jr.」は土日、祝日も夕方5時まで営業。休憩や食事ができる環境もあって、駒場図書館の休日利用者は年々、増えているとのことです。


駒場図書館前からカフェテリアに続く通路

1つの図書館に2つの役割

駒場図書館は、地上と地下では利用対象者が異なっていて、地上の1階から4階は主に1~2年生が利用するスペース。自習スペースも広く確保されています。一方、地下は主に大学院の総合文化研究科の院生や教養学部の後期課程に進んでいる3~4年生が利用する空間になっているとのことです。

なぜ、2つに色分けされているのかというと、駒場図書館が東京大学の拠点図書館の一つであると同時に、総合文化研究科の図書館でもあり、それぞれの特性を合わせ持っているからなのです。

駒場図書館長を務める古城佳子・大学院総合文化研究科教授にお話をうかがったところ、「1階から4階までの地上部分は、1~2年生向けの基礎的で幅広い分野での選書が行われていて、開架(図書を自由に手に取って閲覧できる本棚)が主体になっています。一方、地下は研究用の専門的な書籍が集積した集密書庫になっています」とのこと。

ちなみに集密書庫とは、ボタンを押すと書棚が自動で動く電動書架が集積した書庫のこと。

地下と地上に分かれているとはいえ、大学院生や後期課程の学生が地上階も自由に利用でき、また1~2年生も集密書庫に自由に入れるそうです。

「前期課程と後期課程の学生ならびに大学院生も同じ施設を利用し、時には各種イベントを通じて交流を図り、刺激し合えるのも駒場図書館のよさだと思います」(古城館長)

館内に謎のゆるキャラ発見

館内でちょくちょく目にするのが、四角い形をした謎のキャラクター。これ、駒場図書館公式キャラクターなのだとか。名前は「こまとちゃん」。2005年から「宣伝部長」として、図書館関連のポスターやチラシ、学内広報誌などにも頻繁に登場していて、東大の学生の間ではお馴染みのようです。


駒場図書館のゆるキャラ「こまとちゃん」!

しかもこの「こまとちゃん」、全国のさまざまな図書館のゆるキャラがエントリーする「図書館キャラクターグランプリ」で、2015年から3年連続で入賞。ポスターセッションでは優秀賞を受賞した実績の持ち主。まさか東大の図書館にゆるキャラがいるとは、ちょっと驚きです。

こまとちゃんプロフィール

新入生に図書館利用を促進するプログラムを用意

閲覧室は学生で埋まり、入り口に立っていると多くの学生が入れ替わり立ち替わり出入りする駒場図書館。なぜ、東大の学生はこんなふうに図書館を積極的に活用するようになるのでしょうか。

「本学では新入生のうちに図書館の利用を促す教育プログラムを用意していることが、要因の一つだと思います」(古城館長)

1年生の必修科目「初年次ゼミ」で、図書館の利用方法をレクチャーする授業が設けられているほか、その他の授業でも担当の先生が図書館を利用した授業や課題を用意するなど、自然に図書館に親しむ環境を大学側が整えていると言います。

その一方で、数人の学生に聞いたところによると、駒場キャンパスには学生が空きコマ(授業選択のコマ割で、隙間になるコマのこと。たとえば1限目と3限目の授業を取っている場合、2限目が空きコマです)を過ごせる場所が少ないといった事情もあるようです。
1~2時間を過ごすのに駒場図書館は使い勝手がよさそう。そんなことから自然に東大生たちにとって図書館は、大学に来たら一度は立ち寄る場所になっていくようです。

Q&A

Q:「東大にはいくつ図書館があるの?」

A:東大にはたくさんの図書館があることはわかっていても、学生でさえその数を正確に把握してる人は少数派。いったいいくつの図書館があるのか。東京大学附属図書館に問い合わせてみると、「現在は30の図書館・室があります」とのこと。気になるのは「・室」というところ。

第1回のところでも少し触れましたが、東大には「本郷」「駒場」「柏」の3つのキャンパスそれぞれに「拠点図書館」と呼ばれる中心的な図書館が置かれています。それに加えて、「部局図書館」が学内になんと27カ所もあるのです。


教育学部内に設置されている図書室

「部局図書館」とは、学部や研究室、各種研究センターなどに設置された「図書館」や「図書室」の総称です。本郷キャンパスでいうと、医学部には「医学図書館」があり、経済学部には「経済学図書館」があり、農学部には「農学生命科学図書館」があり…というふうに、学部ごとに図書館があるのです。学部の図書館といっても、60~80万冊の蔵書を有するところもあるそうで、場合によっては地域の図書館をしのぐ規模です。

しかも工学部などは「工学・情報理工学図書館」として、工1号館図書室、工2号館図書室……と専門ごとに10の図書室があって、しかも同じ1号館に図書室A(社会基礎学)と図書室B(建築学)があって……と、さらに専門へと分かれています。拠点図書館と部局図書館のすべてを合わせて30の図書館・室というわけです。

原則として東大の学生や研究生、研究者であれば、どの図書館・室も利用できるそうです。ただ図書館・室ごとに少し利用方法が異なっていて、例えば法学部の図書室では、図書の館外貸出は不可とされるなど、各図書館に独自のルールがあるとのこと。東大に入学したら、各図書館・室ツアーをしてみてはいかがでしょうか。

東京大学附属図書館・室一覧

2018.11.07
取材・撮影・構成/ライター・大島七々三