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「女子学生向けの住まい支援」を活用して食事付の学生会館に暮らす―東大生の「住まい」を見てみよう!(4)

2018.12.05

住まい

#住む #住む #東京生活 #東京生活

東大生の「住まい」を見てみよう!

東京大学の「女子学生向けの住まい支援」(月額3万円の支援)を活用して、この春、東京で一人暮らしを始めた東大女子にインタビュー。
今回は世田谷区内の食事付の女子学生会館で学生生活をスタートした山田さんのお部屋を訪ねました!

PROFILE

氏名: 山田 春佳さん
所属: 理科一類
入学: 2018年度
出身: 愛知県

 

食事つきの施設でよかった

――「女子学生向けの住まい支援」を知ったきっかけは?
高校で英語ディベートの部活をしていまして、ある大会のテーマとして東大が女子だけに「住まい支援」をしていることに対する是非を問うものだったんです(笑)。ですから大学に合格する前から知っていました。

――ちなみに山田さんはそのディベートでどちら側の立場で意見を述べたのでしょう。
その時は「女子だけに補助をするべきではない」という側に立たされましたので、「男女平等に反する!」と訴えました。結果、勝ってしまいましたが、心の中では「この制度、いいな」と思っていたんです

――ご両親には東大の「住まい支援」のことを山田さんから伝えたのですか?
いえ、私の母はネットで情報を集めるのが得意なので、自分で調べて知っていました。私が東大を受験しようと決めた頃からあれこれと調べていたみたいです。じつはこの部屋も、私が入試を受けている間に母が勝手に決めたもので、私は入居するまで、どんな部屋か見れなかったんです。「ここにしなさい」と言われ、「はい」という感じでした。

――こちらは都内の大学等に通う女子学生専門の宿舎ですね。それは山田さんご本人の希望ですか?
物件選びはすべて母に任せていたので、私からは「お風呂・トイレが共同のところは嫌」ということと、自分では絶対に料理はしないだろうと思っていたので「食事を用意してくれるところがいい」という2つだけ要望として伝えていました。ここは2つとも私の希望がかなった施設だったので、とても満足しています。何より母が自分で選んだ場所なので、親が安心していることが一番よかったなと思っています。

――こちらの食事メニューはいかがでしょう。
すっごくいいです! 朝と夜に食事が出るのですが、朝食はとてもヘルシーで、夕食は旬の食材を使ったお料理を出してくれて、毎日の食事が楽しみです。入居して半年たちますが、いまだに初めてのメニューが出てくるんですよ。


献立表にはレストランのような朝食メニューが

 
――それはいいですね。お昼ごはんはどうしているのでしょう?
駒場キャンパスの学食で済ませることが多いですが、すごく混んでいて次の授業に間に合わないこともあるので、最近は梅干しを入れたおにぎりを持って行っています。そのためにご飯だけは大量に炊いて、冷蔵庫で冷凍保存しています。
 

他大の学生と知り合いになるのが学生会館の魅力

――住まいにかかる一か月の経費はいくらですか?
食事の経費と水道光熱費まで含め、支援してもらう分を引いて9万円台です。食事の内容と部屋の装備などを考えると、とてもお得です。電気代が固定なので、この夏はエアコンをつけっぱなしでした。

――駒場キャンパスまでの通学にはどれくらい時間がかかりますか?
最寄りの駅まで徒歩で7、8分、そこから電車で15分程度なので、トータルで20分から30分弱です。高校時代は愛知県から岐阜県の高校まで越境で通っていて片道2時間程度かかっていたので、今はとっても楽になりました。

――お部屋作りで何かこだわったことは?
全体の色を青系でそろえたいなと思っていたんですが、青系の家具ってなかなかないので、すでに断念してます。どうしても欲しかったのが「ダメソファー(「人をダメにするソファー」)」。高校時代から欲しかったんですけど、勉強しなくなるからと親に反対されていたので、東京で暮らすことになって真っ先に注文しました。実際、座ると本当に動きたくなくなってダメ人間になっています(笑)。

――愛知県の実家から東京に出ることに不安はなかった?
私は7歳から4年間アメリカで育った、いわゆる帰国子女なんです。高校時代も一人で留学していたので、あまり遠く離れた場所に来たとも思っていなくて、特に不安はなかったです。愛知から東京は、新幹線に乗れば本当にあっという間ですから。

――ご両親は山田さんが東京に出ることについて反対はしなかった?
父は、できれば地元の大学に通わせたかったようですが、母は出て行ったほうがいいという考え方で、今回も背中を押してくれました。

