ちょっとひといき ちょっとひととき(12)-大好きだから、キミに届けたい【映画編】
東大生コラム
2024.12.10
2025.06.02
テーマを絞って発信する東大生のコラム企画
第13回目のテーマは「この春のわたしの新たな出会い」。新年度を迎えて、東大内外問わず、この春東大生が初めて出会った人、物事、初めて訪れた場所や、新しく始めたことなどなど……。受験勉強の合間にちょっとひといきつきませんか?
私は、大学生活が(無事にいけば)今年で最後になります。そこで、今までと同じことを繰り返していてはつまらないと思い、なにか新しいことを始めることにしました。かといって、この夏に司法試験を控える身としては、あまり大事にはチャレンジできません。そこで思いついたのが、毎日の数分のストレッチです。部活動に励んでいた高校生の頃には、毎日お風呂上がりのストレッチを欠かさずに続けていたのですが、いつしかその習慣も崩れてしまい、当時の柔軟性がどこ吹く風。そこで、毎日ほんの少しでもいいからストレッチを続けて、体を(場合によってはアタマも)柔らかくしようと思い立ったのです。ストレッチのいいところは、まず始めるハードルが低いこと。多少忙しい日々の中でも、ちょっとした負荷をかけつつ、しかし過度な負担にもならないので、新しい「挑戦」にうってつけでした。そして、毎日継続していると、僅かながらも確実に成長を感じられるので、モチベーションも維持しやすいです。まずは、春を越えて夏まで継続するのを目標に頑張ります。
春は出会いの季節である。弥生キャンパスでは4月になるとあちらこちらで新入生の歓迎会が行われ、毎夜のごとく楽しげな笑い声がどこからともなく聞こえてくる。しかしながら、私は農学部に進学してから数年が経っているので、もう「歓迎する側」の人間であり、「歓迎される側」ではなくなっているのだ。
目を輝かせた新入生に少しの嫉妬を覚えつつキャンパス内をうつむきがちに歩いていると、何か視線を感じた。よく目を凝らしてみると、その視線は、ドブネズミのものであると分かった。彼らはきっと「歓迎される側」の動物ではないのだろうが、それでも地面にしっかり足を張って、着実に歩みを進めている。翻って私は自身の心の狭さを恥じた。「ドブネズミみたいに美しく」、「ドブネズミみたいに何よりもあたたかく(THE BLUE HEARTS『リンダ リンダ』より)」ならなくてはならないのである。
ネズミの様子をもっと見るために近づこうとしたそのとき、ネズミはUターンして走り去っていった。春は出会いの季節でもあるが、別れの季節でもあるのだ。
この春から、就職活動を始めました。様々な企業の説明会に参加したり、自分自身のこれまでを振り返ったりしています。数多くの会社を知る中で、全く耳にしたことのなかった仕事があまたあり、社会を支えていることに気づきました。
憲法27条1項は勤労「権」を定めています。しかしなぜ、働く「権利を有し、義務を負ふ」のでしょうか。労働が権利でもあり義務でもあること、この二面の顔の謎に、憲法学の講義が鍵を与えてくれました。いわく、最高裁が判決の下敷きとした職業社会学の理論によれば、近代社会は分業の体系として捉えられます。単なる生計維持にとどまらず、個性を発揮し、かつ社会的連帯を実現する営みだというのです。人は職業を通じて他者との間で「役柄を演じる」こととなります。この説明を聞いたとき、憲法というテクストには社会の「理」が表れているのだと、身の震える思いがしました。
就職活動はマッチングだといわれます。私はそこで、社会の中のいかなる役割を担い、自らを形作っていくのか。仕事との一つ一つの出会いを大切にしていきたいと思います。
新学期が始まる直前、せっかく時間があるのだから普段行かない場所に行ってみようと思い立ち、ホテルだけ予約して、行き先も決めぬまま東北新幹線に乗った。そんな気ままな旅の2日目、なんとなく気になった北上線という路線に乗っていた。北上線は秋田県横手市と岩手県北上市を結ぶローカル線で、二両編成の気動車が雪解け水の流れる谷間を走る。温泉と駅舎が一体になった珍しい構造の「ほっとゆだ」駅で下車し、さらに足を延ばして錦秋湖へ向かった。雪の残る春の山々に囲まれ、線路が湖を横切る美しい風景が広がっていたが、その後に立ち寄った観光案内所で目にした説明に胸を突かれた。この湖の底には、かつて3,200人が暮らしていた村があったが、治水や発電のため、住民は立ち退きを迫られたという。目の前の穏やかな湖の下には、今も人々の暮らしの痕跡が沈んでいる。直接は見えないものに想像力を届かせる姿勢を、大学の外でも中でも大切にしたい。そのような思いを抱いた春の旅先での出会いだった。
5月の初め、江ノ島に行ってきました。これまで行ったことのなかった江ノ島でしたが、日帰り旅行の気分でお出かけをしてきました!天気が不安だったものの無事到着する頃には雨も止んでいて、街をのんびり散策しました。到着してまず向かったのはご飯やさん。駅からほど近い食堂でお目当てのしらす丼を食べました。海の塩味がきいたしらす丼の味は抜群です!
江ノ島を散策し緑豊かな神社に行ったり、風に吹かれて高い波しぶきをあげて岩に打ちつける波を眺めたりしながらまったり時間を過ごしました。普段は海を見ることがほとんどなく、振り返ってみれば今年初めて見た海だったかもしれません。夕暮れ前に向かった展望台もまさに絶景。小高い丘にそびえる展望台からは島の風景が一望でき、壮大な景色を楽しむことができました。
普段はあまり見ることのない海や、その波の音を聞いてリラックスし、念願のしらす丼も食べられた充実した1日になりました!
先日、キャンパス内で、初めて見る花が目に留まりました。清らかに咲く白い花が浮世離れして見え、多忙な日々の中でふと心が安らぎました。知らない花だと思ったのですが、形と季節からしてツツジでしょうか。よく見ると、キャンパス内には同じ形の花が、ピンク、赤、紫など様々な色で咲いています。さらに、通学路にも似た花が色とりどりに咲いていました。この辺りではよく咲いている花のようです。3年生になったばかりで、駒場キャンパスから本郷キャンパスへと移り、新たな環境に希望も不安もある状況でしたが、この花を見つけたことで、じっくり周囲を見渡す心の余裕ができたように思います。これから季節が移り変わると共に、どんな風景に出会えるのだろう、という新たな楽しみも生まれました。
みなさんも忙しいと心の余裕を失ってしまいがちかもしれませんが、そんな時こそ、立ち止まって周囲を観察してみてはいかがでしょうか。今まで気づかなかった素敵な風景に出会い、小さな喜びを見つけられるかもしれません。
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