――ここは女子学生会館で、大勢の女子学生が住んでいますね。住み心地はいかがですか?
私立の大学や短大など色々な学生がいて、東大とはカラーの違う学生たちと知り合えるのがいいですね。仲良くなった友だちのお部屋でお茶を飲んで過ごすこともありますよ。また、お部屋にはユニットバスとキッチンがあって、空間としては一人暮らしの感覚ですが、ここには寮長さんがいて留守の間に荷物を受け取ってくれますし、風邪で寝込んでいる時に食事を部屋まで持ってきてくださるので、とても助かっています。


キッチンには包丁やまな板はなく、たまに鍋料理をするんだとか

――学生会館ならではの魅力ですね。反対に困っていることなどありますか?
唯一の問題は門限(夜11時)があることなんです。東大の英語ディベートのサークルに入っているんですけど、大会があった日にみんなで軽く食事をして帰るとギリギリなんですよ。いつも帰宅時間を気にしながら生活しています。
 

東大生のレベルの高さを実感

――東京で暮らしてみていかがですか?
この辺りはすごく便利で、ちょっとした買い物は駅前で済ませられますし、コンビニも近くに3軒、それにクリーニング屋や郵便局もすぐ近くにあります。実家は最近になってようやく徒歩圏内にコンビニが一軒できたばかりという場所だったので、都会は便利だなと思います。


本棚には「一人暮らし」に関する本も

――東京大学での学校生活はいかがでしょうか?
勉強は大変ですね。理系は必修科目も多いので、平日は朝早くから夕方まで休みなく授業を受けています。東大生はレベルが高くて、会話をすると、私の知らない言葉が出てきてよく驚いています。

――アルバイトはしていますか?
今は家庭教師と塾講師をしています。

――勉強にサークル活動にアルバイトと忙しそうですね。
そうですね。しかもちょうど今、英語ディベートの大会が毎週のようにあって、そのためのトレーニングも週2回あるので、なかなかハードな毎日です。でも、とても充実しています。

――大学生活の滑り出しは上々といった感じが伝わってきますね。
それも住環境に恵まれているからだと感じています。東大の住まい支援は、月々の負担を補助してもらえることも助かりますが、東大が選んだ物件だけに、どれも東大の学生生活を送るうえで便利で安心できるところばかり。東大女子は活用したほうがいいですよ。

――山田さんは理科一類ですが、今後、進みたい専門分野は決まっているのですか?
まだ決まっていないです。他大学と違って東大は最初に専門を決めなくていいというのが、私の志望理由のひとつでした。ただ最近になって、建築の方に興味が湧いてきたので、そちらに進むことを考え始めたところです。

――頑張ってください。今日はありがとうございました。
 

地方に住む女子高校生のみなさんにお伝えしたいこと

「女子学生向けの住まい支援」について、東京大学がこの支援を始めるにいたった経緯とその意義を、改めて松木則夫東京大学理事・副学長から地方の女子高校生のみなさまとその保護者の方々にお伝えします。

寄稿「女子学生向けの住まい支援制度について」

東京大学 理事・副学長(男女共同参画担当)
松木 則夫

東京大学では世界最高水準の研究・教育のさらなる向上のために、多様な学生が活躍することのできる支援体制を整備しています。特に、多方面で活躍する女性を輩出し、女性が活躍する社会の形成に貢献するために、女子学生の比率を上げることを目指しています。その一環として五神総長の発案により、女子学生向けの住まい支援制度を始めました。

地方の女子学生が東京で学生生活をスタートする時に、本人や親御さんが最初に不安に思うことは住まいのことではないでしょうか。

白金寮*を老朽化により廃止したために、残念ながら女子専用の学生寮が東京大学にはありません。そこで、駒場キャンパスに近く、オートロックなどのセキュリティがしっかりしていて、なおかつ親御さんが上京された時に一緒に泊まるスペースがあるような物件を大学が紹介しています。その場合、家賃が相場より高くなってしまうので、毎月3万円を補助するというものです。

経済的な支援とは異なりますので、自宅からの通学が困難な女子学生を対象とし、家賃支援ではなく住まい支援としています。男性差別という批判は的外れです。本制度の趣旨を理解し、積極的に利用していただきたいと思います。

* 白金学寮:東京大学女子学生のための寮として長く利用されたが、2010年に閉寮。

参考リンク
女子への生活支援
取材・構成/大島七々三
撮影(寄稿を除く)/東京大学高大接続研究開発センター教授・濱中淳子
※ページ内容は作成時のものです。